深呼吸
祭壇の前で、私は深呼吸をし、アトランティスの竪琴をゆっくりと爪弾き始める。竪琴から紡ぎ出される旋律は、聖域全体に響き渡り、忘れられた祭壇に眠る古代の力を呼び覚ますかのようだ。サクラは、私の周りを静かに見守り、周囲の警戒を怠らない。
竪琴の音色が最高潮に達した瞬間、祭壇の上に置かれた古びた石版が淡く光り始める。石版から放たれる光は、徐々に強さを増し、私とサクラを優しく包み込む。光の中で、私は意識を集中させ、石版に刻まれた古代文字の意味を深く理解しようと努める。
すると、私の脳裏に、深淵の呪いを封じるための具体的な手順が鮮明に浮かび上がってくる。儀式には、特定の場所に特定の素材を配置し、特定の言葉を唱える必要があるようだ。私は、サクラに指示を出し、儀式の準備に取り掛かる。
サクラは、私の言葉に従い、神殿内を注意深く探索し始める。しばらくすると、彼女は祭壇の近くに隠された小さな箱を発見する。箱の中には、儀式に必要な素材、すなわち、聖なるハーブ、精霊の涙、そして、小さな水晶玉が入っていた。
私は、サクラから素材を受け取り、祭壇の上に指示通りに配置していく。聖なるハーブは祭壇の四隅に、精霊の涙は祭壇の中央に、そして、水晶玉は石版の真下に置く。素材の配置が完了すると、私は再びアトランティスの竪琴を手に取り、より荘厳な旋律を奏で始める。
竪琴の音色に合わせて、私は石版に刻まれた古代の言葉をゆっくりと唱え始める。言葉の一つ一つが、私の魂に深く響き、深淵の呪いを封じるための力を与えてくれるようだ。祭壇の上の素材が、私の言葉に呼応するように輝きを増していく。
儀式が終盤に差し掛かった時、突然、神殿全体が激しく揺れ始める。壁に飾られた壁画が崩れ落ち、天井から砂が降り注ぐ。サクラは、私を守るように立ちふさがり、周囲を警戒する。私は、動揺することなく、最後まで言葉を唱え続ける。
そして、最後の言葉を唱え終えた瞬間、祭壇の上から強烈な光が放たれ、神殿全体を飲み込む。光が収まると、神殿の揺れは止まり、静寂が戻ってくる。私は、祭壇の上に置かれた石版を見つめる。石版は、光を失い、ただの古びた石版に戻っていた。しかし、私は確かに感じている。深淵の呪いは、今、封じられたのだと。
私は、サクラに向かって微笑みかける。「終わったよ。深淵の呪いを封じることに成功した。」サクラは、安堵の表情を浮かべ、私に近づいてくる。「本当によかったわ。ミタム、ありがとう。」
しかし、安堵したのも束の間、私たちは、神殿の奥から、何かが近づいてくる気配を感じる。それは、邪悪なオーラを放つ、未知の存在だった。




