威嚇
魔物が、威嚇するように低い声を上げる。その声は、周囲の霧を震わせるほどの威力を持つ。私は、その声に動じることなく、一歩ずつ魔物に近づいていく。 「怪我を負っても回復するよな…」と、独り呟く。それは、自らの不死の能力への確信であり、同時に、この危険な状況への覚悟の表明でもある。 魔物は、私の行動を理解したのか、あるいは単なる本能的な反応なのか、鋭い爪を研ぎ澄ませる。その音は、金属が擦れるような、不気味な音を立てている。 しかし、私は動かない。この魔物、そしてその魔法の力を解明するためには、危険を冒す必要がある。二千年の時を経て培ってきた知識と経験、そして不死の体。これらが、今、私を支えている。 その時、魔物は突然、凄まじい速度で襲いかかってきた。その動きは、私の想像をはるかに超える速さだ。私は咄嗟に、身をかわす。しかし、魔物の爪が私の腕をかすめた。鋭い痛みを感じる。 しかし、すぐに痛みは消え去る。不死の体を持つ私は、致命傷でない限り、すぐに再生する。傷跡は、既に消えつつある。 魔物は、私の再生能力に驚いたのか、一瞬動きを止める。その隙を逃さず、私は無限本を取り出し、魔物の行動パターン、魔法の力の発動方法、そして、体の紋様の詳細を記録し始める。 魔物の攻撃は続く。しかし、私は冷静さを失わない。二千年もの間、数えきれないほどの危険を乗り越えてきた。この程度の攻撃では、私を倒すことはできない。 むしろ、この攻撃こそが、魔物の魔法の力の解明に繋がる重要なデータとなる。私は、魔物の攻撃をかわしながら、可能な限り多くの情報を集める。 夜空には、満月が輝いている。その光は、霧を少しだけ薄くしている。私は、この月光の下で、新たな知見を得るため、魔物との死闘を続ける。




