風の王
風の王からの新たな楽譜を手に、洞窟を後にした私は、風の都の街並みを眺める。白を基調とした家々は、まるで雲のように軽やかに、そして美しく立ち並んでいる。家々の間からは、心地よい風が吹き抜け、人々の穏やかな生活が感じられる。 しかし、その穏やかな雰囲気とは裏腹に、風の都には、暗雲が立ち込めていることを、私は知っている。風の王は、私に、この都に潜む危機を告げていた。それは、闇の精霊の仕業だという。 闇の精霊は、風の力を歪め、都を滅ぼそうとしているらしい。風の王は、私に、その闇の精霊を倒すことを託したのだ。 街の中心部にある広場に立つと、人々は私を警戒しているようだった。私の異質な雰囲気、そして風の王の試練をクリアしたという噂が、すでに都に広まっているのだろう。 その時、一人の老人が近づいてきた。彼は、風の都の長老、エルドリッチという人物だ。エルドリッチは、私のことをよく知っているようで、静かに語りかける。「風の王の試練をクリアした者よ、我々の危機を救ってくれると、風の王から聞いておる」 「闇の精霊は、この都の地下深くで、風の力を操っている。その力を封じるには、古代の遺跡にある、聖なる楽器が必要だ」エルドリッチは、そう説明し、古代遺跡への地図を私に手渡す。 地図には、複雑な迷路のような道が描かれており、その奥に、聖なる楽器が眠っているらしい。 「危険な道程だが、貴様しか、この危機を救える者はおらんのだ」エルドリッチの言葉には、強い覚悟が込められていた。 私は、地図を携え、古代遺跡へと向かう。エルドリッチの言葉、そして風の王の託された使命を胸に、私は進む。道のりは長く、険しいだろう。しかし、私は、この風の都、そして人々を守るために、必ず闇の精霊を倒してみせる。その決意を胸に、私は、古代遺跡へと続く、霧に覆われた道を進んでいく。 風は、私の進む方向へと優しく導いてくれるような気がした。それは、風の王からの最後の導きなのだろうか。 私は、深呼吸をして、楽器を取り出す。風の王から授かった新たな楽譜を参考に、闇の精霊に対抗するための旋律を奏で始める。静寂の中で響き渡る音色は、まるで、希望の光のように、闇を照らしていく。