宝石
羊皮紙に記された儀式に必要な素材は、驚くほど身近なものだった。世界樹の周辺に自生する特殊な草花、そして、世界樹の根元から湧き出る清らかな水。他に必要なものは、歴史家の言う「共鳴する楽器」を作るための木材と、それを加工するための道具だけだった。
幸い、楽園は資源が豊富だった。必要な草花はすぐに発見できたし、清らかな水も容易に手に入った。問題は、楽器を作ることだった。羊皮紙に描かれた楽器は、アトランティス文明の竪琴とは異なり、シンプルながらも精巧な作りで、素材も特定の木材であると推測された。
「この木材…一体どこにあるのでしょう…」と、歴史家が呟いた。私は、世界樹の周辺を注意深く観察した。すると、世界樹の少し離れた場所に、他の木々とは異なる、独特の輝きを放つ木を発見した。その樹皮は滑らかで、まるで磨き上げられた宝石のようだった。
「…あれが…そうではないでしょうか…」私は、その木を指さした。図書館長も歴史家も、その木に目を向け、息を呑んだ。その木からは、微かに、世界樹と似たエネルギーが感じられた。
「…確かに…この木からは…世界樹と…共鳴する…エネルギーが…感じられます…」図書館長が、ゆっくりと頷いた。「…この木で…楽器を作れば…きっと…うまくいくでしょう…」
その木は、非常に硬く、加工が困難だった。しかし、私は、アトランティス文明の技術と、私の不死の力を駆使して、慎重に楽器を製作した。数日後、ついに楽器が完成した。それは、アトランティス文明の竪琴とは異なる、シンプルながらも美しい楽器だった。木そのものの美しさが際立ち、その表面には、自然の模様が刻まれていた。
完成した楽器を手に取り、私は、世界樹から発せられる旋律を聴き始めた。その旋律は、複雑で、奥深く、そして、力強かった。それは、創造主の歌の一部であり、宇宙の始まりと終わりを物語る、壮大な交響曲だった。
いよいよ、儀式を実行する時が来た。




