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蜜珠の禁書  作者: mutuminn
2部
110/255

変容

鏡の世界の変容は、想像をはるかに超える速度で進んでいた。濁っていた空は、鮮やかな青に染まり、かつては混沌としたエネルギーが渦巻いていた大地には、色とりどりの花々が咲き乱れ始めた。奇妙な形状の樹木は、宝石のような実を結び、空には見慣れない鳥たちが舞い上がっていた。まるで、絵画のような、幻想的な世界が広がっていた。


図書館長は、その光景を食い入るように見つめ、震える声で呟いた。「これは…まるで…楽園のようです…」


歴史家も、同様に言葉を失っていた。彼の目は、驚きと感動で潤んでいた。「アトランティス文明…彼らは、このような世界を創造したのでしょうか…」


私は、彼らの言葉に頷きながら、静かに竪琴を手に取った。この世界は、確かに、かつての混沌とした姿から脱却しつつあった。しかし、まだ、完全な平和が訪れたとは言えない。アトランティス文明の影、そして、時間軸の歪み…それらは、依然として、この世界の脅威として存在しているのだ。


「まだ、油断はできません」と、私は静かに告げた。「この楽園のような世界も、一瞬にして壊れてしまう可能性があるのです。」


「…しかし、ミタムさん。貴女の音楽によって、この世界は救われたのです」図書館長は、優しい表情で言った。「貴女の力があれば、きっと…」


「力だけでは、不十分です」私は、竪琴の弦を優しく撫でながら、言った。「この世界の真の平和を築くためには、アトランティス文明の影の企みを阻止し、時間軸の歪みを修正しなければなりません。そして、そのためには…この世界の秘密を、もっと深く理解する必要があるのです。」


歴史家は、私の言葉に反応し、急いでメモを取り出した。「確かに…この世界の変化の背後には、まだ解明されていない謎が潜んでいるはずです。鏡の世界の植物や生物…それらは、かつてのアトランティス文明と、どのような関係にあるのでしょうか?」


「その通りです」私は、頷いた。「この世界は、単なる楽園ではありません。それは、アトランティス文明の残滓であり、そして、未来への鍵でもあるのです。私たちは、この世界の秘密を解き明かし、時間軸の歪みを修正しなければならない…そして、その過程で、アトランティス文明の影と対決しなければならないでしょう。」


静寂が再び訪れた。しかし、それは、恐怖や不安によるものではなく、新たな決意に満ちた静寂だった。私たち三人は、この鏡の世界で、新たな旅立ちを迎えようとしていた。 私たちの目の前には、楽園が広がっている。しかし、その楽園の背後には、まだ多くの謎と危険が潜んでいることを、私たちは知っていた。

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