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怪しい動き

ジュリエルの元に話を聞きに行こうとしていた矢先、メントに指示していたパトラの実家、バップ商会に関する情報が入った。


リュールが報告書に目を通していると、何とも奇妙なことが起きていた。


「多いな。フロック公爵との取引金額が大幅に増えているじゃないか」

「はい、いつものおよそ10倍は軽く超えるでしょう」

「取引の内訳は分かるのか?」

「現在、調査中です」

「分かり次第、また知らせろ」

「はい」


パトラの実家に大金が流れている。毒殺未遂事件のタイミングに合わせてこうも取引金額が増えるのは怪しい。ジュリエルやマレルがたまたま買い物に大金をつぎ込んだとしても、あまりの金額の多さに不自然としか言わざるをえない。


「ジュリエルに話を聞きに行くぞ。前触れを出せ」


フロック公爵に知らせをやり、そろそろ出発するかと言う時に、エバが見送りの中にいることに気付いた。どことなく不安そうな顔をしている。自分の容疑が完全に晴れるまで心配なのだろうと、リュールは思った。


「調査に行ってくる。心配しなくていい」

「はい、それはもう........行ってらっしゃいませ」


エバと言葉を交わすとリュールは馬車に乗り込んだ。王宮からフロック公爵家の屋敷までは馬車で40分ほどだ。


フロック公爵に着くと、門から玄関まで広大な庭が続いている。今日も赤色や黄色、橙色の花が鮮やかで美しい。


今日はジュリエルが玄関ポーチで待っていた。心なしか緊張しているように見える。


「ジュリエル、今日は身体の調子はいいのか?」

「ええ、大丈夫。最近は冷えたり暑かったりしたから身体の調子を崩していたのよ」

「なら良かった。宮廷からの医者を断ったと聞いたから、心配していた」

「宮廷医をよこすなんて大げさよ。大丈夫。心配してくれてありがとう」


屋敷の居間に向かって歩きながら話す。居間に着くとすぐにお茶の用意をされる。


「リュール、話を聞きたいってどんなこと?」

「まあ、色々だ。疑うべき点がだんだんと出てきている」

「え、それはどんな…?」

「まずは茶を飲もう」


事件があったばかりなのもあり、リュールが口を付ける前に従者の1人が金属の変色具合を確認したり、毒見をしたりしている。


それが済むと、ようやく冷めた茶をリュールは飲んだ。冷めてる以外は、いつもと変わらない美味しい紅茶だ。ふと、ジュリエルのカップを見ると、茶の種類が違うようだ。黄金色をしている。


「ジュリエルの茶は紅茶じゃないのか?」

「ええ。これはパトラおすすめのお茶なの」

「何が違うんだ?」

「味よ。アッサリして美味しいの」

「ほう、味が違うのか。ちょっと飲んでみたいな」


リュールの言葉に側にいたパトラがジュリエルと同じ茶を用意する。また、従者が忙しく毒のチェックをしている。


「ふむ。確かにアッサリしているな。香ばしさを感じるような味だ」

「そうでしょう。身体に良いのよ」

「ふーん、美容のためか?」

「……そうね」

「女性は大変だな」


そんなやりとりの後、リュールはさっそく確認したいところについて話を聞くことにした。


「......まずは、ジュリエルの父であるモハイル殿についてだ。あまり屋敷に寄りつかずに領地にいることが多いようだな。だが、事件が起きる前に帰宅していたと聞いた。それはなぜだ?」

「なぜって、お父様は不定期ではあるけど、屋敷のことをチェックしにこちらに戻ってくるわ。事件の直前に帰宅してもおかしくはないでしょう?」

「言いづらいが……モハイル殿には浮気しているのではないかというウワサがある。その点について知っていることはあるか?」

「お父様が浮気? お父様はそんな人じゃないわ」


ジュリエルの言葉は自然な反応と言える。モハイルは、マレルが気に入って選んだ夫だ。通常の政略結婚とは違い、一応は恋愛結婚であるから、父がほかの女性に目を向けていたとしたら抵抗を感じてもおかしくはない。


「もしもだ。モハイル殿が浮気をしていたならば、マレル様が邪魔だと考えて毒を飲ませることも考えなくてはならない。事件前にタイミングよく戻って来たというのも疑われる要因になるだろう」

「そんな……!お父様はそんなことしないわ!」

「ジュリエルはモハイル殿が好きなのだな」

「当たり前でしょう!私のお父様だもの。尊敬しているわ!」


ジュリエルが産まれてからモハイルはこちらの屋敷と領地の屋敷を行ったり来たりしている。常に側にいるわけではないが、父にしっかりと愛情を抱いているようだ。


「ジュリエル、もう1つ聞きたいことがある」

「何よ?」


ジュリエルがリュールを警戒するように見てくる。自分の父を疑っているのだ。良い気分ではないだろう。


「個人的に聞きたいことだ。 君、ちょっと部屋から出ていてくれないか?ジュリエルと2人で話したいんだ」


リュールはパトラの方を見て言った。パトラはリュールの言葉を受けて速やかに部屋を出て行く。リュールは聞こえることを警戒して、ジュリエルの隣に座った。小声で話す。


「パトラの実家のことで聞きたい。パトラはバップ商会の娘だそうだな。事件の日、現場に彼女もいただろう。なぜ、彼女を疑わなかった?」

「それは、彼女とは長い付き合いだし、そんなことをするように思えないから」

「信用しているから疑わないのか?エバは実家が貧しいから疑わしいと言ったな。バップ商会の金の動きが怪しいと分かったら、パトラを疑うのか?」

「お金の動き……?」

「バップ商会との取引額が急に増えていることは掴んでいる。何故だ?」

「それは、キレイな反物が気に入って……あと、化粧品とか香水とか」

「そんな小物、買ったとしてもたかが知れてる」

「良い物があったら、取り寄せて欲しいと多くお金を渡したのよ」


不自然な発言をするジュリエルに疑問を感じたリュールだった。

ジュリエルは優しいモハイルが好きです。


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※投稿は毎日朝9時過ぎです。引き続きご高覧頂けるとウレシイです٩(*´꒳`*)۶

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