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新しき容疑者

雨が窓を叩く音でリュールは目覚めた。今日は、窓の外には雨が激しく降り注いでいる。


「雨か……」


リュールは本来ならばまだ学園に通う歳ではあるが、幼少期からのエリート教育のおかげもあり、飛び級をして学園を卒業していた。だから、父であるチャート王の補佐を既に行っている。


当然、チャート王もマレル毒殺未遂事件のことは耳に入っていた。リュールが事件解決に乗り出したことを意外に思ったようだが、何も言わなかった。


チャート王は毒殺未遂事件については箝口令を敷いている。マレルとチャートは幼馴染でもあるし、息子の婚約者の家でもある。リュールが調査する分には何も言うつもりは無かった。


着替えや朝食など朝の準備が終わると、リュールはさっそく事件の調査の続きを始めた。


メントを呼ぶと、調査を命じていた内容を報告させる。


「エバ嬢と街に買い物などの用事に出ていたのは、バップ商会の娘でパトラという者でした」

「商会の娘?なぜ公爵家に商会の娘が働いている?」


公爵家のメイドは下働きでもない限り、基本的に下級の貴族などが従事することが多い。商家の娘がメイドになるのは珍しいと言えた。


「バップ商会は海外からの主に布地の輸入と加工、販売を行っています。公爵夫人やジュリエル様が好んでバップ商会の生地を選ばれていたようです。屋敷に奉公することになったのは公爵夫人の推薦があったと聞きました」

「お茶会の時にパトラもその場にいたのか?」

「はい。ですが、直接の給仕はしていないということです」

「ふむ。パトラはマレル様とジュリエルのお気に入りというわけか。事件が起きた時にパトラもその場にいたのだから、疑われても良いはずだ。それなのに、全く触れられなかったのは不思議だな」

「はい、そこでパトラの実家であるバップ商会についても調査を進めているところです」

「そうか。何か分かったらすぐに知らせろ」

「承知いたしました」


メントが下がると、今度はエバを呼ぶ。


「おはようございます」

「よく眠れたか?」

「はい、とても寝心地の良いベッドでしたので」

「それは良かった。 今日、呼んだのは同僚のパトラのことを聞こうと思ったからだ」

「パトラさんですか?」

「ああ。パトラはマレル様とジュリエルのお気に入りのようだな。あの事件の場にいたにも関わらず、パトラは疑われてもいない」

「パトラさんはベテランですから……」

「フロック公爵家に仕えて3年と聞いた。確かに3年も奉公していればベテランに入るかもしれないな。彼女はどんな人物なんだろうか?」

「パトラさんは裕福な商家のお嬢様だと聞いています。バップ商会はフロック公爵家にもドレス生地をたくさん持ってきていますし、奥様やジュリエルお嬢様から信頼されていると感じます」

「気に入っている商会の娘で長く仕えているからと言って、犯人ではないとは言えない」

「……私が直接、給仕をしていたことが問題だからではないでしょうか」

「君が入れた茶はジュリエルも飲んでいる。パトラの証言では、ジュリエルが茶を飲んでからマレル様がお茶を飲んだと聞いた」

「確かにそうです」

「ティーカップはそれぞれ専用のカップを使用していたわけでもなさそうだな?」

「はい。日によってティーカップやティーポットは変えますが、マレル様やジュリエル様専用のカップはありません」

「ティーカップやティーポットは誰が選ぶんだ?」

「基本的には奥様です」

「基本的にはと言うと?」

「事件のあった日はジュリエル様が茶器類は選ばれました」

「ジュリエルが?」

「はい」


ジュリエルが茶器を選んだとすると、ジュリエルが怪しいという線も出てくる。しかし、ジュリエルが実の母を毒殺する理由は思い当たらない。


あの親子は、とても仲が良くドレス選びなんかもしょっちゅう、一緒にしている。幼い頃から知っているジュリエルがマレル様を毒殺するとは思えなかった。


「茶器のことは後ほどまた調べることにしよう。マレル様を恨むような人物に心当たりはあるか?」

「いえ……」

「聞き方を変えよう。マレル様の夫モハイル殿は入り婿であるな。マレル様とモハイル殿の様子はどうだ?」

「旦那様は……あまりお屋敷には戻られません」


モハイルが屋敷にあまりいないことはリュールも知っていた。モハイルはゲンズ伯爵家出身で、見目の良さからマレルが気に入り婿というカタチで結婚していた。マレルより年下のモハイルは浮気しているとのウワサもある。もし、本当ならばマレルの毒殺を考えてもおかしくはない。


「ここ最近、モハイル殿は屋敷に戻って来ていたか?」

「事件の1週間前に戻られ、こちらには2日滞在してまた領地に戻られました」


モハイルが屋敷に戻って来ていたならば、モハイルがティーカップに何かを仕掛けることもできるだろう。


「モハイル殿はマレル様に対してどのような態度だ?」

「マレル様をいつも気遣ってらっしゃる良い方かと……」

「良い方か......」


確かに、リュールはマレルからモハイルの文句を聞いたことがない。だが、実際のところは本人同士でしか分からないこともあるだろう。


一先ず、事件当日や屋敷の様子をエバの視点から聞くことはできた。エバの立場では思ったままを口に出しているとは限らないが、何となくの様子は伺える。


(マレル様に毒を盛って得をするのは誰だ......?)


リュールは、事件解決のためにもジュリエルからも話を聞く必要があると思ったのだった。

マレルは面食いです。モハイルに一目惚れして猛アピールして結婚した経緯があります。


作品が“気になる&いいな”と思われましたらぜひ【ブックマーク&評価&いいね】をお願いします(*ˊᵕˋ )⁾⁾コクコク

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※投稿は毎日朝9時過ぎです。引き続きご高覧頂けるとウレシイです٩(*´꒳`*)۶

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