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毒殺容疑で牢に入れられたメイド、唯一の味方は王子様──戦乱の果てに妃として迎えられました  作者: 大井町 鶴
◆第四章 コーザヌとの和平

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イゴル、去る

リートという男爵令嬢とのお茶会はどうやらうまくいったらしい。


イゴルはリートの腰に手を回しながら歩いて戻ってきた。距離感がやたらと近く、リートは緊張していているようだ。


「リートもオレを悪く思っていないらしい」

「リート嬢、そうなのか?」

「はい……」

「じゃあ、リート!さっそくオレの国に行こう!」


イゴルが意気揚々と元気よく言う。リートは驚いている様子だ。


「待て待て待て……!色々と早すぎるぞ! 今だって腰に手を回されて困っているようだが?」

「え? ダメだったか?」


リートを見ながらイゴルが尋ねている。リートはうなずいた。イゴルはショックを受けたようだが、素直に腰に回した手を離す。でも、どうしても触れていたいらしく手を握っている。


「気に入ったら連れて行くというお前達の感覚は、こちらでは普通ではないんだ。そうやって何も考えずに連れて行くから問題になっているんだろ。彼女の親にも状況を伝えねばならん。順序は守れよ」

「そういうもんなのか」

「そうだ。郷に入っては郷に従え」


リュートはリートの実家に連絡する前に、リートの意思が本心であるか2人になって確認してみようとすると、イゴルが拒んだ。


「ダメだ!オレの妃には誰も近寄らせんぞ」

「そういうんじゃない。聞きたいことがあっただけだが。仕方ない。エバを呼んでこよう」


やたらとイゴルが警戒するので、リュールは諦めてエバに確認してもらうことにした。イゴルもエバなら文句は無いらしい。エバにリートの気持ちを確認するように頼むと、エバはリートを連れて部屋を出て行った。


しばらくすると、エバとリートが戻って来た。


「情熱的な愛の告白に感動なさったらしいです。話を聞くに、このまま話を進めても大丈夫だろうと思います」

「そうか。運命の相手がそんな簡単に見つかるのがすごいな」

「そうですね」


イゴルは戻って来たリートとさっそく手をつないでいた。


「まあ、平和になるなら良い」


その後、リートの両親を呼び寄せて事情を説明すると、複雑そうな顔をしたものの娘を大事にしている姿を見て安心したようだ。


「リート嬢には我が国とコーザヌのかけ橋になってもらうことになる。幸い、お互いに気持ちが通じている。心配はあるだろうが、2人を見守ってもらいたい」

「はい、私達も娘が望んでいることならば応援したいと思っております」

「リート嬢はインデルとコーザヌの平和の証になる。国としてもきちんと彼女を送り出したい」


イゴルは両親に承諾は得たのだからと、すぐさまリートを自国に連れて帰りたいようだが、リュールが引き止めた。


「イゴル様、殿下がおっしゃるように私に時間を下さいませ。お世話になった方、全員に挨拶をしたいのです」


リートの言葉にイゴルは悲しそうな顔をした。


「そうか……オレは一時もリートと離れたくないのだけどな」

「イゴル様、リゴル様やチア様にも事前に報告しておいた方が良いでしょう。これまでとはインデルとの関係が変わるのですから」


ヌボーが真っ当な理由を述べて説得する。


「仕方ないな。オレはすぐにリートを迎えに来るぞ」

「お待ちしています」


リートがニッコリと微笑むと、ポッとイゴルは頬を染めた。


(何かアイツ、かわいいな)


初恋が叶った少年みたいだと、リュールは思った。イゴル達は明日にもさっそくコーザヌへと出発し、報告をして戻ってくるという。


「イゴル、気を付けて行けよ。お前のことだから大丈夫だろうが」

「おう。オレはお前と友になれて良かった!」


イゴルにガシッと抱きしめられる。力が強く、苦しい。


「おい!苦しい!」

「おっと、すまない」

「お前、スキンシップ多いよな。ビックリする。 でも、悪くない。言い習慣だ」


もう一度、イゴルとリュールは抱き合った。


「今度、お前がコーザヌに来たら、色々と教えてやる」

「ああ、楽しみだ」


実際にコーザヌにリュールが訪ねるのは難しいかもしれないが、好意は嬉しかった。


..........翌日、イゴルとヌボーはコーザヌへと旅立って行った。


「リート嬢、大変な別れになったな」


イゴルがリールと別れるのを大変惜しんだので、出発は1時間遅れた。イゴルは最後には瞳に涙を溜め、リートに抱きついていた。リートがイゴルの背中をポンポンと叩いて宥める様子はなかなか面白かった。


「リート様、これから私と一緒に準備していきましょうね」


リュールとの結婚準備に忙しいエバも、新たな花嫁修業仲間ができて嬉しいようだった。


意外だったのは、イゴルとリート嬢の婚姻について国に発表されると、多くの貴族令嬢から悲しみの声が聞こえてきたことだ。イゴルは見た目の良さと気さくさで、かなり人気を集めていたようだった。


「やるな、アイツ」

「ふふ、リュール様、すっかりイゴル様と仲の良いお友達になられましたね」

「そうかもしれないな」


価値観が少し異なるから、全てはうまくはいかないかもしれない。だが、人族でないが故に、柔軟な考えができるイゴルだからこそ、これまでとは違った友好を育めるかもしれないと、リュールは思ったのだった。

イゴル⇒ 早く帰って報告して急いで戻るぞ!

ヌボー⇒ 私は妻とゆっくり過ごしたいのですが.....(言い出したら聞かないからなー無理だろうな。グスン)


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※投稿は毎日朝9時過ぎです。引き続きご高覧頂けるとウレシイです٩(*´꒳`*)۶

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