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毒殺容疑で牢に入れられたメイド、唯一の味方は王子様──戦乱の果てに妃として迎えられました  作者: 大井町 鶴
◆第四章 コーザヌとの和平

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見つけてきた妃

「おい、お前!なかなかやるじゃないか!」


舞踏会のあった昨夜からイゴルにずっとからかわれ続けていた。今日も朝からからかわれ続けたリュールはそろそろ腹が立ってきていた。


「お前、しつこいぞ!」

「だって、お前が皆が見てる前で口づけなどするから悪い」


つい、リュールの気持ちが高ぶって皆の前でエバに口づけてしまったので、その後が大変だった。拍手が起きて、まるで結婚式みたいな騒ぎになった。舞踏会の様子を見に来た父や母、メントにも冷やかされまくった。


(くそぅ……)


エバも相当、恥ずかしかったようでずっと下を向いたままだった。リュールは我に返り、理由をつけて舞踏会場からエバを連れて去ったのだが..........。


連れ去ったのが良く無かった。.......今朝からまわりの者がニヤついている。


「まあ、仲が良いのはいいことだ。 コーザヌも愛情深い。皆の前では口づけはしないがな」

「……忘れろ」

「ははは!」

「それより、お前、誰も気に入らなかったのか?」

「オレは相手のいない女がいいんだ。もう少し探す」

「探すってどうやって?」

「今日は、城を気ままに散歩させてもらう。誰かいるといいな」

「そんなことで未来の妃が見つかるのか?」

「さあな。運が良ければ見つかるだろう」


そう言うと、イゴルはヌボーとブラブラと散歩でもするかのごとく去って行った。


「イゴルに兵士とメイドをつけておけ。迷わないようにな」


リュールが指示すると、騎士とメイドが駆けて行った。嗅覚の良い彼らは多分迷わないが、入って欲しくないところもある。


訓練場での演習は基礎的なものにしろと、伝えさせた。仲が深まっても、彼らに戦い方を全て知られるわけにはいかない。


時折、彼らが何をしているか報告させながらリュールは滞っていた書類のチェックや資料を読んで過ごした。


やがて昼食の時間となると、イゴル達は戻って来た。


「昼の時間だな。一緒に食おう」

「来ると思った」

「何だ、イヤなのか?」

「そんなことはない。どうだった、散歩は?」

「見つけたぞ」

「何を?」

「オレの未来の妃」

「何!? ホントか?」

「おう。ここに連れて来たかったが仕事中だっていうんでやめた」

「仕事?何をしている者だ?」

「洗濯をしていた」

「は?」


洗濯をしていたと聞いて、城で下働きをしている者だろうかと考える。


「詳しく聞かせろ」

「だから、洗濯をしていた。西の塔近くの井戸端にいた」

「名前を聞いたか?」

「いや、聞いてない」

「何で聞かないんだ」

「忘れてた」

「普通、忘れるか?」

「オレも緊張していた。小麦のようなキレイな髪色の女だ」


リュールがすぐにメントにそれらしき下女を探すように指示する。


「どこが気に入った?美しいのか?」

「見た瞬間、気に入った。向こうは驚いていたが微笑んでくれた」


どんな女性かはイゴルの話だと全く分からないが、イゴルが気に入ったならばその女性をこちらも丁重に扱わねばならない。インデルとコザーヌの友好の象徴にもなるのだ。ひとまず、昼食をとりながらどんな話をしたのかを聞いた。


「何を話したんだ?」

「挨拶をした。何を洗濯しているのか聞いた。後は何を話したかな?」

「全く、参考にならないな。普通の世間話じゃないか」

「オレが思うに、お前も話し上手に思えないぞ」

「……」


イゴルはカンがいいのか。痛いところをつく。図星だ。


「僕とお前が似ているとするならば、きっと相手は聞き上手だな」

「そうかもしれないな」

「お前がコーザヌから来たと知っているのか?」

「ああ。それについて話した。意外そうな顔をしていた」

「ずっと争っていた相手だから、偏見があるかもしれない」


ヌボーがフンと鼻を鳴らす。


「偏見があるかもしれないじゃなくて、偏見でしか見ていなかったのでしょう?」

「ヌボーやめろ。オレの友に失礼なことを言うな!オレらも誤解を与えるようなことをしてきただろ。リュール、これから関係は変わるよな?」

「ああ、そうだ。お前が来てくれて良かった。お前の気に入った女性が妃になればいいな」


メントが女性を連れてやってきた。イゴルが笑顔で迎える。女性は急に王子に呼ばれたので恐縮していた。


「例の女性がイゴルの話していた女性か?」

「そうだ」


連れてこられたエプロン姿の女性は、素朴な感じの可愛らしい女性だった。


イゴルは女性の側に寄ると手を握る。


「名前を教えてくれ。オレはイゴルだ。あ、それはさっき伝えたか?」

「はい。イゴル様というのだと先ほどお聞きしました。私はリートと申します。」


恐縮してはいるが、落ち着いた話し方だった。メントが耳元でささやいてきた情報によると、リートはどうやら、男爵家の娘で平民ではないらしい。実家が貧しいようで城に奉公に来ているとのことだった。


「イゴル、茶の用意をさせよう。2人でゆっくりと話せ」

「おう、恩に着る」


イゴルの頬がピンク色に上気していた。運命の女性を前に、さすがのイゴルも緊張しているようだ。


(がんばれよ)


心の中で応援しながらイゴルとリートを送り出したのだった。

直感で運命の人が分かるコーザヌの能力はスゴイのです。


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※投稿は毎日朝9時過ぎです。引き続きご高覧頂けるとウレシイです٩(*´꒳`*)۶

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