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毒殺容疑で牢に入れられたメイド、唯一の味方は王子様──戦乱の果てに妃として迎えられました  作者: 大井町 鶴
◆第三章 異民族の脅威

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競い合いの会の開始

正式に競い合いの会にエバが出席すると伝えると、ヌボーは城を去って行った。


コーザヌは思ったらすぐに行動に移す。


ヌボーが去って2週間も経たないうちに競い合いの日にちと場所を提案する手紙が届いた。


メントが読み上げた内容によると、競い合いの会場は国境沿いに設けられるらしい。設営はコーザヌがするようだ。手紙にはご丁寧に会場の簡単な図面も記されていた。コーザヌは意外と几帳面なのだなと、リュールは思った。


「スタルの話だと、もう設営に入っていると報告がありました。開催はこれより2週間後と手紙には記されていますね」

「こちらが了承する前に、設営を始めるなんてせっかちなヤツらだな。日にちもこちらが都合悪いと言ったらどうするつもりなんだ」

「私は彼らの言う通りで構いません」


イラついているリュールを見たエバが口を開く。エバはリュールが自分のことを心配する時、大抵、不機嫌になることを知っていた。


「だが、国境沿いに行くだけでも10日はかかる。2週間後では準備に不十分だろう」

「私は、彼らがこちらに合わせる気持ちがある時に行うのが良いと思っています」

「何故、我が国がヤツらに合わせねばならない!」


側で聞いてきたハンガル将軍が声を荒げた。ハンガル将軍は何度もコーザヌと小競り合いを経験していたからコーザヌを憎んでいた。だが、未来の妃であるエバに対して横柄な口をきくことをリュールは許すつもりはなかった。


「ハンガル、お前、誰に向かって言っているんだ?」


リュールがギロリと睨みながら言うと、ハンガルはすぐにリュールに頭を下げた。エバに頭を下げたわけではなかった。リュールのイライラは募る。


「ヤツらは、道理が分からないヤツらです。競い合いも本当に交流を図るものか怪しいでしょう」

「私は信じます!」


エバは毅然とハンガルに言い返した。


(大将軍であるハンガルに言い返すとは。我が未来の妃はなかなか肝が据わっているな)


リュールもエバの言うように、コーザヌは彼らなりの道理で動いており、ただ暴れ回っているだけではないのかもしれないと考え始めていた。ただ、コーザヌは人族と違って話が通じない部分があるのは確かだ。


「競い合いは既に王とも話し合い、決定したことだ。エバが良い言うならば、日にちや場所も合わせてやろう」


リュールが言うと、ハンガルは納得はしていないようだが、大人しく引き下がった。


リュールはエバと2人きりになるとエバを抱きしめる。


「殿下?」

「僕の妻になる人はとても強い人のようだ。だが、無理はするな。ヒヤヒヤする」

「ご心配なく。私はこう見えても地元で腕を鳴らしていたのです」

「そうだとしても、気高くて美しい君の身が心配なんだ」

「気高くて美しいだなんて..........殿下こそ“気高くて美しい人”ですわ」

「僕は“美しい”と言われるよりも、“カッコイイ”と言われたいな」

「.........殿下は美しくてカッコイイ方です」


エバが頬を染めながら“カッコイイ”などと言うので照れた。自分で言わせたようなものだが、最近、エバが己の気持ちを素直に話してくれるようになって嬉しい。もっとエバを近くで感じたくなった。


「……エバに触れたいのだがいいか?」

「少しなら」


リュールはエバをギュッと抱きしめた。エバは、皆にきちんと認められて妃になるまではリュールとは一線引くつもりらしい。必要以上にスキンシップをすることを許してくれなかった。なので、リュールも仕方無くではあるが合わせている。


..............それから10日後、無事、エバが国境沿いに到着するとスタルが出迎えた。スタルは毎日、兵士を休ませることなく鍛えさせていたせいで、より日に焼けてたくましく見えた。


「スタル、競い合いの場には男は入れないと聞いている。競い合いの場になるテントを挟み、互いの兵が見守ることは良いらしい。よって、最前列の兵には武器は持たせず、2列目以降の兵から武器を持たせろ。目立つ武器を持たせるな」

「はい」


コーザヌの兵も続々と到着していた。小さな集団がいくつも集まってきて大きな集団を形成している。少し遠くには大きなテントが張られており、そこにコーザヌの長もいると思われた。


「コーザヌを殲滅させるならば今が丁度良いというのに」


側にいたハンガルが不穏な言葉を吐く。


「ハンガル、僕が命じないのに手を出すことは絶対に許さんぞ。破ればお前であっても処罰する」


リュールが厳しい口調で言うと、ハンガルは口を閉じた。


インデル国のテントも後方に張られた。リュールはエバとスタルを呼び出す。


「明後日にはついに競い合いなるものが開かれる。コーザヌが怪しい動きをしたらスタルが真っ先に動け。僕の指示は必要ない」


スタルはハッとしたように顔を上げた。リュールの命令を待たずに自分で判断しろと言っているのだ。自分の判断を信じていると言われてスタルは目頭が熱くなった。


「お兄様、危険なことなんて起きません。カンですが、私には分かります。だから、心配しないで下さい」


スタルがエバを抱きしめた。エバもスタルを抱きしめ返す。


「絶対に、2人とも無事に戻って来るのだ」

「はい」


スタルとエバの声が重なる。


……2日後、とうとう競い合いの会が始まったのだった。

コーザヌは基本、せっかちな性格です。思い立ったらすぐに動きます。


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※投稿は毎日朝9時過ぎです。引き続きご高覧頂けるとウレシイです٩(*´꒳`*)۶

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