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毒殺容疑で牢に入れられたメイド、唯一の味方は王子様──戦乱の果てに妃として迎えられました  作者: 大井町 鶴
◆第二章 事件の真相に迫る

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告白とプロポーズ

第二章の最後となります。

マレルの提案は、意外なものだった。


「エバを気に入ってるらしいわね。城に連れ帰って身の回りのことをさせているのでしょう?パトラから聞いたわ。そこで思いついたの!エバをうちの養女にして、リュールに嫁がるわ!」

「は?」


マレルが突拍子もないことを言うので、何を言ったのか頭にスッと入ってこない。


(エバを養女にするだって??)


「ジュリエルは領地で密かに出産してからあなたに嫁ぐ決意をしていたようだけど......現実的にはやはり、ムリよね。ならば、エバを養女にする。そして、あなたの妃にする!」


マレルはもう既に決めてしまったように宣言した。


エバを養女にする前に、パトラを養女にするべきだろうと、リュールは言いそうになった。チラリとモハイルを見ると、微妙な顔をしている。きっと同じことを考えているのだろう。


「随分、斬新な考えですね」

「あなたの父、チャートには私が手紙を書くわ。絶対に納得させてみせるから! あなただって、本当に好きな人と結ばれたいでしょう?」

「好きだと公言したことはありませんが.............もちろん、彼女をキライではありません。まあ、その、そういった爵位の問題がクリアできれば、婚約者になることも問題にはならないとは思いますが」

「ねえ、エバのことを好きなんでしょう?」

「.......何で、そんなこと聞くんです?」

「だって、何となくリュールが好きになりそうだもの」

「僕がエバに合ったのは最近ですよ?」

「時間なんて関係ないわ。私だってモハイルに恋したのは一瞬よ」


マレルはモハイルを見つめる。それまで黙って聞いていたモハイルは突然、マレルから愛の言葉を言われ、困ったように眉を下げた。どことなく、嬉しそうでまんざらじゃないらしい。


モハイルは、マレルを優しく見つめ返すと“あなたが思うようにすればいい”と答えた。この夫婦も色々とあったが、お互いを思いやっているのは事実らしい。


マレルはモハイルが了解してくれたことで、もうエバとの結婚を前提に話を進めて行く。


「でね、エバはいいでしょう? 私ね、もしかしたらリュールがエバを気に入るかもしれないと思ってメイドにスカウトしたのよ」

「はい?どういうことです?」

「ジュリエルが何となくあなたを好きだとか、そういった目で見ていないなと思って、予備というか、側妃として推してもいいと思ってエバを確保していたの。兄は軍で活躍していると聞いていたし、リュールがいかにも興味を持ちそうだったから。エバはキレイだし」

「はぃぃ?」


マレルの直感は時としてズバリと当たる。仕組まれていたのかと思うと、何となく悔しい。


「エバはマレル様の企みを知っていたのですか?」

「いいえ。私が勝手に個人的に考えていただけだから知らないわ。これから色々と話さなくちゃね!」


マレルはすっかりルンルン気分だった。マレルやモハイルと今後の方針についてかなりの時間をかけて話し合い、ようやく王城に帰宅したのだった。


リュールは王城に戻るとすぐに、毒殺未遂事件の全容を父王に話した。父チャートも当然、怒るだろうと思ったが、予想に反して爆笑したのでリュールはビックリした。


「父上、笑いごとではありません!」

「あのマレルならやりかねんと思ってな」

「僕はすっかり振り回されましたよ!」

「人生の良い経験になったではないか」

「したくもない経験です!気持ちの良いものではありません。 それにエバという被害者が!」

「だが、その娘をお前の婚約者にすることができそうではないか。私はいいと思うぞ」

「私もいいと思うわ。エバをこの前、呼び出してみたけど、なかなか気の利く良い娘だったもの。公爵家の後ろ盾があるならいいんじゃない?」

「父上、母上..........!」

「それにね、私、ジュリエルには怒っているの!リュールがいながらほかの男の子を身ごもるなんて!」

「それは、僕にも責任がありますから.........彼女に合わせた会話も行動もしてませんでしたし。幼馴染ですから、幸せになってくれるならば責めないと決めました」

「リュールはとっても優しいのね。私の宝物だわ」

「それであの、肝心なことが1つ残っていまして.........。実は、僕はまだ、エバに気持ちを伝えていないのです」

「何だと? お前、その娘を気に入って身の回りの世話をさせていたのではないのか?」

「えーと、状況からそうなっただけで、気持ちについてはその.....」

「煮え切らないわね!さっさと気持ちを伝えなさい!というか、婚約者にすると言えば済む話でしょう!」

「エバという娘を今すぐ連れて来るのだ!」


何故か、大変、物分かりのよい父と母によってすぐにエバが連れてこられた。エバは突然、王と王妃、王子に囲まれ、萎縮している。ムリもない。リュールは申し訳ない気持ちになった。


「エバ、突然、呼び出してすまない。あのだな..........」


(何故、父と母の前で告白しなくちゃいけないんだ!)


チラリと父と母を見ると、ニヤニヤしていた。これは絶対に面白がっている...........。


(ええい、クソ!ヤケクソだ!)


「エバ、端的に言う! 毒殺未遂事件は解決し、色々あってジュリエルとは結婚しないことになった。だから、エバが替わりに結婚してくれ!」


母が思い切り眉を寄せている。言い方を間違えたらしい。


「いや、替わりではなく、エバしかいないと思っている!」


まだ、母の顔は険しい。父もそうじゃない!と言う顔をしている。エバは困惑した表情をしている。


「好きなんだ!だから側にいて僕を支えて欲しい!」


顔を真っ赤にさせてリュールは思い切って言った。


(どうだ、これで!ハッキリと言ったぞ!)


父、母はニッコリ笑顔になった。合格らしい。エバは顔を真っ赤にしていた。


「.......どうだろうか?」

「でも、私は子爵家出身ですし...」

「フロック公爵家が君を養女にするといっている。色々あって向こうもそれを望んでいるんだ。君の両親や兄には何も伝えていないが説得する」


断ることができない言い方をして卑怯かもしれないと思いつつ、リュールは必死にエバに言った。


「殿下......本当に私で良いのでしょうか?」

「ああ。..............あ、ほかに好きな者がいたのだったか.......」


流れで突然、プロポーズすることになり忘れていたが、エバには好きな者がいると言っていたことを思い出した。背中に冷や汗が流れる。


「私の好きな人は.........殿下です」

「え!?」

「エバが僕を?」

「はい」


エバが涙をポロポロとこぼす。夢ではないらしい。ふと見ると、父と母も涙ぐんでいた。


(嬉しいけど、ハズカシイ.........)


その後、トントン拍子に新たな婚約者として話は進んだ。


だが、根回しをしていなかったせいで、王宮内は新たな婚約者に物議をかもすことになったのだった。

どうにか丸く収まりました。


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※投稿は毎日朝9時過ぎです。引き続きご高覧頂けるとウレシイです٩(*´꒳`*)۶

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