表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
毒殺容疑で牢に入れられたメイド、唯一の味方は王子様──戦乱の果てに妃として迎えられました  作者: 大井町 鶴
◆第二章 事件の真相に迫る

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/43

エバとのランチ相談会

黙々と料理を口に運んでいたリュールだが、聞いてみたいことがあると言ってランチに誘った手前、やはりあの話をしてみるべきだと思った。


「あー、えーとだな、ジュリエルと昨日話していたら、ふいにある提案をされたんだ」

「......私が聞いて良い話なのでしょうか?」

「構わない。........その、ジュリエルに側妃を持つように言われた。まだ結婚もしていないのに、側妃を持てなど今から言われて驚いてな。.........これは、ジュリエルが僕に愛想をつかしているからなのだろうか?」

「……そういうわけでは無いと思います。おそらくですが、子を産むとしても思うようにならないかもしれませんし、殿下の立場を思えばこそ心配なさって言われたのかと」

「それはジュリエルにも言われた。だが、言うにしても早すぎるだろう」

「はい……確かにおっしゃられる通りかと」

「ジュリエルは幼馴染だ。僕達は甘い関係ではなく、どちらかと言うと“同志”としての感覚が強い。だが、ハッキリと言われると、何だか複雑な気持ちになったんだ」

「殿下は、ジュリエル様を愛してらっしゃるからそう思われるのではないでしょうか」

「そんなことはないと思う! あ、イヤ、彼女に対しては家族のような気持ちは抱いている。でも、僕の知った()()気持ちとは違う」


リュールはエバに出会って、甘やかな気持ちを初めて知った。家族愛とは違うと言える。


「殿下にはほかに想う方がいらっしゃるのですか?」

「.........何でそんなことを聞く?」

「殿下の“知っている気持ち”とは、そういった方がいるのかと」


(“それはエバだ!” なんてこの状況で言えない......)


「そ、それについてはまたの機会に話すとしよう。 えーと、エバはどうなんだ?屋敷では評判が良かったと聞く。婚約者とか恋人はいないのか?」


ホントはこの件についてはとっくに調べていて、答えを知っている。エバには婚約者も恋人もいない。


「婚約者はおりません。我が家は貧しい家ですし、求婚してくれる方もいませんから」

「そうか」


分かっていても、安心してしまう。ニンマリしないように気を付けた。


「..........でも、密かにお慕いしている方はいます」

「何だと……っ!?」


驚いて声を上げたリュールに、エバが驚いている。だが、目の前が真っ暗になっていたリュールはエバの驚く様子が目に入らない。


(ウソだろ!?調査では好きな者もいないはずだったのに..........…)


「殿下........?」

「あ、ああ。想い人がいるのだな。そ、それは屋敷にいる者か?」

「いえ、違います。...............私の中に秘めた想いなので、その方に気持ちをお伝えする予定はありません」


悲し気に微笑むエバに、リュールは胸が切り裂かれるような痛みを感じる。


(誰なんだそいつは! でも、伝える予定はない? これは喜ぶべきなのか??)


リュールはひどく動揺していた。自分が初めて心から気になる女性には既に慕う相手がいたとは……。伝える予定は無いと聞いてもショックだった。


「私は、殿下のお役に立つことが本望ですから」


エバの言葉にバッと顔を上げる。


「慕う相手がいるならば、夫婦になりたいと望むのが自然ではないのか?」

「いいえ......私は兄と共に殿下に尽くしたいと考えています。側に私を置いて頂ければ幸いです」

「それは嬉しいが、何も結婚を諦めなくてもいいのだぞ?」


最後の方の言葉がかなり小さくなる。本当は誰にもエバを取られたくない。


「その、エバは、もし結婚するならばどういったことを相手に望む?」

「望むことですか?もし、私が結婚するならば、お互いを思いやれるようなそんな結婚が理想です」

「思いやれるような結婚か」

「はい。何でも話せてお互いを尊敬できるような…そんな結婚が理想です」


(何でも話せて、お互いを尊敬できるか......)


「つまり、仲の良い夫婦ということだろうか?」

「はい」

「僕も結婚するならば、そんな夫婦がいい」


思わず思ったことを言えば、エバがこちらを見た。思わずエバの手を握りたくなったが、彼女には好きな男がいる........。


「殿下、ジュリエル様との問題は解決できそうでしょうか?」

「ジュリエル?」

「ジュリエル様との関係についてお悩みでしたよね?」

「ああ、そうだった」

「?」


ジュリエルの心の内が知りたいと相談してみたが、リュールの本当の目的はエバが結婚をどう考えているだった。幸いにして結婚観は同じようだ。


ベルを鳴らして官女を呼んだ。茶のおかわりを頼む。


「そうだエバ、ジュリエルの家で出された茶についてだが。女性の美容にいいらしい。君も良かったら飲んでみてくれ」


黄金色の茶をエバに勧めた。


「これはキビ茶ですね」

「ジュリエルが飲んでいるから知っていたか」

「はい。最近、好まれるようになりました」

「女性はそういったものが好きらしいな」

「身体を温めるので女性にはおすすめですね」

「そうなのか。ジュリエルは冷え性なのか?」

「冷え性というより、身体を労わってらっしゃるのだと思います」

「そういうものか」


ランチ相談会が終わると、リュールは傷心のまま執務室に向かった。


(エバは好きな人には想いを告げないと言った。ならば、チャンスだと考えることにしよう)


リュールは、どうもジュリエルが自分との結婚を避けているらしいと知ってから、自然とエバとの進展を考えるようになっていたのだった。

エバに好きな人がいると言われて凹むも、側でずっと働きたいと言われ、何だかんだで嬉しいリュールです。


作品が“気になる&いいな”と思われましたらぜひ【ブックマーク&評価&いいね】をお願いします(*ˊᵕˋ )⁾⁾コクコク

(広告下にあります☆☆☆☆☆が★★★★★なったら感涙!モチベーション爆up!❣️୧(⑅˃ᗜ˂⑅)୨皆さまに支えられております)


※投稿は毎日朝9時過ぎです。引き続きご高覧頂けるとウレシイです٩(*´꒳`*)۶

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ