73話 痛みを味わうその時まで
―ロワ・ディスプリヌ、覚醒は神殺しであった
彼が生まれた天界宇宙は子孫神とアザトース神が争う激動の時代に直面していた。差は歴然。原初神が戦争を退いた子孫神は、七洋の猛追で劣勢に追い込まれる。積み重なる神の骸を眺めていた七洋ルシファーが興味本位で、とある実験を進めた。
それは神の肉体を媒介に、亡者の命を断片的に組み込んだ人造人間の製造だった。実験は難航を極めたが、二人の成功例が誕生した。二人は人間として存在するが、七洋からは”神殺しの兵器”として育てられる。
男の兵器は、ロワ・ディスプリヌと。
女の兵器は、大紫蝶と。
二人は傀儡として、全ての子孫神を一掃するまで戦争に投下された。神を殺せば殺すほど、意志は確立し、それを七洋は容認した。まるで、神殺しが存在意義だと押し付けられているようだ。
妹みたいな存在である蝶は毎日毎日懺悔し、神殺しに反発していた。ただ、七洋はオレ様達の意向を亡きものとし、神殺しを実行した。
『おぇ゛…!』
蝶は精神的に追い詰められると、吐く。そうなったら、オレ様は傍にいてあげる。苦しむ妹を横目に、明日の神殺しを考える。
(明日は蝶がいてくれなきゃ捗らないんだけど…この様子じゃ無理そうだね)
『?』
不意に見ると、蝶は忍んで泣いていた。どこに悲しむ要素があるか分からず、疑問が湧いた。
『生きるためにやってるんだよ。誰からも責められないでしょ?』
『いやよ…もう訊きたくない…私は殺しなんて…』
度重なる暗殺の感触は百合の花のように、深く心にとどまり、黒い輝きを発している。
(忘れちゃえばいいのに…)
オレ様は涙ぐみ、許しを請う妹の口を押えた。
『大丈夫だよ。オレ様が守ってあげるから』
月日は流れ、オレ様は全ての神殺しを完遂した。報酬でアザトースから神器を授かった。オレ様は地上宇宙に降り立ち、同じく元祖と呼ばれる兄姉に出会う。
『お前達が最後の弟か!』
歓迎してくれたのは、長兄ノーヴァだった。得体の知れぬ存在を優しく抱きしめてくれた。その温もりは戦いだけに生きていた自分の飢えを凌がせた。
『蝶は?』
辺りを見回しても、片割れたる妹はどこにもいなかった。
『すまない。説得したんだが…あの子はあちら側に行ってしまった』
ノーヴァは悲しそうに言った。放心するオレ様に兄は語る。
『元祖が生きやすい宇宙を作りたいんだ。その為にはお前が必要なんだ。お前のような善性の王が…俺たちを束ねる王を待っていたんだ。ここから離れた元祖は、明帝族に唆された。悪を一掃しよう』
兄の望みは、弟の呪縛。オレ様は迷わず王となった。反抗する兄姉は力でねじ伏せ、最強の元祖となった。
でも、知っている。誰が一番悪いとかはない。ただ、神と人類の利害が明帝族に向かっただけだ。唆されたんじゃない。彼らは自らの意志で帝国と敵対している。蝶だって、そうだ。
それでも、オレ様は命を屠る。それがクヴァレ帝国を守るためなら、命を捧げる。
倫理の欠如。娯楽の喪失。強者だけの宇宙を作るために、血縁を守るために。どんなに後ろ指を指されようが、王は民を守る。帝国の平穏が兄の願いなら、オレ様は洗脳されよう。すべての責任はオレ様が担う。いつか、兄と姉が揃い、協力し、笑い合える宇宙が来るその時まで、オレ様は王としての責務を全うする。
(だから、王は一人でなくちゃならない)
ロワは決意を固める。単調に見つめる紅玉の瞳は貫禄を孕み、ゲニウスを友好的に眺める。
(オレ様は求められても、本気を出すことはなかった。だって皆弱いから。ずっと傀儡として生きてきて、楽しいこともあったけど、オレ様が真に欲した喜びはない。でも、君はオレ様を本気にさせた!)
「不愉快だね。こんなに昂ってるオレ様が…本当に!」
天変地異を引き起こし、英傑の海全土を破壊する荒業をロワは実行する。その範囲は、竜族襲来よりも広く深く、より丁寧に破壊を尽くしている。一つの海、一つの宇宙空間に及ぶ”執行”を、ゲニウスは冷静に対処していく。
大戦が開幕してから、二人はずっと戦い続けてきた。フルスロットルの決戦への介入はなく、王の頂上決戦は滞りなく進んでいる。一喜一憂の一手を紡いで、互角の決戦を推し進める。言葉での語り合いは皆無。嵐は吹き荒れ、豪雨に浸り、雷は間髪入れずに落ちる。地盤の沈下と隆起は繰り返され、未知の建造物が形成される。何よりも”執行”の性質は高く、これだけの天変地異と物質干渉を無条件に継続し、意のままに操っている所を見るに、ロワにはまだ底力が隠されているようだ。
「素晴らしい才能ですね。こちら側でしたら、確実に守護者になれますよ」
「君が勝ったら考えてあげなくもないよ」
「貴殿が元祖最強と言われるのも納得です。神でないのに、ここまでとは…」
「オレ様は神殺しの兵器だからね。君みたいに神となる人類には選りすぐりの兵器だよ」
「…」
「オレ様は七洋から殺しを教わった。練習台は神。レヴィ兄も、キフェ兄もオレ様を超えられなかった理由…教えてあげる」
ロワは”執行”の対象をゲニウスではなく、己に課し、絶対命令を下す。その瞬間に、彼の能力値が格段に上昇する。ロワの集中力が高まっていく。次いで察した。
彼が繰り出す技は、恐らく神でも人類でも相手するような明確な技ではない。殲滅だけを目的に創り出した始まりの王に相応しき技。
ロワは聖剣ルルイエを突き立て、紅玉の瞳を向けた。何かを訴えられたゲニウスは身の毛がよだつような恐怖に苛まれ、射程範囲を大きく外れるほど距離を取る。
「君なら生きてくれると信じてる」
ロワは一言投げかけて、ゆったりとした動きで、一歩踏み込む。天に突き立てた剣の切っ先は弧を描く。所作は変哲もなく、剣筋の型も一般的に普及している剣術と変わりない。彼は勢いよく聖剣を振り下ろす。途端に剣の慟哭が鳴り響き、通常の射程範囲を無視した広範囲に、巨大な斬撃を投下した。
斬撃は一直線に飛来して、攻撃を免れていたゲニウスにも届いた。強靭な竜を切り裂いた斬撃はさらに飛来して、山脈を砕き割り、通過点にある障壁を全て薙ぎ倒した。
殲滅に全振りした一投は、ロワの予備動作無しの規格外な通常攻撃と組み合わさり、神と竜の肉体を合わせ持つ竜王に、いとも容易く深手を負わせた。土煙が一帯を占領する。薄れていく砂は、ロワの放った攻撃の激情を物語り、平地と化す。
「”律”の元祖の才”執行”で干渉の無効化を付与して防御を貫通させ、禁じ手を融合させたオレ様最強の御業―己が存在証明!」
ロワは戦場の根幹を崩した大技を公開した。切り札であるそれを放っても、ロワには余裕がある。剣を肩に持ち、悠然に眺める。
「これは子孫神…終焉の手向け。神の殲滅を有意義にするための必勝技。セアちゃんとは戦いにならないからね。相手を選ぶ技でもある。単独で、しかもオレ様の意志で放ったのは君が初めてだよ」
敵の惨状すらわからないまま、ロワは王を待つ。ゲニウスが生きているか分からない。戦える状況にあるかも不明。だが、必ず突破してくると信じている。
彼の意志は紅玉の望みとなり、叶えられる。
キンッ―!
乱雑な土の世界から、火花が散った。太陽の落火を彷彿とさせる殺意が練りこまれた一投が交錯する。聖剣ルルイエと指甲套だ。狂気となる指甲套は竜の指に填め込まれ、命を奪う武具となりえた。竜王はロワの望みを叶え、対等な決戦を継続させる。
右腕を失ったゲニウスの胴体は辛うじて繋がれ、とめどなく流血している。痛みを無視した超集中状態。琥珀の瞳は靡かず、始まりの王だけを捉えている。
「君なら応えてくれる…そう思ってたよ!」
感情が昂ったロワは予備動作無しの突きを繰り出した。刺突を正面から受け止め、ゲニウスは蹴りだけでロワの体勢を崩す。
「索冥璇」
ゲニウスが権能を解除した。それは等価交換の原則を司る。最強の御業は災厄の棟かと認識され、荒業を耐え抜いたゲニウスに対価が支払われる。千切れた右腕が再生し、容赦なくロワの顔面を殴った。
一度、決戦の嵐は静寂を迎える。
「はぁ…はぁ…」
「ふぅ」
両者、休息の呼吸をする。大気に混ざる死線の恐怖が脳を刺激している。落雷は止まず、決戦は続いている。
「中々に劣悪な試練でしたよ」
ゲニウスは自己治癒を開始して、胴体を再生させる。ロワも息を整えて、彼の講義に反発する。
「先人の知恵だよ。君は上澄みだけど、まだまだ若人だからね〜。ちょっと悪戯しちゃった」
「戯言を…本気で殺すつもりだったでしょうに」
開戦の前だけ言葉を交わして以来、やっと、二人は真面に会話を成立させた。次が終わりであることを知っているからだ。少しでも、この有意義な時間を堪能するために。
「竜族襲撃の際、貴殿は私に”何か”を訴えかけました。その”何か”とは…ギハラですら、貴殿との面識は皆無。ですので、少々手荒な手段を…」
「エドガーお兄ちゃん?」
「ええ、彼は優秀な非戦闘員です。こういった歴史の紡ぎ手は彼しか務まらない。ある条件と取り換えに、貴殿の過去を覗かせていただきました。大切なものを守るために、傀儡の王となることを厭わない真摯な決断です」
「でしょ。理性を投げ捨て、愚かな選択で破滅を誘導する王よりも…権威の象徴の冠を被り、骸な忠心を捧げ、思想に従って、民の要望に応える王の方が遥かに帝国を存続できる。長年に蓄積される幸福の量こそが、偉大なる王の証さ」
「仰る通り。未熟な王であった私もそう信じていました。ですが、今は改めています。王の威厳を世に知らしめ、熱病の忠心は最愛に捧げ、未知の領域に突き進み、道を切り開く理性無き蛮勇の統治で、新たな王国を建国する。多くの課題を前に、苦境を乗り越える勇姿は民の目には偉業と称される。瞬間に抱き、果てしなく続く敬愛こそが偉大なる王の導き。幸福の質こそ、王が目指す原点」
「大勢を幸せにする方がいいでしょ」
「継続こそ至高です」
「…」
「私たちは王として邂逅し、王の存在意義を語り合う偶然の運命です。その中でも、貴殿が欲した”何か”を私は与えましょう。いいえ、こうして戦っている時に…貴殿の望みは叶っているはずです。証明して差し上げましょう。一国民も粗略に扱わない。
竜王の流儀を刮目せよ!」
縦長の瞳孔は獰猛な神獣となる。琥珀の瞳は宇宙を見、睨んでいる。半透明の金色に輝く角はヴェールを纏う。激しい欠損が竜の鱗で補填される。琥珀は澄んで、太陽神を彷彿とさせるほど、強烈な輝きを放っている。ゲニウスは超集中状態に到達し、ゾーンを抉じ開けた。
ロワも聖剣を構え、最後に備える。
動き出す。刃が研ぎ澄ます殺戮欲が、二人の王の常識を衝突させる岐路となる。
先に動いたのは、始まりの王ロワだった。彼は持ち前の瞬発力を駆使し、矢のように鋭く聖剣を突き出す。押し出される圧は切っ先の一点に集中し、高密度の刺突はゲニウスの右肩を抉った。最高硬度で覆われる鱗を砕いた。始まりの王にしか為せない初動は序の口だ。彼はまだ得意技である予備動作無しの超人技を使っていない。
次いで、ゲニウスが動く。片腕の指を突き立てるように構えた中腰の踏み込みから、地面を抉る剛力。精神が統一された彼は些細な揺れと振動を感知し、一挙手一投足が機敏に反応する。それは正に生存本能。一つの武具として確立された指甲套に熱く燃える激流が宿る。彼は堅実な格闘術で、人体の急所を優しく刺激し、完全防備状態のロワの体勢を崩し、心臓を標的として、強烈な拳をお見舞いする。だが、ロワは洞察力で致命傷を外させ、代わりに腹を抉らせた。指甲套に肉片がこびりつく。ゲニウスは肉片を捨てるのではなく、指甲套を舐めた。明らかに倫理に欠けた行動をしていても、彼を止める者はいない。
満身創痍ではないが、積み重なれば我慢勝負になる。次の一擲で決まる。
ロワは入念に一突きを練る。細心の注意を払い、愚を撤廃した。
ゲニウスは肉を抉る感触を思い出し、完全集中力を再度抉じ開け、境地に至る。どちらも刹那の浮遊感に苛まれる。
如何に相手を上回るか、思考と技術を求道したロワは才”執行”の使用を排除し、斧が肉体だけを信じ、禁じ手を解放した。戦場の常識を、誰が相手でも、何度でも根本から崩す。ひらひらと蝶のように隙間を掻い潜るロワの消極的な動きには、溜めの構えが一切見られない。切り札が来ると分かっている。その被害も抑えられないことも分かっている。前兆は、急襲の足取りを刻み、未知の変貌から創出される切り札は確実に、ゲニウスに届いた。
聖剣ルルイエは振り薙いで、足と胴を切断しようとした。鱗が無常に崩れ、切片が地に落ち、硝子のように光を反射している。あともう少しという所で、ロワの肩が強く掴まれた。吃驚したロワは前を向く。そこには勝ちを確信したゲニウスが、悪く笑っていた。
如何に一撃で相手を上回れるか、相応の犠牲から成り立ち、リスクさえも上回る結果を齎す忠実な戦術を求道したゲニウスは、最後の権能を解除した。
「角端揺光」
刹那に、ゲニウスの脳内に走馬灯が駆け巡り、人生の教訓を説いた。研鑽して、先導する生存本能に従い、ゲニウスは高く掲げていた拳を振り下ろした。迷いが微塵も存在しない最高の嬲り。嵌めこまれた指甲套の鋭利な切っ先が今度は逸れることなく、彼の心臓を貫通し、破裂させた。人体からは想像もできない捩じれる音がしたかと思えば、ロワは全身の力が抜けた。
「最後にお話をしましょう」
倒れそうになるロワの体を支え、ゲニウスはとある力を僅かに分け与え、延命させた。
「…うわぁ、贅沢な使い方するね…伝説上の龍輝をさぁ…オレ様に使っちゃっていいの?」
「微量ですので問題ありません。セアにも了承は得ていますので」
「指揮権は殿堂者にあるんだろう。王なんて括りいる?」
「殿堂者はあくまでも先導を手引きし、架け橋にしかなりません。セアも理解し、最終判断を私に委ねています。貴殿は彼女が地獄にいると仰いました。ですので、今の最高監督は私です」
「冥途の土産に、権能の種明かししてよ」
「ええ、そうですね。麒麟の持つ権能は四つ。外界的能力の付与は二つ。
炎駒天枢は盛者必衰の理を司る権能。
索冥璇は等価交換の原則を司る権能。。
そして、内部的能力は二つ。
聳孤玉衡は夢と現実を司る権能。
そして…角端揺光は海闊天空を司る権能。生きていれば多くの風景を見、記憶を培います。死が迫る直前、全ての記憶が影絵として脳を巡り、その中で生存に繋がる希望を探し当て、延命することもあります…走馬灯から繋ぐ生存確定こそが、”麒麟”の切り札です」
種明かしに、ロワの口から笑いが零れる。
「走馬灯なんて死から逃げる意識の延命だろ? そんなのに負けたの?」
「走馬灯の影絵は死線の数と同意義。私は記憶を尊重しています。貴殿と戦った記憶も、貴殿が求めた”何か”も…もう覚えてしまいました」
ゲニウスは優美な笑みで答えた。ロワが与えた殺生の傷はいつの間にか治癒しており、平然を装っている。
「走馬灯が理解しがたいならば、貴殿は死線との邂逅はなかったみたいですね。感じられましたか?…死の味を」
ゲニウスの問いかけに、ロワは目を瞑る。そして、彼と交えた最後の一手の場面を思い出す。忠実な戦術から想像もできない刹那の嬲りからは殺意を感じられず、純粋な思考の敗北を実感した。死を覚悟したかといえば、よくわからない。ただ、彼が与えた嬲りが到達する刹那に、心臓が大きく跳ね、意識が浮上した。それが死の覚悟だと言われれば納得だ。
(死は分からない。でも、ゲニウスの拳がオレ様に到達したとき、生きた心地がした。オレ様の生存が証明された…)
ロワは紅玉を天に掲げた。青空に隠された夜空を探す。
「お兄ちゃんは痛みを感じれば、生の実感を得られるって教えてくれた。痛みは痛覚じゃなくて、喜びだってこと…教えてくれた…君と戦ってみて、オレ様から逃げず、対等に渡り合える人間がいたってことが…オレ様にとって、喜びだったのかもしれないね…」
ロワの肉体が塵のように霧散していく。疾うに壊れる運命にあった神の肉体を、魂で継続させていただけで、ロワという魂が満足したことで、肉体の限界が終わりを迎えたのだ。
「ね、エドガーお兄ちゃんとの条件…なんだったの?…オレ様の崇高な過去を見るに値する報酬なんでしょ?」
「ロワ・ディスプリヌの死―私が最高の王となる条件です」
ゲニウスの回答に、ロワはけらけらと笑いこける。そこには激闘を繰り広げた疲労はない。後悔もなく、生に執着もしていなかった。
「逝ってしまうのですね」
「それが君たちの―人類の答えだ」
ロワは立ち上がり、霧散する肉体が塵となり、天に昇る光景を見届けようとしている。満足そうに、どこか成熟していない青年の屈託のない笑顔で、ゲニウスに言った。
「肉体は朽ちても、魂は腐らない。オレ様は未来永劫、王として君臨する。
けど君はオレ様に勝った! これは素晴らしい偉業だ! いいだろう…この瞬間、最高の王は君のものだ!
だから、オレ様の分まで民を幸せにしてくれ!」
ロワは拳を差し出した。始まりの王の威厳を譲渡し、矜持を分かち合いたいのだろう。時代も、手段も、犠牲の数も異なる二人の王だが、求道したのは民の幸福。
「始まりの王よ、人類を代表して…感謝を」
ゲニウスも拳を差し出す。静寂の拳のぶつかり合い。二つが一つに、野望が高みへと進化していく。
ロワの肉体は完全に霧散して、ゲニウスだけが存在した。彼は惜別の念を抱き、王の死を讃えた。
「戦友よ、再見―」
ロワの秘話
誕生日6月19日、誕生星はワズン
意味は《人を惹き付ける不思議な魅力》です
成功例の人造人間として誕生した日と、彼は生まれたときから才を発現していた日です。
アザトースの血が流れていると言っても、本来であれば発現には早くて五歳ほどです。けれど、彼はあらゆる天賦を無意識に惹き付けたと考え、才能面であれば人類随一であり、なにより、アザトースの力を物にしたという点であれば、とても優秀です。
ノーヴァに傀儡の王として擁立されても、民のためだと言いきれる程、胆が座っていますし、ロワの統治は人類に存在する王の中で異彩を放ちます。
どれだけ残虐非道なことをしたとしても、ロワを憎む人類は誰もいません。




