43話 シェヴンの痛み
ゼーユングファーとバイラールは先輩後輩の関係ですね。ですが、バイラールも黙ってやられるような漢じゃないです
―”魁”の元祖、かの者は魅了に長けた者也
されど、その魅了は人類ならず
かの者事象を魅了する
求めば、異種族を統べたまう
然れども、かの者に心赦すもの為し
相対するゼーユングファーとバイラール。三叉戟をちらつかせる彼女を見て、バイラールは神々しく発光し、どこからか槍が出現する。それは三叉戟に対抗してか、二叉の形状をして、彼の万力に耐えられるように柄が太くなっている。その一部始終を目にしているゼーユングファーはバイラールの元祖の”才”を思い出す。
「なんだったかしら。”最善”だったかしら」
ゼーユングファーの問いにはにかむように笑って見せる。バイラールは槍を肩にかけ、ゼーユングファーに敢えて油断を魅せる。それを高台から遠巻きに眺める兼平と雲颯。
(”最善”、事象を無意識のうちに手中に収める”才”。どんな状況でも事象がバイラールに”最善”策を教え、そうなるように導く能力。任務達成率100%のフォーセリアに次いで、任務達成率97.1%の実力者。この記録と実績は竜王や魔塔主さえも未だ追い抜くことができていない)
「俺が守護者になった理由はな、あんたの穴埋めってのもあるんだぜ」
「あなたが?私の代わり?笑わせないで頂戴。いつも中間でうだうだとじゃれているだけの遊び人がそんな戯言、聞いて呆れるわ」
「ひでぇな。俺は一途な漢なのに」
洗脳の影響かはわからないが、温厚なゼーユングファーは同業者であるバイラールを敵視しているように見受けられる。兼平は雲颯に治療を受けながら、しぶしぶ彼らの戦いの観戦に回る。
「そう。なら…」
ゼーユングファーは言葉を呑み込んだかと思えば、三叉戟を氷の足場に突き刺して、破壊を試みる。彼女の思惑通り、足場には大きく亀裂が生じて、バイラールを海の中へと堕とす。彼はそれを無抵抗に受け入れる。バイラールは冷たい海の中へ、ゆっくりと沈んでいく。体が水をかき回す音、纏わりつく重い水、地上と異なり、思うように四肢を動かすことが許されない。そんな彼の周りにイルカが現れる。
(水の妖精…世話になるなぁ)
そのイルカはバイラールの周りを何度か回ると、満足気に彼に憑依する。水の中、息を我慢していたバイラールだったが、妖精が憑依したことで水中でも呼吸が可能となった。
「ふふ、オベロンがいたら睨まれるわよ?あの子、妖精王だから」
その事象に慣れているのか、ゼーユングファーは冗談で彼を卑下する。人類と言えど、一族の長の許可なしに異種族同士が結託することに寛容でない者も多い。
「んなの慣れた。守護者同士なら黙認することも外交の一つだぜ?」
お互い嘲笑う言葉を交わし、挑発の意を込めほくそ笑むと、戟が刃を交える。ほぼ同時に放たれたそれに、海は耐えきれず振動する。
「っ!」
しかし、力の押し付け合いでは鬼族であるバイラールが格上であった。押し返されるゼーユングファーの体にバイラール分の反動が圧し掛かるが、ここは海。彼女の領域である。反動を使い、渦を生じさせる。その渦はバイラールに向かって移動し、彼の横髪を掠め取る。槍で斬って、ゼーユングファーに刺突を繰り出す。万力からなるその刺突は水中でありながら、水を斬り、ゼーユングファーをよろけさせる。
「もういっちょ!」
バイラールがもう一度仕掛けようとすると、ゼーユングファーが不敵に笑う。その笑みにバイラールは攻撃の手を止めて、いったん距離を取る。
「残念ね」
がっかりとするゼーユングファーに冷汗をかくバイラールの背後から異様な殺気が襲い来る。事象が彼に”最善”策として、水の妖精憑依を解除して、1メートルほど潜らせる。その最善策は正しく、背後にいた鮫の猛突進を運よく躱すことができた。すぐに妖精を憑依させて、ゼーユングファーに向き直る。彼に突進してきた鮫は心地よさそうにゼーユングファーに頭を撫でられている。
(俺が直前まで気づかなかった。となれば、背後に回ってたわけじゃないな。考えられるのは、”直前に鮫を生成しやがった”)
「その能力、メガトロンの”才”に似てるな。いや、似てんじゃなくてメガトロンもお前の子供、海族出自だったな」
「ええ、74男”海”の元祖メガトロンは私の子。でも、あの子は海を出たわ」
「ああ、黄金郷の湖の秘宝を守るためにな。だが…」
「ええ、それは間違いだった。あの子はクヴァレ帝国の策略に嵌って、才である”万物”を奪われ、命を落としたわ。絶対に許さない」
(…ノーヴァがメガトロンは死んでいるって教えてくれなきゃ俺も知らなかった。あれから調べてみたが、メガトロンの命を奪ったのはクヴァレ帝国一派のカデナって言っても信じちゃくれねえな。今の状態じゃあ)
怒りがこみ上げるゼーユングファーは少しばかり冷静を欠いている。ここで下手なことを言えば、彼女の怒りに油を注ぐだけの行為だ。それを加味して、交渉の余地は断たれたと判断する。ゼーユングファーから朗らかな雰囲気が消え、冷徹な瞳に変わる。
「!」
その冷徹な瞳からは哀愁が漂う。なぜ、そうなのか。バイラールは瞬時に理解した。彼女の背後からは、彼女を守護するように、己を害するように生成された古代生物が牙を向け、バイラールを睨んでいたからだ。
「海族に危害を加えるとはいえ、元は共に戦った弟を殺すだなんて…でも…」
哀しみに暮れるゼーユングファーは、その哀しみを乗り越えたとびきりの笑顔を見せる。そして、バイラールを指さして、
「ようこそ、私の支配地へ」
その言葉を皮切りに高速と大きさに特化した古代魚は突進する。大きな固体は牙を向け、バイラールを嚙みつく行動をとり、小さな個体は唯一の逃げ道である隙間を塞ぐ役目を担うと同時に、強靭な尾ひれでバイラールを叩く。その盛んな攻撃に反撃の余地すらなく、バイラールは海の脅威をその身で味わう。たった一人の人間に群れて一網打尽にするその暴力の技。この姿こそ海族の狩人。七大一族の一翼として恐れられているのだ。その暴力は激甚の大海を体現するほどのものであるにも関わらず、三分は優に超えていた。
「もっともっと深く、淀んで、私の手に堕ちて。バイラール・イグニス。
”再編”異例変性潮凪の波及」
そんな鬼畜なターンでも、ゼーユングファーは攻撃の手を緩めるどころか、追い打ちをかけるように、強靭なる古代魚を生成する。その身、肉の一片を取り零すことを許さぬゼーユングファーの剣幕は海洋生物に伝わり、彼女の役に立とうと行動に鋭さが増す。最愛を見守るように、ゼーユングファーは手を出さない。それが彼女の本来の戦い方。しかし、その戦いを逆手に取ったのが事象を手玉にしているバイラールである。ゼーユングファーも感じ取れぬ雀の涙の殺気。それが急激に磨かれて、魚の群れをたった一振りで壊滅させる。その太刀筋は夜空の王として君臨する朏を描く。
「流転刻印朏」
「…」
バイラールから溢れる殺気とは異なる威圧感。それに気圧される海洋生物を見たゼーユングファーは少なからずめんどくさいと思う。
(私たち海族が七大一族として脅威が暴力なら、鬼族は際限の無い体力!)
ゼーユングファーは脳内に起こる情報を現在と照らし合わせる。その情報は鬼族のテッペンであるバイラールが真実であると、彼女は辿り着く。傷は負っているものの、ピンピンとしている彼にそこはかとなく不快感を抱く。
(恐らく、この子達の猛攻を一つ一つ捌いていたのね。途方もない持久力を要するのに、一切の文句すら言わない)
「困るわ。遊んでよ。手応えがなくて嫌になるわ」
「遊んでほしいんなら、あんたが直々に相手してくれよ!」
快活に笑うバイラールに、静かに堪忍袋の緒が切れたゼーユングファーがバイラールが理解できない言語で何かを唱える。こぽこぽと水中にこだまする。海底から零れる泡はゼーユングファーの頬をくすぐる。彼女の足は、人間のそれとは異なり、まさに人魚に変貌する。否、人魚が彼女の本来の姿であるのだ。
「”再編”水性変性燭」
彼女がそう言うと、穏やかだった海が変わり、潮の流れの向きが変わった。緩やかに変化するそれにバイラールは直感的に危機を覚えるが、事象が何も介入しないことを判断材料として動かない。しだいに海流は大きく、勢いよく流れ始める。
(海流を操ってんのか? なんだ?)
腑に落ちないという態度に、ゼーユングファーはバイラールに駛走する。その疾さは荒野を駆ける獅子のごとく雄々しく、その疾さは大空を羽ばたき見た者を魅了する燕の流麗のごとく楚々とした美しさを兼ね備える海族が誇る肉弾の必殺技。その突進に防御が追いつかず、バイラールは水中で意識を失う。しかし、すぐに正気を取り戻して毅然とした態度で挑む。彼は現海族族長であり、同じ守護者であるオーシャンを思い出す。それは手合わせをしたときに実感したことが、彼の脳裏に過ったからだ。
(あいつの速さは人類最速。俺じゃあ対応できねえ。なら、その速さを利用させてもらうぜ!)
バイラールは水の妖精の憑依を無理やり解除させて、服に水をしみこませる。その奇行はゼーユングファーの油断を誘うのではなく、更に彼女を不快にさせる。
「なにをやっているの…」
彼女の一言に耳を貸さず、バイラールがそう願ったのか分からぬが、バイラールとゼーユングファーの立ち位置が垂直になっている。異端なことに、ゼーユングファーが深海、バイラールが地上に近しく、簡単にゼーユングファーの一突きを受けてしまう位置関係になってしまった。そして、それを悟らぬ愚行をしないゼーユングファーと、知っていての行動のバイラールは対照の思考を持っている。
「殺すわよ?」
ゼーユングファーにバイラールの影が落ちる。地上から降り注ぐ太陽の光は反射して、より眩しく感じられる。その眩しさはまるで自分が齎したものだと自負するようなバイラールは顔に喜色を浮かべて、一言。
「Please」
その言葉が届いたと同時にゼーユングファーは先ほどとは比にならない速度で地上を目指して、上に突進する。その手には先程とは、またも異なり、三叉戟が握られている。先の駛走が腕試しであったかのような一連の行動。三叉戟の矛の合間を縫うように泡が上に上り、バイラールの頬をなぞる。裏葉柳の瞳に、光を反射して輝く矛が浮かぶ。
バイラールの肉体と三叉戟が触れる音は海に掻き消され、彼と彼女だけが知る刺突の瞬間を創り出す。しかし、その刺突の威力は目に見えて強大であると分からせる事象。それもそのはず。刺突を防御したバイラールが海中から地上に高く高く突き飛ばされたからだ。その光景は初代から海の頂に座る元守護者の威厳を示し、長らく行方不明とされてきたゼーユングファーの復帰を象徴する歴史的瞬間であった。空中で気絶したバイラールに向かって、海面から体をのぞかせるゼーユングファーは、彼に向って三叉戟を構える。刺突の熱をそのままに、彼女からは鋭く、槍の矢音のように、大気までも斬る投擲がなされた。
「!」
飛翔した三叉戟は確実にバイラールに向かうが、彼の態勢が少し傾いたことで掠りもしなかった。上空から落下するバイラールを鵬に変身した雲颯が背中に乗せて回収する。
(…これがバイラールの”才”。事象が私の投擲からバイラールを守った)
事象がバイラールを助けたことを確認して、彼の才の効力が終わったと、その時のゼーユングファーは油断していた。バイラールの才”最善”は事象がバイラールを助けるための自動誘導ではなく、バイラールが望むことを”最善”策で実現するために事象が自動誘導を施す能力である。これを知らないゼーユングファーは脅威を全て取り払い、悠々と、されど確実に雲颯諸共バイラールを殺そうとする。その一種の隙こそがバイラールが狙っていた勝利への兆しだということをゼーユングファーは、自身が育てた愛妹である兼平の詠唱で思い知らされる。
「六つの花、樹氷の凍て星、月下の霜、結氷湖袖の氷、氷面鏡の華美を讃える…」
その詠唱はゼーユングファーと兼平が邂逅した直後に放たれた、この戦いの始まりを告げるもの。そして、その詠唱は始めと同様にゼーユングファーの頭上から響き渡る。
「深淵の装飾を承る逸材は、白波を固く結び、地上の蒼海のここに導かん!」
兼平の頭上には氷塊が形成される。
「細雪名残の深雪水府」
兼平が氷塊を海面に叩き落とす。氷塊と海が触れあった時、全方位に氷霧が視界を眩ませる。その氷塊は樹氷となって、海を凍らせる。当然のことで、飛沫も、波も一瞬で凍結して、ゼーユングファーの身動きを封じる。体が氷のようになる自身の体は制御ができず、そのまま落下するが、またも雲颯が背に乗せて救出する。その光景を鬼の形相でゼーユングファーは睨んで、氷を砕き、投擲の構えを取る。
「―和の海統括守護者バイラール・イグニスの権限により、元守護者ゼーユングファーを捕縛する」
バイラールの言葉に、彼女はやっとバイラールの存在を思い出す。しかし、思い出すには遅すぎた。鬼族の脅威は際限のない体力。それから紡がれる拳は絶対的威力を誇る。その拳はゼーユングファーの頭上から突如として降り注ぎ、拳が全土に響き渡る。拳は海面を氷結させた氷にヒビを入れて破壊を尽くす。
「バイラール!!」
足場のない海、混沌とした状況で、姉がどうなったのか兼平は大声でバイラールの声を上げて、どうなったかを知ろうとする。不安で張り裂けそうな胸を必死に堪える。すると、彼女の目に一人の影が映る。
「無事」
目の良い雲颯がそう言うと、兼平は安堵して、緊張の糸が解けて体から力が抜ける。気絶したゼーユングファーを介抱するバイラール。ゼーユングファーの傷だらけの体を目視して、バイラールは眉を顰める。
『酷いかい?』
感慨にふけるバイラールの耳に、突如として違う声が耳に入る。聞き覚えのある声は、いつもバイラールを不愉快にさせ、されど、バイラールとは違った強さを持つ煩わしいそれに、バイラールは怒りをあらわにする。
『なぜ、そんなに怖い顔をするのかな?』
「全部お前の計画か!いけすかねぇとは思ってたが、ここまでとはなぁ!レヴィアタン!!」
バイラールが声の正体を暴くと、レヴィアタンはにこりと微笑み、バイラールの前に姿を現す。といっても、幻像だ。手の出しようがない。
『君が倒したのかい?さすがだね。その子の後釜は優秀だね』
「おい、一体なんのつもりだ!」
『まあ、今お前に言ってももう対処はできないしね。教えてやってもいいかあ』
レヴィアタンからのくすぐるような視線に、バイラールは苛立つ。
『七大一族の一翼海族の脅威は、同一翼の竜族を上回る人口さ。つまりは数の暴力。その人口が収まるだけの領土を確保し、初代海族族長は星の海にアトランティス帝国を建国した。星の海統括守護者アストラの権力がアトランティス帝国で無効なのは、そのため。海族の特権とも言っていい』
「話になってねえ」
『急かすね。要は海族が邪魔なんだよ。蓼食う虫も集れば行く手を阻む脅威となる。質と量、圧倒的物量の海族を葬り去る。これこそが第一の目標』
驚愕の目的を聞いたバイラールだが、心だけに止めて面には出さない。
「それが、なんでゼーユングファーを倒すことに繋がるんだ?」
『まあ、そうなるよね。君たち紅帝族は冒険者ギルドへの加入を義務付けているだろ?その冒険者ギルドの拠点は魔法使いならば魔塔か教会、勇者ならばアトランティス帝国かアウグスティヌスにある』
ずっと微笑みかけるレヴィアタンにバイラールは吐き気を催す。
『アトランティス帝国にはね、初代海族族長が残した結界がある。それは無駄に頑丈なんだ。だが、捕虜の海族とお話ししたときに関係者がいてねぇ。解除条件は至ってシンプル。海族初代族長の正妻ゼーユングファーが守護者に敗北することだったんだ』
「なんだよ、それ…」
『守護者同士が戦うなんて想像してなかったんだろうね。まあ、そうなるように仕向けるなんて私の十八番だ』
自慢気にレヴィアタンは話し始めた。
『私はゼーユングファーに催眠を施した。味方が敵に見えるという条件付きのものだけど、それによって、お前たちはゼーユングファーを倒さざるを得ない状況にした』
「姉貴の領土である海じゃあ、守護者が出動しないといけねえってことか。(たしかに俺も負けそうだった。兼平だけじゃ負けの結果しかない)」
『アトランティス帝国に冒険者ギルドがあるのは、強力な結界で今まで敵の侵略を防いでいたから。だが、今、その結界は壊れた』
「待て、この地上宇宙には姐さんの結界が張ってある。お前たちの限界は大幅に制限されてるだろ!」
『セアの結界よりも内側に結界を張ればいい。それには結界術の使い手、一部という条件が有するけど、こちら側にはキフェがいる』
「!」
レヴィアタンの答えに天と点が繋がり、彼の目的が実現できてしまうとバイラールは絶望する。
『悪魔大戦、君たちが慕うセアにより被害は局所的に抑えられた。しかし、君たちの希望のセアはいない。もう分かるでしょ、めんどくさい勇者も、海族も無くなる。あ、あと一つ』
悔しがるバイラールに追い打ちをかけるように、レヴィアタンは話す。
『お前が出たことは嬉しい誤算だったよ。これで黄金郷の湖の秘宝を手に入れることができる』
「おい! お前、今、どこにっ!」
黄金郷の湖という単語にバイラールは事象が教えてくれずとも嫌な事象を察する。彼はレヴィアタンに吠えるが、幻像は消えた。
「あせった顔、いいね」
幻像を無理やり遮断して、レヴィアタンはくすりと微笑み、横を見る。そこには気絶した華佗とミューズが捕縛されていた。そう、ここは黄金郷の湖。和の海の騒動に乗じて、侵略を開始していたのだ。
「あら?ほんとうにバイラールがいないわ」
「いなくていい」
ラミアの問いかけに同伴していたキルケがばっさりと切り捨てる。そして、大樹に手をかけて、幹を抉る。そこには小さな祠があった。レヴィアタンは座ったまま、語る。
「その祠の中にあるのが黄金郷の湖の秘宝、神々の魔力」
「私が前視察に来た時に違和感があったのは魔力だったからなのね」
キルケは祠に手を当てて破壊する。その中にあるのは、一粒の真珠だった。
「これ?」
その真珠をレヴィアタンに見せると、彼は頷く。
「神々の魔力を宿らせた神器宝貝。とりあえず、この中の魔力をソロモンに分けようか。早く悪魔召喚の儀を執り行おう」
キルケが持っていた真珠の形をした神器をラミアは奪い取るように、晴天の空に輝く太陽にかざす。太陽の光を反射して、キラキラと輝く。ラミアは俄然興味を示し、そして、せせら笑う。
「セアが戦ったのが第一次悪魔大戦なら、今から起きるのは第二次悪魔大戦と名付けましょう。ああ、胸が躍るわ」
やっとのことでゼーユングファーを倒した矢先、バイラールが警戒するレヴィアタンが接触してきた。計画の黒幕はやはりレヴィアタンです。陰湿な男ですが、とても優秀な漢です。なので、バイラールが黄金郷の湖を離れた隙をついて、秘宝の回収を成功させています




