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NO PAIN~女神は眠りの中に~  作者: うつせみ
1章 天地創造の海
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1話 痛みなくして人生とはいかない


これは少女が宇宙に挑む苛烈な演劇である。


《アザトースの産み落とした人類からなる紅魔族、原初神から造られた明帝族

紅魔族は特出した能力を持つ子孫が多かったが、原初神から造られたにも関わらず明帝族は平凡であった

初めは共存の道を選んでいたが紅魔族の頂点元祖は才能で満ち溢れた宇宙を造ろうと決意し、明帝族の殺戮を始めた

しかし、元祖の中には種族関係なく平和であるべきという考えもあり、大戦が勃発した

結果として共存の道を進むことになったが、クヴァレの意思を引き継いだ紅魔族と戦いに勝利した紅魔族と明帝族の子孫である紅帝族との対立は千年もの間続いていた》


天使族、天使の加護を受けた一族で自給自足の生活をしている。今日も一族の子供達が元気よく走り回っている。一人の子供が誰かを見つけると勢いよく駆けていく。

「ノーヴァさまー!!」

黒のインナーに黒のズボン、それとは反対に黄みがかった白いコートを着用している少しあごひげの生えた凛々しいイケオジで、短く毛のはねた髪を団子にくくっている男

「ねーねー、遊ぼっ!」

「ずるい!!私が先!」

子供に人気な彼だが、一族の者ではない。

「はいはい、みんなで遊ぼうな」

だが、その人柄から信頼を得ている。町の中央まで子供達と歩く。大人がノーヴァを見つけると子供と同様に話すために近寄ってくる。今は一族の大事な祭りである天使祭に向けて準備に勤しんでいる。

すでに宇宙に仕事に行っていた天使の多くが揃っている。子供が噴水で遊ぼうとした時、

パリーーん!!バコーン!!

結界の破れる音と爆発音がした。空中を飛んでいた天使がその衝撃波にやられて地面に落ちる。爆発のあった方面西の方角を見ると、悪魔が天使と交戦していた。

「ここから動くんじゃないぞ」

そう言ってノーヴァは近くにあった剣を持って悪魔達に向かう。悪魔は複数で戦っているのに対して天使は単体である。これは悪魔の数が多いからだと推測する。

「手伝うぞ」

ジャンプして滞空時間を利用して悪魔を倒していく。

(座天使(トロノイ)級の強さだ…天使が苦戦する理由がよく分かる、今ここにいる天使の多くが力天使(デュナメイス)、2階級上の悪魔にはちときついか…)

ノーヴァはたん、と地面を強く蹴って大将であろう悪魔の首を斬る。そうすると、部下の悪魔は同じ方向へと逃げていった。

「…あっちは、長老の家」

ノーヴァはそう思いながらも、怪我をおっている者に近づいて、傷に手をやる。すると、ノーヴァの体にそれと同じ傷と痛みが移った。治療を受けた者の傷はなく、先程よりも呼吸が安定し始めた。

全員の治療を終えて一目散に悪魔達のいる方向へと走る。


(!)

物陰に隠れて様子を伺う。悪魔達は捕らえた天使を拘束している。そして人間であろう者の足元には傷だらけの長老が倒れていた。

深みを帯びた銀の髪に、吸い付けられるような渋い青の瞳。全体が黒い衣装であるその男、その者を見てノーヴァはつい口にする。

「レヴィアタン」

「!」

ノーヴァ本人でも聞き取れないような小さな声にその男は気づいて、ノーヴァを見る。

「1000年の眠りから目覚めた調子はどうだい?我等が長兄…」

にこりと微笑んでいるが、血だらけのナイフを持っている。

「なにをしているんだ」

「いやね、天使共の回収だよ。七大天使の居場所さえ言ってくれればいいんだけど、中々吐いてくれなくて…」

そう話しているとレヴィアタンの体に傷が突如として現れ、痛みに襲われる。

「容赦ない。それでこそ私達の兄、”疼”の元祖だ。クヴァレに連れていきたい」

ノーヴァに睨まれながらも、ペラペラと話すレヴィアタン。

「まあいい。ある程度任務は遂行できたから」

「何を企んでいる?」

「企んでいるんじゃなくて、そうなるんだ。じゃあね、久し振りに会えて嬉しかったよ」

そう言うとレヴィアタンは悪魔と共に消えていった。


突然の奇襲により天使族は甚大な被害を受けた。一族の象徴となっていた神殿が崩れていて、天使も多くが連れ去られてしまった。一族の皆はこれからどうしようか、と話し合いを進めている。

「長老、寝ていなくていいのか」

「それよりもあの御方との約束を果たすときがきた…こちらへ」

会議を抜けたノーヴァに長老が着いてくるようにと言って歩き出す。長老の自室の暖炉の前に立ち、色の薄いレンガを長老が触ると、暖炉の火が消えて地下へと通ずる扉が出てきた。かつかつと下へと降りていく。

そこは蔦やらが生えているが荒れ果ててはいない植物に溢れた隠れ部屋という所、長老が杖で地面を強くつつくと、この世のものとは思えない程の美しい白蛇が姿を見せた。

『初めまして…最初の人類』

「…久し振りに聞いたな」

「ノーヴァ、長老(我ら)は代々ここを守ってきた。来るべき人類の滅びる天災に備える準備を、という言葉を告げるために…」

(天災? 人類が滅びるくらいの規模をどうしろってんだ。はっ!人類全員に防災グッズを)

「違う」

言葉の意味が分からずに変な方向に脱線しているノーヴァを長老が指摘する。

『私は白練。ここを訪れ、いずれ目覚めるであろう元祖の助け役として私がここにいます。私にそう命じた御方の側近とでも思っていただければ』

「その御方ってのは?」

『最強の明帝族私のご主人セア•アペイロン様でございます』

「ほう?…」

『人類最強の英傑であり、今もなお語り継がれている御方です。そして、この御方が天災の存在を言及したのです』

「ほう…なるほど…」

理解が追いついていないノーヴァを見て、白練が長老に耳打ちする。

『ほんとうにこの御方で間違いないのですか?』

「…一応、元祖だし」

心配になってきたというオーラを出しながらも主人の命令を思い出して、はあと溜め息をつく。

『最初の人類ノーヴァ様。天災から人類を守るために力をお貸しください!』

「で、何をすればいい」

『…とりあえず、天皇に会いに行きましょう…あの方なら成すべきことを教えてくださいます』


天使族の里から戻ってきたレヴィアタンを待ち受けていたのはソロモン、濡羽色の服を全身に着て肌を見せず、鉄黒の瞳、赤々と華やかな印象を与える口紅をさしている。

「汝の配下が随分と殺られた…誰だ」

「それやったのは兄さんだよ」

「ノーヴァ兄か…確かに汝の悪魔では弱いか、ん?」

自然な会話をしていたソロモンが、ふと違和感を感じた。

「起きたのか!ノーヴァ兄が!」

「とっても元気だったよ、私が怪我を負うなんてね」

服であまり見えないが包帯を巻いていて、足取りもぎこちない。

「無理してでも連れてこいよ」

「兄さんのぶっ壊れ能力を知っているだろう?正面衝突は避けるべきだ…だが、また会えるさ」

「…ノーヴァ兄は大人しくするわけがない」

「その時はその時…さあ、和合会を始めよう…1000年前の宇宙へと戻すんだ」


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