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大暑二 博多の街に迫る危機

 大規模な精霊術を発動し、力を使い果たした継之助は倒れ込んだ。

 「よく頑張ったね、凄かったよ。」

 お佳さんが膝枕をしてくれて、継之助は荒い息を整えている。

 木蓮さんも「よく頑張りましたね。この術が使えるとは流石です」と継之助を褒めた。

 だが、周囲を探っていた南天が声を上げる。

 「おかしいよ。戦車の数が少ない。製造装置らしきものの残骸はたくさんあるけど。」

 崩壊した工場には機械の残骸が多くあるが、確かに車両の残骸は少ない。

 「これは、もしかすると一歩遅かったかもしれませんね。」

 木蓮は深刻な表情を浮かべた。


 その頃、平山大統領と原谷は一足早く秘密工場を出て、軍用蒸気自動車を先頭にした自分の息のかかった部隊を率いて、博多に向かっていた。

 釜島の行動によって、不正に予算を横流しして秘密工場を造っていたことが知られ、大統領は失脚していた。

 もうじき弾劾決議が議会にかけられ、大統領を失職するところまで話は進んでいた。

 「釜島め。よくもわしの計画に横やりを入れてくれたな。」

 激怒する平山大統領に原谷が尋ねる。

 「閣下、このままでは弾劾決議は採択されそうですが、いかがいたしましょう。」

 「こうなったら実力行使だ。戦車部隊の恐ろしさを思い知るがいい。」

 平山は政治的に釜島大臣に敗北したことから、最後の手段として軍事クーデターを取ることにした。

 まずは秘密工場から近い博多を占領して九州を拠点にする。

 そして中央に攻め上がり、弾劾決議を採択するであろう議会を停止して非常事態を宣言し、大統領が全権を握ることを企てたのだ。


 見慣れない戦車が博多の郊外に現れた。

 「何だい、あれは。鉄の車が走っとるたい。」

 市民の通報を受けて騎馬警官隊が出動する。

 「そこの車、止まりなさい。」

 だが、先頭の戦車から機銃が発射された。

 先頭にいた騎馬警官が倒れる。

 騎馬警官隊は小銃で反撃したが、戦車の装甲に弾かれ、まったく効果はなかった。

 別の戦車からも機銃が掃射され、騎馬警官隊はたまらず逃げ出した。

 「はっはっは。見たか、愚民ども。これが異世界の文明の力だ。」

 「内燃機関と機関銃の力は凄いですな。」

 戦車部隊の後方で大型の装甲兵員輸送車に乗っていた平山大統領と原谷は喜んだ。

 さすがに大砲までは搭載されていないが、この時代では機関銃を搭載した戦車はチート兵器といってよい。

 小銃をもった騎馬警官隊では足止めすることも難しかった。




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