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28.エルフのお城って植物びっしり生えてそうじゃない?

 光の門を抜けると、白い大理石で造られた建物の中にいた。

 リリアンは口を開けたまま周りをキョロキョロしている。


 キカグラウィさんが俺たちの前へ歩いていって、振り返り。


「ようこそ、人族の英雄様。ここはエルフの王が住む城、ニムロブルクです」

「やっとお招きできたね。お兄ちゃん。ねぇ、あたしの部屋に行こうよー」


 エルフ幼女の姫ちゃんが俺の手を引っ張るが、すぐにキカグラウィさんが俺の腕に手を添えて止める。


「姫様。先に王の元へ案内いたします。」

「ぅ、はーい」


 大人しく手を放す姫ちゃん。

 俺としてはエルフの王族の暮らしを聞きたいから部屋に行くのは歓迎なんだが。


 けどまぁ、今はハティを助けるって目的があるから、長居できないな。

 王様の話の後、姫ちゃんの部屋に行くのは厳しそうだ。期待させてもアレだから早めに言っとこう。


「姫ちゃん。実は色々あって王様と話した後はすぐにここを出ると思う。だから、お話しはまた今度にして欲しいんだ。いいかな?」

「えー-? なんで?」

「それはね……今ハティは悪い奴らに捕まってて、どうやって助けたらいいか王様に聞きにきたんだよ。ハティを助けた後は絶対に姫ちゃんに会いにくるから、それまで待っていて欲しいんだ」

「うー-。うん……絶対来てよね。約束だよ?」

「ああ。約束だ」

「ふふ。約束……いいオンナはオトコの帰りを待てるって言うもんね!」


 少し涙目でにっこりする姫ちゃん。

 キカグラウィさんは何だかあわてている。


「ひ、姫様。どこでオンナやオトコの話を聞いたんですか?」

「ん? 前にエルクとハティ様がお話ししてくれたよ」

「なっ!? エルク様。あまり変なことは言わないでいただけないでしょうか?」

「はい。すんません……」


 キカグラウィさんの鋭い目つきに思わずあやまっちゃう。最近、女性からの目つきが怖い。

 キカグラウィさんは「はぁ」とため息をつき、


「では、王の元へ行きましょうか」


 キカグラウィさんは「やれやれ」とでも言いそうな話し方で、俺たちを案内してくれた。




 ――――




 謁見の間の玉座に長いヒゲもじゃのじいさんが座っている。

 じいさんの隣には美形で耳の長い緑髪のお姉さんが立っている。お姉さんの横はエルフ幼女の姫ちゃんだ。


 ヒゲもじゃじいさんはエルフ王だ。500年以上を生きているらしいが本名を知るエルフはいないらしい。

 緑髪のお姉さんはヴェリデッタと言って姫ちゃんのお姉ちゃんだ。すっげぇおっぱいがでかい。


 エルフの城の謁見の間は、王都ヴェルローデの謁見の間と違って物が少ない。左の方にちっちゃな噴水があるだけで、金ぴかグッズは見当たらない。


「人族の英雄よ。よくぞ我が城へ参られた。歓迎する」


 俺たちは膝をついて軽くペコリとする。


「また、光の門の周囲にいた魔王軍を撃退していただき感謝する。あのような魔物がいては人族との交易に支障があった。おかげで人族の料理が楽しめるわい。ウォッホッホ」


 人族の料理? エルフ王はグルメなのか?


「ついては、我が城の宝物庫より『アイアスの盾』を授ける。ヴェリデッタ」

「はい。お父様」


 ヴェリデッタ様が兵士っぽい人から小型の丸い盾を受け取り、俺に近づいてくる。


「どうぞ。英雄様」


 盾を差し出し、手を伸ばせば触れる距離でにっこりと微笑むヴェリデッタ様。

 おっぱい大きいだけじゃなく、かわいい。

 これがエルフの実力!?


「ありがとうございます」

「この『アイアスの盾』はいかなる攻撃も防ぐことができる神秘の盾です。ただし、盾についている7個の宝珠がすべて輝いている時のみ、その神秘の力を発揮いたします。宝珠は1日1個づつ周囲の魔力を吸収して輝きますので、無茶な使い方は控えてくださいね」


『アイアスの盾』には7個の赤い宝石がついていてぼんやりと光っている。

 攻撃を防げるのはいいけど、2回連続では使えないのか。


 俺が盾をいぢっていると、エルフ王が話しかけてくる。


「して、エルク殿は『勇者の指輪』をはめているが、人族の勇者であろうか?」

「え? えっと、姫様……人族の姫様に貰った指輪だけど、これってすごいんですか?」

「うむ。それは勇者が神の力を得るための神器じゃ。そうか……ならば、なぜかエルク殿が持っている、『エルフ王の指輪』については、そのまま持っていてよいぞ」


 ハッ! 姫ちゃんからパクった指輪をつけたままだった。

 エルフ王は笑いだす。


「ウォッホッホ。人族の勇者であり、英雄様ということであれば申し分ない。ヴェリデッタ。よいか?」

「はい。お父様。近くで拝見しても素敵な方です」


 なんの話だ?

 エルフ王は言う。


「エルク殿。我が娘ヴェリデッタを妻としエルフの王にならんか? このエルフの国すべてを授けよう」


 なんだって!?

 妻にすると国がもらえる?


「ダメーーー!」


 姫ちゃんが駆け寄ってきて、ヴェリデッタ様と俺の間に両手を広げて立ちふさがる。

 頭にヴェリデッタ様のおっぱいを乗せ、ヴェリデッタ様を背中で押してるが、重くないんだろうか。


「お兄ちゃんはわたしがツバつけたオトコなんだから、お姉ちゃんはとっちゃダメ!」


 ツバつけたって、下品な……。

 って、ハティの影響か。

 ヴェリデッタ様は少し目を見開いた後。


「あら、そうなの? うふふ。じゃあ私は諦めますね。エルク様。妹をよろしくお願いしますね」


 さらりとした反応をし、エルフ王の元へ戻っていくヴェリデッタ様。

「どう? すごいでしょ?」って顔で見上げてくる姫ちゃん。

 すごいけども。勢いがね。


 エルフ王は笑っている。


「ウォッホッホ。末娘を気に入っとるならそちらでも良いぞ。じゃが、名を持つまで待って貰うがのぉ」


 名前ね。

 エルフは独自の風習があるんだな。

 エルフに住んで馴染めるかな~。


 って、俺がここに来た目的があったんだった。


「すみません。エルフ王。俺からお願いがあります」

「ふむ? なんじゃ?」


 俺はハティの奴隷契約について、解除する方法が無いか尋ねた。

 エルフ王はたまに質問をしながら聞き、


「末娘の恩人がそんなことになっておるとは。ふむ。エルク殿の言う通り奴隷契約を解除することは主人以外にはできん」


 はっきり告げるエルフ王。

 そんな。

 せっかくエルフの城まで来たのに。


「だが、主人を変更することはできる。そもそも、奴隷契約とは、いにしえの神が傲慢な地上界の者を働かせるために生み出した神の魔法じゃ。人族に伝わる奴隷契約はその神の魔法を悪用し、人族の主人を神の代理人に見立てているに過ぎん。よって、本来の契約者は神と奴隷なのじゃ」


 奴隷契約は本来、神様と奴隷の契約であって、人間の主人は関係無かったのか。


「じゃから、奴隷契約を主人ではなく神へ戻すことならできる。ヴェリデッタ。アレを」

「はいお父様」


 ヴェリデッタ様はどこかへ歩いて行った。

 そして、少しして、ヴェリデッタ様は金のラッパを持ってきた。

 俺に手渡す。


「勇者様。これを」


 金のラッパは少しくすんでいるが、何か大きな力を持っているような気がする。

 エルフ王がラッパについて教えてくれる。


「それは『プライアラッパ』じゃ。地上界の者が神へ願いを届ける神秘のラッパじゃ。強い願いをこめて吹くことで、神の御業を見ることができるじゃろう」


 ラッパ吹いたら神様がいいことしてくれるってことか。


「ふぅむ。ハティ殿を助ける方法としては、今の主人の意識を弱らせ、『プライアラッパ』を吹くことで神とハティ殿との契約に移るじゃろうな。ただ、言い伝えによると、奴隷は死ぬまで神のもとで働いたと言われておる。人族の奴隷契約は主人が解除できるじゃろうが、神との奴隷契約は解除ができないかもしれんぞ」


 うまくアレンから助け出しても、一生奴隷になる可能性があるのか。


『プライアラッパ』を使っていいか、ハティに聞かないとなんとも言えないが、これでなんとかするか。

 俺はこの金のラッパに賭けることにした。




 俺たちはお礼を言い、城の中の光の門へ行く。

 姫ちゃんとキカグラウィさんが見送りに来てくれた。

 だが、ブラッドスカイさんは姫ちゃんの側に立っている。


「ブラッドスカイさん?」

「あー、エルク。悪い。護衛はここまでだ。勇者エルクに護衛なんて邪魔だったろうな。余計なことしたぜ」

「え? いえいえ、とっても助かってますよ?」

「そうか? 気を遣わせてわりぃな。それでな、俺はエルフの国に夜明けのルシファー教団の教えを伝えることにしたぜ」

「え? そうなんですか?」


 アリアがチョイチョイッて俺の袖を引く。


「エルクさん。エルフ王の前でブラッドスカイ様が「褒美はいらないから世界の真実を伝えるために残らせてほしい」と言っていたではないですか」


 え? そうだったの? 全然聞いてなかった。

 アリアは「まったく……」とつぶやきつつ、


「あと、わたくしやリリアンさんの褒美はハティ様が戻られたときに一緒に貰うことにしましたが……聞いてましたよね?」

「お、おぅ。もちろんさ」


 全然だ。

 ジッと見つめるアリア。


「ヴェリデッタ様と結婚できそうなのに浮かれてたんじゃないですか?」


 え? そんな風に見えてた?


「なっ!? そうなんですか? エルク!」

「そうなの? お兄ちゃん!」

「ち、ちがっ」


 右腕をリリアン。左腕は姫ちゃんがガシッと掴む。

 強く握らないで。痛い。


 俺は「ちがう」と何度も言うが、2人とも聞いてくれない。

 ブラッドスカイさんは笑っている。


「はっはっは。 お前らおもしれーな。つーわけで、これをヤンイケじーさんに渡してくれや」


 ブラッドスカイさんは手紙をアリアに渡す。

 俺の両手は2人のかわいい女の子にガックンガックン揺らされてて、手紙を受け取れない。

 アリアは手紙を丁寧にしまう。


「かしこまりました。ヤングイケイケコーンさんにお渡しいたします」


 その後、なんとか2人の誤解を解いて、光の門を起動してもらう。

 姫ちゃんは笑顔で手を振っている。


「絶対にハティ様を助けてね。次会うときはわたしの部屋でたっくさんおしゃべりしようね。お姉ちゃんみたいにおっぱい大きくして待ってるから!」




 ――――




 俺たちは光の門を抜け、石のほこらがある森に帰ってきた。


「よし! 急いでハータの治療院に行って、ハティを助け」


 ギュー。尻を強くつままれた。


「いってぇ。なにすんだ!」

「知りません! エッチで浮気性のエルクのことなんて知りません」


 リリアンがプイッとそっぽを向いていた。


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