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23.リリアンの家に遊びに行くの?楽しそうじゃないの

 暗黒大神殿を出て宿屋に行く前に。

 ちょっとリリアンの実家へ遊びに行くことにした。

 リリアンは実家を出てから3年ほど経っており、直接会うのは久しぶりらしい。


 リリアンに案内され、実家の前に着く。

 他の家よりこぢんまりしており、まぁ……裕福ではなさそうだ。


 玄関を開けると――リリアンを大きくしたようなお姉さんが立っていた。

 美人だ。正直俺の好みだ。

 でっかいリリアンさんは満面の笑みで。


「やぁ。遅かったね。君がエルク君だね。妹がお世話になっているよ」


 ニコニコ笑顔のまま、俺に力強く握手してきた。

 女性らしいキレイな手だが、握力すごいっすね。

 リリアンの恥ずかしそうな声。


「ね、姉さん。ただいま……お元気そうですね」

「おかえり。リリアン。少し大きくなったかな? 姉さんは元気そうなリリアンを見れて嬉しいよ」


 姉リリアンさんはリリアンの頭を撫でる。


「ちょっ……子ども扱いしないでください」


「あははっ」と愉快そうに笑う姉リリアン。


「そっちのお姉さんはアリアさんだね。お世話様だよ。私はイズリィ。リリアンの姉で、夜明けのルシファー教団では闇風奇襲隊に所属しているよ」

「……イズリィさん。闇風奇襲隊ってなんです?」

「やだなぁ。他人みたいに言わないでよエルク君」


「あはははー」と笑いながら俺の肩をバシバシ叩いてくる。地味に痛い。

 いや、他人なんですけどね。


「えーっとね。闇風奇襲隊ってのは、スパイや潜入とかをする秘密のエージェント集団さっ。あははー」


 明るく言ってるけど、すげー大事な役割っぽくないか。


 俺が「すごいですね」と言うと、「エルク君ほどじゃないさ」と返してきた。

 たぶん、リリアンの手紙に変なことが書かれてあったんだろう。

 イズリィさんは明るくて騒がしく、リリアンや周りの人に甘そうなんだけど、秘密のお仕事をこなせてるんだろうか?


「まぁまぁ、中に入りなよ」

「はい。どうも」

「なんだい? 気まずそうにしているね。私のお尻を触るタイミングを探してるのかな? やめときな。リリアンが怒っちゃうよ。あははー」


 笑いながらお尻をフリフリするイズリィさん。


「姉さん! エルクをあまりいぢめないでください!」

「はいはいわかったよー」


 ヘラヘラしているイズリィさん。何も分かってなさそうだ。

 そんなこんなで家へ通される。


 こぢんまりした部屋には、4人が座れる木製のテーブルと椅子だけがあった。

 ガイアサークルちゃんの研究室と違って、ぜんぜん物が無い。

 テーブルには少しムスッとしたおじさんと、イズリィさんを疲れさせたような女の人が座っている。

 おじさんが「オホン」と咳払いをして。


「あー、君がエルク君だね。ようこそ。僕はリリアンの父だよ。とりあえずそちらに座ってはどうかね?」

「私はこの子の母親よ。汚いところですが、ゆっくりしてくださいね」


 母リリアンは口元を手で隠してオホホと言わんばかりだが、目はずっと俺を見ている。何かを試すような目だ。


「どうも。エルクです。よろしくお願いします」


 俺は礼をしてから父リリアンの前に座ると、俺の横にリリアンが座る。


 アリアはイズリィさんに案内されて別の部屋へ行った。

 なんだ? なんか人生における大きな決断を迫られているような雰囲気だぞ。


 ――沈黙の中。アリアが連れていかれた部屋からはイズリィさんの笑い声がかすかに聞こえてくる。

 楽しそうだ。俺もそっちへ行きたい……


 父リリアンはビッと俺の目を見てくる。


「エルク君。僕は遠まわしな腹の探り合いは得意じゃない。単刀直入にいこうと思うんだが、いいかね?」

「は、はい」


 なにやらもったいぶった言い方だ。


「キミはリリアンの……」

「お父さん。まずは雑談をしてはどうかしら? いきなりじゃ素直に話せないこともあると思うのよ」

「そ、そうだね。いやはや、すまないエルク君。焦ってしまったよ。ははは」


 父リリアンはイズリィさんに似た笑い方をする。

 俺は愛想笑いを返す。


「雑談か……えっと、エルク君は好きな女性の体はどこかな?」


 ん? なんて?


「お父さん! 何聞いてるのよ! ごめんなさいね。エルクさん」

「おっとっと。すまない。間違えたよ……エルク君はリリアンの体でどこが好きなのかな? 触り心地でも匂いでもどっちでもいいよ?」


 なんだこのおじさん。さっきまで酒でも飲んでたのか?

 いきなり性癖の、しかも娘のエロいところを聞いてるくなんて……

 まともな人とは思えない。

 だが、俺のまわりにはまともな人なんていないし、答えていいのか? リリアンのエロいところを!?


 いやいや、落ち着け。俺。

 強敵と戦うには、一旦冷静になり、気持ちで負けないことが大事だ。

 俺は隣のリリアンに小声で聞こうと、顔を寄せる。


「なぁリリアン。お父さんってこんな感じなのか?」

「う……それは……」


 顔を真っ赤にしているリリアン。

 恥ずかしがってるってことは、普段はこうじゃないのかもな。


 どう答えるか考えてると、急に父リリアンが大きな音を立てて立ち上がる。


「なに! お父さん! やっぱりそういうことなんだね!?」

「あらぁ~」


 母リリアンは顔を赤くして両手を頬に当て、クネクネしている。

 何か勘違いされている!


「いや、あの……」


 俺が訂正しようとすると、リリアンもガタッと立ち上がる。


「エルクの背中はあったかくて、いい匂いがするのが好きです!」


 リリアンがなにか……俺の体で気に入ってるところ? 性癖? を告白してる!

 父リリアンがパッと顔を輝かせる。


「なるほど! そうか! よし母さん。晩御飯は里一番の料理を宅配しようじゃないか!」

「待って父さん。アレを忘れてるわ!」


 母リリアンが大興奮している父リリアンの腕を掴んで座らせる。


「はっ! そうだった!」


 父リリアンはザッと座り、深呼吸を始める。

 3回ふか~い深呼吸をした後。


「キミのようなどこの馬の骨ともわからない男に、娘はやれん!」


 バンッと両手をテーブルに叩きつけるようにしながら大声を上げてきた。


 ふーっふーっと荒い息をする父リリアン。その顔は大きなことをやり遂げた男の顔だ。

 母リリアンが「かっこいいわお父さん」となにやらうっとりしている。

 リリアンは「ぐぬぬ~」と強敵に出くわしたように歯をくいしばり、胸を押さえている。




 アリアがいる部屋からは「あーはっはー。なにそれー?」というイズリィさんの笑い声が聞こえてきた。

 ……俺もそっちに行きたい。


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