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第二十四話 ただいま

第8話のリアム目線です。


 朝食の後、リナは彼女が持って来ていた荷物の中から小さな紙の冊子を取り出し、こちらの言葉を書き出した。「てちょう」と言うらしい。


 エレーヌが聞かれた単語の発音をしたり、スペルを書いていた。小さな字で書いていたが、小さな手帳は文字で埋め尽くされた。




 俺は先に用事で家を出なければいけなかった。


 エレーヌに出かける時にはリナに外に出ないようにちゃんと言うように言って家を出た。


 その日の鍛錬の時間は、リナがちゃんと家に居るか気になって仕方が無かった。

 家の周りに魔獣除けの結界は張ってあるし、彼女が家から離れたら知らせが来るようにしてあるが、家の中で怪我をしないか気になった。彼女は魔力がないく怪我をしたら自分で治せないから気が気でなかった。



 午前の鍛錬もそこそこに、俺は昼にリナの様子を見に帰った。


 彼女は家の玄関まで出てきて、彼女の国の言葉で何かを言い、笑顔で出迎えられた。


 何故だか、帰りを喜ばれている気がして、自然と「ただいま」とこちらの言葉で返していた。



 さっきまで勉強していたのだろう、今朝よりもくたびれた彼女の手帳がテーブルに広げてあった。


 彼女はまだ昼飯を食べていなようだったから、昼に帰ってきて良かったと胸を撫で下ろした。

 

 彼女がダイニングテーブルの上を片付けて、エレーヌが用意していてくれたサンドウィッチを一緒に食べた。彼女は食事をする時が1番嬉しそうだった。それを眺めるこの時間が俺は好きだ。



 昼食後に、彼女はまた何かを書こうと手帳を手に取ったので、(さら)の紙の冊子を手渡した。彼女の国ではノートと言うらしい。


 彼女はページをペラペラめくった後、キョトンと見上げてきた。


 「やる。好きに使え」


 急に照れくさくなって、仏頂面で言ってしまう。


 「リアムありがとう!私嬉しい。使う!」

 

 彼女は満面の笑みでノートを大事そうに胸に抱いて、覚えたてであろうこちらの言葉で礼を言った。


 その表情があまりにも眩し過ぎて、直視できずに目を逸らした。なんだろう、胸が太陽に照らされたように温かい。顔も自分の意思と切り離したように勝手に熱くなる。

 

 「わかった、わかった」


 彼女に今の顔を見られたくなくて、少し乱暴に彼女の頭を撫でて誤魔化した。


 彼女は嬉しそうにノートを開いて数字を書き出した。発音に苦戦していて、70まで書いてため息を吐き、諦めたようにノートを閉じた。少し彼女は根を詰め過ぎじゃないか心配になる。




 そろそろ俺も昼過ぎにまた顔を出さないといけない。


 「俺は今から出かけるが、エレーヌがまた来る。いいな、ここにいろ、家から出るなよ」


 動くなと手でジェスチャーを加えながら、単語を切りながら言った。


 彼女は目を丸くした後、何故か思い出し笑いのように笑われる。


 「大丈夫。私、ここにいる」


 彼女もジェスチャーをしながらゆっくり返事をしたが、くすくす笑う彼女を訝しんだ。


 本当にわかっているのか?




 午後はエレーヌが使っていない服などをリナに渡すと言っていた。エレーヌが居るから少し安心だ。エレーヌは治癒魔法が使えるからだ。小さな傷なら直ぐに治せるだろう。




 夕焼け空に夕刻を知らせる鐘が鳴り響いた。


 出会ったときのような赤い服を着て彼女は手を振って外に出てきた。嬉しそうに笑う彼女を見つめ、帰路につく。

 昼と違ってこちらの言葉で「お帰り」と出迎えられて、やはり胸が熱くなる。


 赤い夕焼けに染まるように彼女がこちらの生活に溶け込んでいく。言葉も覚えて、こちらの生活に慣れて、彼女が笑顔で過ごせるなら、このままここに残ればいいと本気で思った。


 「ただいま」と言って、胸の熱を逃すように彼女の小さな頭を撫でた。



リアム目線

もうちょっとお付き合いください。


一応、彼の心情の変化を書けたらなぁって思ってますが。難しいな。メンズ目線。。

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