第十七話 魔力操作
「リナ、感じるか?」
「…ぅう。…はい」
「そのまま流れを感じて、最初は指先、そして腕、次に首と胸に分かれるから…そう…そのまま…肺に溜めるように…」
『んんっ!…ぅあっ!ぁあっ!!だめだめだめ!』
リアムの手を離して肩で荒く息をする。
「…少し休憩するか。最初の頃より大分魔力を滞留できるようになったな」
あの黒の疾風が出てから1週間が過ぎた。
あの疾風は1度も出ていないが、夢でうなされることが度々あった。
リアムも小さい頃、黒の魔力を操作するのに苦労し、似たような悪夢を見たことがあったと言う。
この世界の人々は、生まれつきギフト(魔素、魔元素)を持って生まれる。
魔素は全部で第8元素―白、黄、茶、緑、青、紫、赤、そして黒―があり、魔力の根源であり、魔力質、魔力量を決める要素である。
大半は遺伝で受け継がれる。親や親戚、同じ魔素持ちに魔力操作を教わるのだが、彼の黒の魔素は珍しく、非常に強力で扱いにくいものらしい。彼も両親から魔力操作を教わったそうだ。
彼の両親は黒と白、両方を合わせ持つ灰色狼の種だ。両親共に強力な魔力を持っていて、父親は今でも現役の軍の幹部らしい。母親は魔術者として父親の補佐をしている。今は二人とも王都に行っているとのこと。
リアムは生まれつき黒の魔素を持っているので、自分で魔素や魔力を操作できるが、私の場合は彼の魔力を引っ張って来て発動させてしまう。要は他人のものを勝手に持って来て勝手に使っている状態。私に引っ張られた魔力は彼でも操作できなくなるらしい。
なので、制御して引っ張ってこないようにするか、正しく操作できるようになるかしかないとのこと。
なので、こうやって2人で手を取り合って魔力を彼から流してもらい受け止める練習をしている。
チラリとリアムを見る。
最初の頃、手を繋ぐことが恥ずかしくてしかたがなかったが、リアムの淡々とした事務的な態度に、意識しているのは自分だけだと落胆した。
あれから、悪夢でうなされる私が心配だと、彼はもう一つベッドを部屋に置いた。衝立があるけど、同じ部屋で寝ている。
うなされて起きると必ずそばにいて、手を握ってくれる。
彼はどこまでも優しい。優しすぎるから勘違いしそうになる。
今も魔力操作で私が手を離しそうな瞬間、指先を強く握り返してくる。まるで、離したくないかのように。そんな訳はないのだが…
頭を横にブンブンと振って気持ちを切り替えた。
彼の魔力を流してもらう時、黒く冷たいものが這いずり回って体に侵入する感覚がどうしても慣れなくて、彼の手をすぐに離してしまう。まるでリアムを拒否しているようで自分が嫌になる。
早く慣れたい。
手を離す瞬間、彼が少し悲しい顔をする気がするから。
ちょっと短めだったな。




