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第十四話 黒い疾風

久しぶりに『』日本語が出ます。



 エレーヌと逸れてしまった…どうしよう…



 エレーヌとランチをした後は、帽子屋さんに行った。あまりにも人族の黒髪に周りがどよめき、ジロジロ見られるのでツバの広い帽子を買った。


 そして、いつもエレーヌが食材を買う食材屋さんの店主ジョルジュさんと女将さんのジョルジェットさんに挨拶をした。


 その後も露店のアクセサリーや雑貨を見て回っていたら、気付けば多くの人でごった返していた。



 リナは人混みから離れ、街の中心から少し外れた噴水に向かった。少し人の賑わいが薄れたこの場所ならエレーヌも見つけてくれるかも知れない。


 近くにあったベンチに腰掛けて一息ついた。

 

 この世界の言葉を覚えたつもりだったが、普段エレーヌやリアムがゆっくり話したり、わかりやすい単語に言い直してくれていたのだと痛感した。

 結局、リアムへのお礼の品も彼のお金で買う気にはなれず、働こうにもまだ言葉の壁がありそうだ。

 顔を上げて辺を見て、聞こえてくる会話に耳を傾けた。やはりあまり聞き取れない。


 ふぅと空を見て、傾きだした太陽を見る。

 日が暮れる前にエレーヌと会えなかったらどうしようと項垂れた。


 すると、ふと足元に影が差した。


 「お前、見ない顔だな?人族か?身分証は持っているか?」


 見上げると鮮やかな真っ赤な髪が目に入った。何か制服のような服を着て、腰には帯剣をしている男がこちらを見下ろしていた。


 「あ…私、友達と離れた。ここで待ってる」


 「うわぁ…カタコトだ!可愛いですね!」


 今度は茶髪の人懐こい青年が話しかけて来た。

 赤い髪の男はリアムより少し背が高く、肩幅も大きい男だった。赤茶色の目が力強く、圧倒される。茶髪の男は目は綺麗な緑で背はリアムより少し低いくらい。ローブのようなものを羽織っていた。


 赤い髪の男は何かに気付いたように赤茶の目で睨んできた。


 「お前…リアムの匂いがする。リアムの女か?どうなんだ?」


 リアムの名前を聞き取ったが、女…?


 「リアム…知ってる。女?…違う…」


 どもる私にイライラしたように腕を掴んで立たせようとした。


 「ちょっと顔を見せろ」


 被っていた帽子を剥ぎ取られた。


 こ…怖い!…リアム!!


 ブワッ!!

 

 黒い疾風が足元から突如として吹き荒れて、赤い髪の男を吹き飛ばした。


 『っ!!…なに、これ…私…どうしたら…』


 未だ収まらない風の刃は先ほどよりも強く高く吹き荒れてリナの周りを覆い尽くす。

 どうすることもできずに体を抱えて蹲る。


 『っいや!いや!!止まらない!!…リアム!!』


 彼の顔が浮かんで叫んだ時だった。


 「リナ!!」彼の声が聞こえた。


 顔を上げても涙で前が滲んでよく見えない。


 「っリアム!!」


 縋るように伸ばした手をビクリと止める。


 彼が、怪我をする…!!


 手を握り締めて引き寄せた時だった。体が何かに包まれたと思ったら、彼の声が耳元で聞こえた。


 「リナ!!大丈夫だ!落ち着け」


 『ぅ、あ…リアム!…これなに…?!…私、止められない!離し、て…リアム怪我する!怖い…怖い!』


 身をよじって彼の腕から逃れようとする体を、彼は強く抱きしめて、頭を抱えるように自分の胸に押しつけた。


 「俺は大丈夫だ!大丈夫だから…ゆっくり息を吸って…そう…いい子だ。今度はゆっくり息を吐いて…」


 彼が頭を撫でながら、子供を宥めるように耳元で囁いた。


 過呼吸になりかけていた肩がゆっくり呼吸に合わせて起伏する。


 しばらくして落ち着いたが、リアムから離れるのが怖くて彼にしがみ付いた。


 「ごめ、なさい…いきなり、黒い風、私、わからない、止まらなくて…」


 状況を説明しようにもまだ頭は混乱しているようで、ちぐはぐに言葉を並べた。


 彼は涙で濡れたリナの頬を両手で包み、親指で涙を拭った。


 「大丈夫だ。心配するな…もう収まった。立てるか?」


 彼に促されて何とか立てたが、彼にしがみついたままだった。


 「ルーセル。これはどういう事だ?」


 そう言ってリアムは近くに来ていた赤い髪の男ルーセルを睨みつけた。


 「どうしたもこうしたも、、その嬢ちゃんに身分証を持っていないか、お前の女なのかって聞いただけだ。そしたらお前と同じ黒の疾風が彼女から出てきた。…お前がやったんじゃ無いのか?」


 ルーセルは服についた汚れを払いながらリアムを睨み返して言った。


 「ごめんなさい。私、あなたに、怪我させた…?」

 「リナ、あいつは大丈夫だ」

 「そうですよ!僕が障壁を出したので、被害はルーセルさんが軽く吹っ飛んだくらいです」

 

 茶髪の青年がひょっこりと赤毛の男の背後から顔を出してニコリと言った。


 「お前もいたのか、マルク」


 周りは騒然としていたが、怪我人は出ていないようで安心して息をつく。


 未だに彼の腕に支えられていることに気付き、離れようとしたが、腕をガッチリと回されていたので縮こまるしかできなかった。


 「お前な…魔素供給し合ったなら、ちゃんと制御してやれよ…彼女、困惑してるじゃねぇか」


 ルーセルがガシガシと赤毛の頭を掻いた後、私を見て顎でしゃくった。


 「魔そ、きょうきゅう?」


 難しい言葉を聞き取ってリアムを見上げた。


 「いい。リナは知らなくて」

 そう言って教えてくれそうに無い。


 「おいおい。それは無いだろう、お前。大事なことだぞ、男の責任はちゃんと…」

 「ルーセル。それ以上無駄口を叩くな」


 遮るようにリアムは言い捨てた。


 彼らは知り合いのようだが仲が悪そうで、ハラハラと2人を交互に見た。


 「リナ!!やっと見つけた!!何この騒ぎ?!」


 エレーヌが人垣を掻き分けて走ってきた。


 「エレーヌ。お前こそリナを置いてどこに行っていた?」


 今度はエレーヌが怒られる雰囲気に慌てた。


 「エレーヌ悪くない!私が離れちゃって、それで」

 「とりあえず、場所、移しましょうか」

 

 マルクが苦笑いしながら口を挟んだ。


 先程より野次馬が集まって来ていた。


 

新しいメンズ&ヒーローとの急接近!!

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