第十一話 一緒に
2人は元の姿に戻った。
「これも魔法なの?」
「魔法とは違うの。私達は獣人って言って、人型と獣型の両方を取れる種族で、その中の狼族という狼の姿になる種よ」
魔法の次は獣人か…
耐性がついたのか、ちょっとやそっとじゃもう驚かなくなった自分に驚いた。
「今まで黙っててごめんね。来る時がきたら言おうと思ってたんだけど…」
押し黙る私にエレーヌが申し訳なさそうに言った。
「あ、大丈夫、教えてくれた、ありがとう。ただ、私は魔力ない、じゅう人でもない。ここにいて大丈夫…?迷惑ならない?」と不安を口にする。
「大丈夫よ!」
そう言うエレーヌとは逆にリアムは何も言わずに部屋に行ってしまった。
そんな彼の背中を見送る。
「エレーヌ。私なるべく早く、ここを出て働く。リアムの迷惑、ならないようにする」
ああ、と彼女は私の言いたいことを理解して、彼が消えた部屋を見上げる。
「働く?大丈夫よ!リアムも迷惑になんて思ってないよ」
「でも、ここは彼の家でしょ?彼の寝る場所、とってる」
「え?一緒に寝てるんじゃないの?」
「寝てない!いつの間にかベッドに運んでくれて…」
「いつの間にか?どう言うこと?」
エレーヌは少し怪訝そうに聞く。
「私、いつの間にか、床とかテーブルで寝ちゃって、でも朝起きたら、ベッドで寝てて…」
手を胸の前で弄りながらしどろもどろに説明をする。
「ふーん。まぁ大丈夫よ、ここに居ても。何なら今日からリアムと一緒に寝たらいいじゃない。問題ないよ」
彼女はケラケラと笑って言った。
「問題だらけ!」と腹を抱えて笑う彼女を睨んだ。
「じゃ、私は帰るね。リナ、お休み」
ニヤニヤ笑いながら玄関に向かう彼女を引き止めようにも、何も言えずに玄関まで彼女について行った。
「リナ、頑張ってね」
エレーヌはニコニコと振り返ってそう言った。
「がんばって?」
どう言う意味だと首を傾げて彼を呼びに行こうと振り返ると、いつの間にかエレーヌを送りに出てきたリアムにぶつかった。
「ごめんなさい」
涙目で鼻を押さえていると、彼が覗き込んできた。
「大丈夫か?」
「大丈夫! 2人とも、気をつけてね」
エレーヌの一緒に寝たら発言が気になって彼を見れずに彼の横をすり抜けた。
彼を待っている間少し眠くなりお風呂に入った。
お風呂から上がると彼は帰ってきていたようでリビングに居た。
「リナ、こっちに来い」
そう言って手招きされたのでおずおずと近づくと、彼は私の顔の横の髪に触れた。こんな近さで向き合ったのは初めてじゃないだろうか?頭ひとつ分は背の高い彼を見上げる。
何をするつもりなのかドキドキしていると、パァっと自分の髪が光り出して綺麗に乾いた。
「魔法…?水を消した?リアム、ありがとう」
すごいと関心しながらそう言って微笑んで見上げると、顔を逸らした彼が、私の肩にかかっていたタオルを頭から被せた。
タオルの隙間から顔を赤くした彼がチラリと見えた。
ダイニングテーブルで今日の復習をしていると、彼が丁度お風呂から上がってきたようだ。
コップに水を注いで呷る姿に何故かドキドキして彼を直視できずに俯いた。
「リナ、寝るな。こっちに来い」
俯いていたのを寝てると勘違いしたらしい。
ついて行くと、部屋に入った彼はベッドを指差して言った。
「床で寝るな。テーブルでも寝るな。ちゃんとベッドで寝ろ」
一昨日と昨日のことを言っているのだろう。カァっと顔が赤くなる。
「ごめんなさい。でもリアムはどこで寝る?」
「俺は床でいい」
「ダメ、リアムがベッドで寝る」
何度かの押し問答ののち、彼が何も言わずに部屋から出ようとするので、慌てて彼の腕を掴んで引き留めた。
「一緒に寝るだったら大丈夫?」
自分でもとんだ問題発言だと、彼が目を丸くして見下ろしていたので、慌てて訂正した。
「リアム、狼の時、私と一緒に寝たから、大丈夫」
自分でもどう言う意味だと思った。
彼が狼の姿の時に隣で勝手に寝落ちしただけで一緒に寝たわけではない。
「狼の時、一緒に寝た、大丈夫!」
彼は少し考えてから狼の姿になって、ボスンとベッドの端に伏せた。
別に狼の姿になって欲しい訳ではなかったが、彼が床で寝るよりは良いし、人の姿の彼と一緒に寝るのは私が無理そうなので、結果オーライだと開き直った。
彼の隣の空いたスペースに潜り込んだ。
「リアム、ごめんね、ありがとう。おやすみ」
そう言って目を閉じた。
彼は何も言わなかったが、大きなふわふわの尻尾が揺れた気がした。
やっと絡んできたヒーロー&ヒロイン(^^;




