第三話 チート行為
そんな俺も数週間前はこんな感じだったのだ。
「あ~~~~~~~~~~~~~っくっそお!!!全然ミッションクリアできねぇじゃねえか!」
現実に戻るや否や、俺は思いっきりヘッドギア「女神の目」を外して放り投げた。
『とあるダンジョンの深部に宝箱があり、その中には貴重な古代の文献が入っているのだが、その周辺にドラゴンが住み着いてしまったため、取りに行こうとも取りに行けなくなってしまった。そのため、宝箱の回収をお願いする。』といった、一見簡単そうな以来なのだが、
どういうわけか、このドラゴンが住み着いてしまったために、ダンジョン内にありとあらゆるモンスターが住み着いてしまったため、道中無駄にひたすら襲い掛かってくるモンスターと対峙しなければならなくなったため、肝心のドラゴンと対面するころになれば、もうクタクタになり果てており瞬殺されてしまうといった有様なのであった。
まぁ、じゃあ万全の状態で迎え撃つことができたら勝てるのかといったら、それとこれとは別問題なのである。
「今の俺の装備じゃ、かなうわけないか・・・・・・・・・・・
といっても課金するわけには・・・・・・・・・・・・」
リアルの俺はどこにでもいる公立高校2年生。
当然、1月の小遣いは2000円(昼食代、文房具代別)。
ちなみに、校則によりバイトは禁止。
World of Theáの通貨には、『コイン』と『ゴールド』の2種類がある。
コインは、ミッションやイベントをクリアしたり、アイテムを売ることで手に入れることができる。
一方、ゴールドは現実のお金を使うことによって手に入れることができる。つまり、課金だ。
勿論、ゴールドで売られている武器・防具のほうがレアリティも高いし、当然性能もステータスも高い。
ちなみにレートとしては,1ゴールド=100円である。
つまり、1回100ゴールドでできる武器ガチャは,実質1万円になるのである。
10連ガチャを回せば、確実にURの武器・防具が手に入るのだろうが、今の俺に一気に100×100×10=100000=10万円用意しろと?
無理に決まっているだろうが!!!
結局、そんなもの、自分には到底払えない。
「じゃああきらめるのか・・・・・・・・・・?」
こんな感じについこの間の俺ならこうやってあきらめていただろう。
しかし、今は違う。
そう、正攻法がだめならば、正攻法ではないやり方で行えばいいだけの話である。
そして、今の俺にはそれが出来た。
ニヤリと笑った俺はヘッドギアを接続させていたノートパソコンを閉じ、俺自身が独学で改造したデスクトップパソコンの起動し、真っ先にTorを起動させた。