第二話 いつものプレイ光景
「よっしゃー!ようやくレベル80にいったぜ!」
「えーいいなー。私まだ65だよー。」
「なぁ、このクエスト一人じゃ難しそうなんだよ。手伝ってくんない?」
「おっ、いーよー。報酬山分けなー。」
「お願い!そのアイテム頂戴!」
「だったら、その武器と交換だったらいいけど?」
ここは、冒険者たちが集まって、情報交換・クエスト確認・イベント確認などが行われている冒険者ギルド『ドラゴン・マスター』。このゲーム『World of Theá』のプレイヤーたちにとってある意味癒しの場だ。
何故なら、
「お待たせしましたー。ドラゴンの肉のミニレア焼きですねー!」
「こんにちは。こちらの窓口はミッションの案内をさせていただいています。今日はどうされましたか?」
ここの受付、ウェイトレスから掃除のかかりに至るまで、全員が美男美女!一日中眺めているだけでも飽きない、っていうやつまで行くぐらいなんだからなぁ~。アホかよそいつら。
まぁ、こんな奴らが右往左往するなか、俺なんかは優雅に・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
してられるわけがなかった。
「レベリング35かぁ・・・・・・・・・・・・・武器も防具も星2だし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
俺は半年ぐらい前から始めたため、あまりヘビィプレイヤーでもなく、かといってあまり課金もしていないので、レアアイテムやレアな武器も入手しづらい状況にある。
と、ここで大抵のプレイヤーだったら、長時間のプレイをするであろうけど・・・・・・・・・・・
「俺はそんなことしないもんねぇ~~~俺はアレをすればいいだけなんだもんねぇ~~~」
と、俺はその『アレ』を実行するべく、いったんログアウトすることにした。
ログアウトするには一旦宿屋にある自分の部屋に戻ってそこにあるベットに寝る必要があるので、この冒険者ギルドから出ることにした。
ドアを出てすぐ、自然と急ぎ足になりかけていたとこ、NPCの少女にぶつかりそうになった。
「ぅわっ、わりぃ。」
「あ、あの、大丈夫です!」
このゲームの素晴らしい点でもあるのだが、このNPCの反応が多種多様、で言い切れないぐらいの反応をしてくれることである。
まるで本当の人間と話をしているような。
そんなわけだから、ネット界隈では、ゲームの運営会社の社員ではないかといわれているほどだ。
「へへっ、わりぃわりぃ。じゃあな。」
「あっ、は、はい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
その子はとても申し訳なさそうにしていたように見えていた。責任感、とやらが強い系なのか?
ちなみに、彼女たちPCは冒険者ギルドや宿屋などのプレイヤーたちの施設になぜか入ってこない。何故だろう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まっ、いいか。
現実に戻った俺は、早速特殊なVRゴーグル型のヘッドギア「女神の目」を外すと、それをつないでいたノートパソコンを部屋にある巨大なパソコンに接続する。
幾多もあるモニター群、2つもあるキーボード、子供の背丈ぐらいあるタワー型サーバ。
これだけあればハッキングでも何でもできそう…………と思ったそこのあなた!
そう、彼、筑井 羽咋は今まさにオンラインゲームでチート行為をはたらこうとしていた!