54. 彼女と彼。そしてその友人
ユイカさん宅。宅といっても1Kのアパートだけど。ただその内装は僕のボロアパートの数段格上で、なんか良くわからない観葉植物とかが置いてあったりアロマの香りがしたりでいかにも女の子の部屋って感じがする(語彙力)。レトロゲーム機とプラモデルのランナーが散乱しているエミリーの部屋と比較するとなんだか乾いた笑いが出た。
「それで、なにがあったの?」
キッチンからティーカップを運んできたユイカさんは僕の隣に腰掛け、そう聞いてきた。
「え、話したくないです」
「うぅっ、ユウヤちゃんが冷たい」
「そんな目されても話しませんから。あともう一回ユウヤちゃんって言ったら帰りますよ私」
「それじゃ、なんて呼べばいいの?」
「えっ。そこは…………まぁ、ユウヤくんかユウリちゃんのどっちかで」
「う〜ん……それならユウヤちゃんでもいいんじゃないかしらぁ?」
「それはダメです!」
「理不尽だわぁ~……」
ちなみに今は外見も喋り方もユウリで統一している。どうせ変装を解いたところで「ボーイッシュなのも可愛いわぁ~」とか言われてプライドがズタボロにされるのが目に見えてるし、着替えるのも面倒だし。
……なんだか最近はユウリの方が自然体になってる気がするけど、あくまで気がするだけ。僕は男、僕は男。誰が何と言おうが男なんだ……っ!
「えっと、ユウちゃん。少しでいいから話して欲しいわ」
「本当に話しませんよ」
「……うぅ」
「ご、ごねても私の意思はかわりません。鋼の意思です」
「……ぐすん」
「……」
「……」
「…………ま、まぁ触りだけなら話しますけど。だから泣かないでくださいってば」
「あら、嬉しいわぁ~」
あんなに悲しそうな目をしていたのに、5秒もせずにほんわかモードに復帰。
おっとりした雰囲気のくせに交渉上手というか、実は一番ちゃっかりしてる人だと思う。いや、ひょっとしたら僕がちょろいだけか? いやいやまさか。こうして話すのは彼女がエミリーの友人だからで、つまりは報告義務のようなものだと思う。決してほだされたわけではないんですからね。
「それで、なにがあったの?」
「喧嘩です」
「口喧嘩?」
「はい。少し口論になってしまって。はじめは些細なことだったんですけど、ヒートアップしていくうちに引き際が分からなくなって……」
「……それで大喧嘩になったのね」
「……はい」
「それは……何かきっかけがあったのかしら」
きっかけ。
振り返ってみてもいまいち判然としない。これだ、という一つの理由が見つからないのだ。
強いて言うなら……
「……わからなくなったんです」
「エミリのことが?」
「……はい」
そう表現するしかなかった。
「私が最近、人間関係でトラブルを起こしてしまって。エミリーはその解決に協力してくれていたんです。はじめは何も問題ありませんでした。でも……」
「でも?」
「その途中から、私になにか隠し事をするようになって」
話していると不意に不機嫌になる理由。エミちゃんに対する過剰な敵意。エイル君との関係。僕が気づいていないだけで、彼女はきっとまだ多くのことを隠しているのだろう。
「それは重要なことに違いないんです。きっと私も無関係じゃない。もしかすると、私の抱えているトラブルに関係しているのかもしれません。そうじゃなくても、彼女にとって大きな問題であることに違いはありません……長い付き合いですから、わかるんです。でも、何度聞いてもはぐらかされて……」
明らかに話し過ぎている。ユイカさんの方を見ると、静かに微笑んで続きを促してきた。……仕方ないな。
「それでわからなくなったんです。……ひょっとしたら、彼女は私のことを鬱陶しく思ってるんじゃないかって」
「……ずっと気になってたんだけど。二人はいつ頃からの付き合いなの?」
「かれこれ4、いや、今年で5年になります。中高にかけて本当に長い時間を過ごしてきました。身の上話になりますが……実は昔、身内に不幸があって。それがきっかけで、私は家族とこじれてしまって……一時期、本当に辛かったんです」
……兄さんはなんでもできる人だった。運動も、勉強も、人付き合いも完璧にこなせる。そしてなにより優しい。そんな兄さんが僕は大好きだった。
そして、そんな大好きな兄さんが死んだのは僕が小学六年のとき。塾へ向かった僕に傘を届けようとして、その途中で脱輪したトラックの下敷きになった、と後から聞いた。
辛かった。でも、一番辛かったのは母さんだった。あの人は息子を助けられなかった自分を責めて、若くして死んでしまった兄さんを責めて──そして、一番の原因であった僕を許さなかった。
世の中には辛いことが沢山ある。サークルから追い出されたり、親友にメイド服を着せられて写真を取られたり、仲の悪い男に酔わされて襲われることとか。でも、そんなのが全部お遊びに思えるぐらい実の親に存在を否定されることは辛い。
だから僕は兄さんの代わりになろうとした。苦手だった勉強を頑張って中高一貫の進学校に合格して、家事も全部やるようになって、生徒会にも入って──「完璧」であるため、あらゆる手を尽くした。
けど、現実はそうそう上手くいかない。僕は凡人だった。いくら努力を重ねたところで兄さんのようにはなれない。人が変わった僕を妹は避けるようになり、最終的には生徒会も副会長止まり。頑張った勉強も進学校では中間レベルに過ぎなかった。
もっと辛かったのが人間関係だ。兄さんのように「いい人」を演じていたら他人から頼みごとをされることが増えた。それにいい顔をして対応していたら、僕は「都合の良い人間」としてクラスメイトに認識されるようになったみたいで、面倒くさい人間関係のトラブルの仲裁が大量に舞い込んでくる始末。
疲労とストレスで頭がおかしくなりそうだった。明らかにキャパシティーオーバーの問題をいくつも抱えたまま、潰れてしまいそうになっていたある日。僕は彼女と出会った。
「そんなときに彼女と知り合って……大仰な言い方になってしまいますけど、救われたんです」
エーミールに僕が抱えている問題を話すと、彼は一言二言アドバイスをくれる。それに従うと、不思議なことに物事が上手く進むのだ。解決が不可能に思えた人間関係のトラブルもまるで低難度のゲームみたいにシステマティックに解決される。彼、いや彼女は天才だった。
僕が女装してサークルに潜り込むなんてイカれた提案を受け入れたのはそういう過去の実績があったからこそだ。
ただ、すべてが上手くいったわけじゃない。最後まで母さんは僕を許さなかったし、自分を偽り続けることに疲れてしまった僕は高校時代の人間関係をあらかた清算してしまった。
それでも僕が今こうしてそこそこの人生を送っていられるのは他でもない彼女のおかげだ。仮に彼女と出会わなければ僕はどこかで折れてしまっていただろう。
「でも、実を言うと彼女と直接会ったことはなかったんです……笑っちゃいますよね。だから仲がいいと思っていたのは私だけで──向こうはそんなこと、少しも思ってなかったのかもしれません」
「ユウちゃん……」
「私が悪いんです。エミリーは友達も多くて、要領もよくて。それに比べて私はなにをやっても中途半端で。いつも彼女に頼ってばかりで。なんでもできるあの子からしたら、きっとただのお荷物でしかないんです」
それが僕の包み隠さない本音だった。
彼女に対する劣等感。自分が見捨てられてしまうんじゃないかという不安。彼女への反感の根底にあったものは、そういうどろどろとした薄汚い感情なのかもしれない。
「……あの子はそんな、完璧な人間じゃないわ」
ぽつりと、ユイカさんは呟いた。
その言葉が意外で、彼女の顔を見ると──どこか憐れむような、悲しむような。そんな表情を浮かべていた。
「あの子がどうして他人の前では猫をかぶっているのか、不思議に思ったことはない?」
「え」
「ユウちゃんも知ってるでしょ? ほんとのエミリは、面倒くさがりで、偉そうで……まぁ、『いい子』とはちょっと違うわよねぇ」
「それは……確かに」
「そんなあの子が面倒くさいあれこれを完璧にこなすなんて、矛盾してない?」
言われてみればそうだ。
大学じゃ「天使」だとか「看板娘」とか言われてるけど、それは世を忍ぶ仮の姿であって本当の彼女ではない。どちらかといえば利己的だし、プライベートではだらけにだらけきっている。それすらも演技である可能性は否定できないが、少なくとも性根が『いい子』でないことは確かだ。
この前なんて、ネットで炎上するyoutuberをわざわざHDMIでテレビに映して紅茶の肴にしてたぐらいだし。いや普通にクズすぎるなこのエピソード。最悪じゃん。
「そういえば……どうしてなんでしょうか」
「ねぇユウちゃん。あの子の家の話、聞いたことあるかしらぁ」
「ないですけど……」
「私も少ししか知らないの。前に気まぐれで話してくれたのを聞いただけなんだけど……ユウちゃんは──って会社知ってる?」
「えっと、イギリスの航空会社……あれ、保険会社でしたっけ。名前だけなら聞いたことあります」
「あの子、そこの娘なの」
耳を疑った。ユイカさんが口にした会社名は僕なんかでも知っているぐらいの巨大企業だったからだ。航空、金融、エネルギー、物流……いくつもの産業を束ねる巨大複合企業。つまり彼女は、そのオーナー一族ということになる。
地場の会社とは規模が違う。時価総額数千億、数兆の世界だ。あまりのスケールに現実感がわかない。
が、どこかで納得している自分がいた。彼女は雰囲気からして普通の人間とは違う。こういう言い方は問題があるかもしれないけど、あんな人間が一般家庭で生まれたという方がリアリティに欠ける。
それに思い返せば彼女が上流階級育ちである証拠は数多くあった。学生マンションの相部屋を一人で貸し切っているのもそう。バイトもせずに趣味に金を費やせるのもそう。昔、ビデオ通話をしたときに部屋の調度品がどれも高級そうで驚いた記憶がある。
そういえばいつだかユイカさんを騙すために大河ドラマばりの作話をしていたけれど、あれはネタではなくそういうお家騒動が当然の環境で育ってきたからだと考えれば納得がいく。
「エミリ、いつも無理してたの。あれだけのサークルを掛け持ちして、大学組織にも入って……いくら要領が良くても人間には限界があるもの。だから私、気になって聞いてみたの。どうしてそこまでするの? って。そしたら……」
「……」
「『そうじゃなきゃ許されないから』って、それだけ。たぶん、いつも完璧に振舞わなくちゃ許されない……そういう環境で育てられたんじゃないかしらぁ」
彼女には苛烈なところがあった。自分の意にそぐわない人間に対する容赦のなさ。あれはきっと生来のものではない。
そして彼女はいくつもの顔を持っていた。趣味のコスプレが高じて、と彼女は言っていたけれど、それはあくまで外見の話だ。自己を希薄化し「誰か」を演じなければ耐えられないような環境──想像もつかないが、それは僕の学生生活なんかと比べ物にならないぐらい過酷なものだったのかもしれない。
「だから私、ユウちゃんには感謝してたの~」
「え……」
「一か月前……あなたと会ってから、エミリは変わったわぁ。これまでみたいに活発に活動することはなくなって人付き合いも適当になっちゃったけど、前より楽しそうだもの。何かに怯えて、いつも焦ってた前に比べればずっと……」
「……でも」
けれど。たしかにユイカさんの言うことが真実だとしても、それを素直に受け止めることは出来なかった。
「それでも、私が彼女にしてあげられたことなんて一つもありません」
「そうかしら~?」
「そうでしょう」
いくら友人として認められていても。結局エミリーは自分のことを話してくれない。大切なことを隠してばかりで、僕が真相を知るのはいつも後になってばかりだ。
どれだけ長い時間を過ごしても、信用されていなければ他人と一緒だ。
「……私は彼女の家柄も、完璧であった理由も、何も知りませんでした。気まぐれで話してくれたってユイカさんは言ってましたが、私にはそんな気まぐれすら起こしてくれないんです……ふふっ、私なんかよりユイカさんの方がずっと信頼されてるんじゃないですか」
「はぁ~……あのね、ユウちゃん」
「なんですか」
「えいっ」
「わひゃあっ!」
いきなり胸を揉まれた。
「ななな、なにするんですか!?」
「欲の発散よ~」
「すました顔でエグイこと言わないでくださいよっ!」
僕、この短期間でアザラシ昭人ユイカさんと三人に同じことをされたわけだけど、これって訴えれば普通に勝てるよね。その場合は女装して部屋に入り込んでることが争点になるんだろうけど、詳しいことはわからないので専門家にお任せしたい。多分勝てる。
「自分から聞いておいてこんなこと言うのもヘンだけど、私の気持ちも考えてほしいわぁ~」
「どっ、どういう意味ですかそれ」
「ここまで面倒な女のコと話すの、私初めてなんだもの」
「私は男ですっ!」
ユイカさんは「はいはい。男のコねぇ~」とか言いながら頭を撫でてくる。
ぐぅっ……悔しいがそうされているのは何故だか心地よくて、振り払うのもなんだからしばしの間付き合ってあげていると、彼女はそっと呟いた。
「仲がいいから、好きだからこそ話したくない。そう思ってるに決まってるじゃない」
「えっ……」
「家のことを知られてこれまでの関係が壊れてしまうのが怖い。私がエミリだったら、きっとそう思うわ……仲が良ければなおさら、ね」
それは。
あまりに初歩的な発想の転換で、見落としていた。
ヒントがなかったわけじゃない。そもそも彼女は一ヶ月前に出会ったときに同じことを言っていたのだ。「性別を知られて態度を変えられるのが怖かった」と。
「それに、こっちは大変だったんだからぁ~」
「大変?」
「そうよ。ユウちゃんが──」
彼女はなにかを言おうとして、すぐに口を噤んだ。顔に「やっちゃったわぁ~」と書いてある。失言らしい。
「ユイカさん?」
「え、えっと。なんでもないわぁ」
「そんな反応で本当に何もなかったら逆に面白いですけど。そんなわけないですよね」
「うぅ~……」
じっとその目を見つめていると、やがて観念したのか口をもごもごさせながら彼女は語り始めた。
「5月のことなんだけど」
「はい」
「……私が言ったって、絶対にバラさないでね~?」
「バラしませんから。早くしてください」
「そのぅ……エミリの様子がおかしかったの。何を話しかけても上の空で、部屋に戻ったらいきなり半泣きになるしで」
「エミリーが? 信じられませんね……」
「私もよ~。それで理由を聞いたら『最近、親友が冷たいって』。なんでもその子は中高のころは毎日のように話していたのに、大学に上がったとたんにそっちでの人間関係を優先するようになったらしくて。あんまり連絡を取らなくなっちゃったんだって。それで拗ねちゃったのね、エミリ」
「へ、へぇ~。薄情な人間もいたもんですねぇ……」
「これ、ユウちゃんのことじゃない?」
「…………そういう見方もできるかもしれません」
僕は彼女を頼ることができた。失敗しても彼女がいてくれる。そう信じることができたから、高校生活も頑張れたし大学でも素の自分で居場所を見つけることができた。
でも、彼女は?
新たな居場所を見つけた親友が自分を見捨ててしまうんじゃないかという不安。
けれども正体を明かしたら嫌われてしまうかもしれない。
そんな不安に板挟みされたまま、サークルメンバーと楽しそうに話す親友を見ていた彼女は……一体何を思っていたのだろうか。
アニ研の新人会に顔を出していた彼女を思い出し、ちくりと胸が痛んだ。
「きっと素直じゃないだけで、中身は普通の女の子だと思うの。だからもう少し、あの子のことを信じてあげて?」
「……はい」
おかしかったのは僕の方だ。これまで男だと思っていた親友が実は女の子で。しゃべり方も性格も異なっていて……相手が何を考えているのか、どう接すればいいのかわからず内心で戸惑っていた。それが積もりに積もってこんな事態を引き起こしてしまった。
けど、そんなこと考える必要すらなかったのだ。
──どんな姿形でも彼女は僕の親友で、大切な人なのだから。
「そもそも、ユウちゃんのことを信頼してないならとっくに縁を切ってると思うわぁ」
「あっ……それはそうかもです」
「そうかもじゃなくてそうよ~? そういう考えがパッと浮かばないあたり、ユウちゃんはにぶちん……というか、自己肯定感が低いのかしら?」
ユイカさんの言うことはもっともだ。僕はいつもネガティブな方向に物事を曲解する悪癖がある。
そして──今この瞬間も、僕はとあるネガティブな考えにたどり着いてしまっていた。
『仲がいいからこそ知られたくないこともある』
その理屈は、好意だけでなく悪意にも当てはまるのではないか。
僕に悪意を持っているであろう人間──昭人やエミちゃんが犯人であると思い込んでいた。けど、あれだけ周到な手段で僕を追い詰めるには犯人が僕そのものに精通している必要がある。僕の行動パターンを熟知し、なおかつアカウントのパスワードを推測。そして、僕が犯人にたどり着くことが無いよう、僕の行動そのものを操作できる人間。それは──それはきっと。
「あの、ユイカさん。最近エミリーの……その、悪い噂とか聞きませんでした? どんなに些細なことでもいいんです」
「えっと、聞いたことないわね。……どうかしたの?」
「いえ……なんでもないです。少し心配になって」
「大丈夫よ。あの子、人付き合いは上手だから。あ、エミリと仲直りしたら3人でお茶でもしましょう? 私、ここ最近仲間外れにされてすっごく寂しかったんだから」
「……いいですね、それ。夏休みにでも行きましょうか」
その後はシャワーを借り、学生マンションから出るときに鞄に詰めておいたパジャマに着替えて布団に入った。ちなみにやっぱり女装を解いたら「ボーイッシュなユウちゃんも可愛いわぁ~」とか言われて僕のプライドはズタボロにされた。死にます。
暗い室内。聞こえるのはユイカさんのゆったりとした寝息だけ。どうやらバイトで疲れていたようで、布団に入るなりすぐ寝てしまった。僕もくたくたなので眠ってしまいたいが、瞼を閉じても眠れない。
これまで意図的に考えないようにしていた。あの人が僕を陥れただなんて、あまりに辛くて、恐ろしくて考えたくもなかった。できれば杞憂であってほしい。けど──それも明日になれば全てわかる。
……そして、もっと恐ろしいことがある。
それはユイカさんと同じ布団に入ることに僕が欠片も疑問を覚えなかったことだ。なんか流れで同じベッドに入って寝てるけど、これって中々やばいシチュエーションじゃないのかしらん。
そしてもっともっと恐ろしいのは、興奮とかときめきとか、そういう感情が一切わいてこないことだ。ユイカさんはスタイルもいいし包容力もある。女性としてはとても魅力的。魅力的なはずなのにっ……なんでっ……!?
「むにゃ……ダメよユウちゃん。私たち、女の子どうしなのに……」
「なんだよその寝言っ……! 僕は男、僕は男、僕は男僕は男僕は男僕は男──」
……結局一睡も出来なかった。




