表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

30/58

30.ファイト・ナイト(3)

「ここで横B! そして着地刈りからの空横!」

「うわっ! それ友情破壊コンボだよ!」

恋と戦争(All is far)ではあらゆる( in love )手段が許される(and war )──デスッ」

「くぅっ、負ける───なんてね! 小ジャン回避っ──」

「はっ、読めてマスっ!」

「な、なんだって!? うわっ、負けた……。くそぅ」

「おやおや、随分と腕が訛ってるみたいデスね。鍛錬が足りていないのでは──って、なんデスかこれ!?」



勝利の喜びもつかの間。欧米人ばりの──というか欧米人なんだけど──オーバーリアクションでコントローラーを放り投げ、エミリーはそう叫んだ。



「なにって……スマ○ラでしょ」

「それは知ってマス!」

「あ、もしかしてマ○カーやりたかった? いいねいいね。あ……でも、僕持ってないんだよね」

「あ、マリ○ーならテレビ台の下に──って、違う!」



またもやオーバーリアクション気味に体を反らす。

元気そうでいいなぁなんて思っていたら、ずいずいずいと彼女は距離を詰めてきて───



「同居中の! 女友達が! なんでも言うこと聞くって! 言ったんデスよ!?」

「ちょっ、近いって! ツインテ! ツインテ当たってるから!」

「あ、すみません──ってなんで髪なんデスか! もっと反応すべきところあるデショ!?」

「うん? あ、胸か」

「反応、薄っ……」



薄いのはお互い様だよ。



「それはさておき」

「さておくかどうかはこっちに選択権があるはずデスけど………まぁいいデス。それより、なぜここで格ゲーなんデスか!」

「いや、だって……去年からあんまり遊べてなかったし」



僕とエミリーはゲーマーだ。それも重度の。

これまで僕らは暇なときにはオンラインゲームを一緒にプレイしまくっていた訳だが、僕が受験期に入ってからはめっきり遊べなくなってしまっていた。大学に上がってからもバイトやらサークルやらで時間が取れず、ここ最近もご無沙汰だった。

謎のインディーズゲームを一緒にぼやきながらプレイしたり、マイナーゲーのランキングを荒らし回ったり。小規模なオンライン大会にも出場したっけ。格ゲーからFPS。戦略SLGからソシャゲまで──いくつものゲームで遊んだが、振り返ってみると楽しかった思い出しかない。



そして肝心の腕前はというと───ほぼ互角。その証拠に、この格ゲーの戦績は196勝196敗25分けだ。

いや、たった今の敗北を加算すると僕が負け越したことになるのか。ぐぬぬ。

早くリベンジしたいので対戦開始ボタンを押そうとするが、当の彼女はコントローラーを放り投げたままだ。なにやら思うところがあるらしい。



「そんなにカッカしてどうしたの? 早く次行こうよ」

「若い男女が一つ屋根の下デスよ。もっとこう──ありマスよね!?」

「一つ屋根の下………あ、ボードゲームとか? 名案だね。対面の方が雰囲気出るもんね」

「いいデスね! ボドゲならドミ○オンがそこの棚に───ってこの流れはもういいんデスよ!」



結構ノリノリに見えたけど、それを指摘してキレられても面倒出し黙っておこっと。



「いいデスか。冷静に、客観的に、この状況を整理してみましょう」

「はぁ……そんなのいいから早く対戦しない?」

「シャラップ!」



ツインテでビンタされた。

あっ、これ結構いいかも……。



「まず、ユウは男子大学生デス。それも盛りざかりの」

「どこで覚えたのそんな言葉……ていうか、人を性欲魔神みたいに言わないでよ。心外だなぁ」

「ハッ。……『量子力学_学術論文』フォルダ」

「!?!? な、なんで!?」



間違いない。僕の秘蔵画像ディレクトリ名だ。

この世のありとあらゆるメイド服orツインテor眼鏡っ娘(基本R18)を記録したそれのデータ量は1TBをゆうに超える。流出した場合、世界のパワーバランスが崩れる(そして僕は社会的に死ぬ)可能性があるので誰にも教えていなかったのに……。



「誕生日と名前の組み合わせなんて……ダメデスよ、パスワードはしっかり設定しないと」

「は、犯罪だ! 不正アクセス禁止法に触れてるよそれ!」

「──それはさておき」

「ぐっ………」



意趣返しのつもりか。さっき同じことをした手前、反撃できない。

とりあえずパスワードを『1103yuuya』から変えておこうと心の中で誓った。



「……それで?」

「目の前には気の知れた女友達がいますね。それもかなりの美少女ときた」



ともすれば傲慢に聞こえてしまうこの発言だが、事実として彼女はモデル級の美少女なので(認めるのは癪だけども)あまり気にはならなかった。



「部屋には二人きり。周りには誰もいない。何かあったとしても、それが周りにバレる心配はナシと」

「まぁ、そうだね」

「そんな状態で彼女は『何でも言うことを聞いてあげる♡』と言ったわけデスが……即ちそこから導き出される結論は?」

「……スマ◯ラ?」

「ではなく」

「ド◯ニオン?」

「でもなく」 

「………? ……??? あの、ごめん。ほんとにわからないんだけど」

「そんなの───エロいことに決まってマス!」

「あぁー! なるほど、納得!」



たしかに。

年頃の男女。部屋に二人きり。言われてみれば単純じゃないか。

………ん?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] tって、Gの千倍だったよな ある意味尊敬する
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ