春の嵐と恋の風【70】
今日はカヤノもシルヴァスも出てきません。
ハルリンドやオグマ先生の動向になります。
急ぎ更新したので、誤字等あったらスミマセン。
ズボラ山・麓付近の町と一帯を守護する冥界貴族(神)に状況を伝えて、ハルリンド、アスター、オグマの三人は化け物に気配を悟られぬよう目立ちすぎない程度の兵を率いて、硫黄の香りと共に最近、瘴気の発生が確認されたと言われている場所へと向かっていた。
「レイナ様、その場所は、本当に今まで瘴気の発生がなかったのですか?」
「ええ。」
ハルリンドが自分と同じく女性騎士姿の少女に声を掛けた。
彼女が案内役を買ってくれた冥界神である。
年の頃はカヤノと近そうで騎士と言ってもまだあどけなさを残している。
しかし、たった一人で領主の代理として自分達を案内してくれているのだから、かなりの使い手には違いなかった。
彼女は、先代領主の忘れ形見であり、現領主の妹らしいが、今の暮らしに辿り着くまでは波乱な時代を過ごしていたのだと聞く。
先代が不運な事故で冥土を去り、神々の安住の休憩地点へと旅立ってしまったので、残された先代領主の妻は現人神だった事もあり、幼い彼女を連れて冥界を去って人間界で暮らしていた。
一方、当時の現領主は既に成人して妻もいたので、そのまま父の後を継ぎ冥界に残っていた。
それから年月が過ぎ、領主は母である先代の妻の訃報と共に、別れた頃、まだ幼かった妹が行方不明になったという報告を受ける。
現領主は冥界から使者を現世に送り、現人神の協力の元で妹を探したが見つからず、何と彼女は当時、カヤノと同じようにマッド・チルドレン達に攫われていたのだ。
事件が明るみに出た後に、ようやく彼女は助け出され、統括センターを通して兄のいる冥界に戻ることができた。
彼女は現人神養成学校には通わず、現人神の権利を完全に放棄して、兄と同じ完全な冥界神としての道を選んだのである。
ハルリンドは、自身も両親をマッド・チルドレンに殺されたという過去を持っている為、彼女が冥界神として覚醒するまでの生い立ちを聞くと、すぐに親近感を持った。
その為、話をしていく段階でお互いに意気投合し、カヤノを攫った化け物でもあるマッド・チルドレンを探しながら、二人の会話は事欠かなかった。
「この辺は火山地区なので、硫黄が噴き出している場所は山麓付近から至る所に見られますが、瘴気も一緒に発生するとなると本当に稀にしかないですね。それも発生すれば、すぐに私や兄が対処に回っています。私がこの仕事を手伝い始めてから、そんな事は頻繁にはありませんでした。」
レイナと呼ばれる少女は、早速、ハルリンドに向かって感じ良く受け答えをしてくれる。
「それに今まで兄から聞いた話や過去の記録においても、こんな麓で瘴気が発生する事はなかった筈です。どちらかというと瘴気の発生ポイントは麓ではなく、もう少し上の方の山の奥深い沼地やうっそうとした日当たりの悪い場所がメインなんです。」
「なるほど…だから、レイナさんもその場所が怪しいと?」
「ええ、身を隠すなら山奥の方が良いけれど、ハルリンドさんのお話では化け物は人間としての思考も持っているようですから、最低限の人としての暮らしを維持したいのかもしれません。すると、奥まった場所は色々と不便です。しかし、麓付近に生息すれば町への移動が容易です。」
レイナは、更に化け物が蔓や根を使って、地中を自在に移動できるのだとするなら、本来の瘴気の発生ポイントから空気口のような穴を掘り、麓付近まで引いて来たのではないかと推測した。
そして、硫黄発生ポイントに合わせたのは、臭いが強い場所の方がそちらに気を取られて瘴気が薄いうちは気付かれにくい事と、その臭いを嫌った市民や動物が近寄りたがらないからではないだろうかとも考えた。
温泉でも湧いていれば、動物や市民もやってくるが、レイナが案内する場所は温泉卵を作れるような場所でもなく、純粋に硫黄だけが噴き出している場所だ。
当然、好き好んで誰かが足を踏み入れたりするような所ではない。
瘴気発生の事実は、先日、領地を見回っている際に部下が偶然に見つけて、領主に報告をしてきたばかりだった。
近々、この瘴気発生地点の穴を塞ごうと兄妹で話し合っていた所に、ハルリンド達が訪ねて来たのだ。
レイナは、訪れたハルリンド含むフォルテナ伯爵一行の経緯を聞いてハッとしたのだ。
『こんな麓に瘴気が発生するなんて、非常にレアなケースだ!』と。
レイナは、マッド・チルドレンが絡んでいる事を耳にするや否や兄に直接『是非、自分に案内役をやらさせて欲しい!』と申し出た。
地上で現人神として生活していた頃、現人神としての戸籍登録もされていたにも拘らず、母の死後、知人に騙されて運悪くマッド・チルドレンに捕まってしまったレイナは、辛い思いを通して凶悪化したマッド・チルドレンの撲滅を切に願っていたのだ。
こうした考えを道中、ハルリンドを中心に語り、レイナの顔には時折、影が差した。
「その連れ去られた子が傷つけられていないと良いのだけど。アイツらは肉体的にも精神的にも攻撃するの。現人神に対する警戒心が万全というか…絶対的に自分達が優勢な状態になろうとするし、劣勢な相手には牙を剝かない。常に安全圏での行動を心掛け、上位の神々の目を眩ませて来た。」
「自分達でも御する事のできる相手にだけ目を付けるのよね…。未発達の者や力の弱い者…精神的に弱っている時だとか。やがては悪魔の手足と化していく彼らのどこまでも堕ちていく魂を身過ごす事はできない。連れ去られた子は、私にとって妹みたいなものなの。何としても助けたい。」
「はい…そうですね。私もできる限り協力します。地上でなく、私が冥界のみを選択する事になったのも彼らに攫われた事件がきっかけですから。冥界に侵入してまで、神や人間、しいては地上世界まで仇なすなんて…させません!」
レイナとハルリンドの会話にアスターも参加する。
「この件が無事に一段落したら冥王様の耳に入れて、マッド・チルドレンの冥界侵入の措置対策を強化しよう。今回は異例の事が多い。奴らをこのままにしていたら冥界崩壊に繋がる。」
「ええ。闇に取り込まれた生物がマッド・チルドレンとの融合で知能を持つなんて恐ろしいです。」
ハルリンドはアスターに相槌を打つ。
レイナもそれに続いた。
「それにしても化け物化して悪事を働こうとするなんて、マッド・チルドレンは、まるで何かに憑かれているようですね。危険しか感じないのに…己の身だけでなく、魂を犠牲にしてまで、なぜ力に拘るのか理解できません。」
その言葉にアスターが答える。
「力だけを求めているうちに個よりも一族を重んじ、一族よりも力を重んじるようになっていく。そして、自己中心的な執着は心に魔を呼び寄せ、愛の欠片もない執着や欲は恰好の悪魔の餌食だ。悪魔に乗っ取られた魂は次の現人神崩れを惑わせ、まともな思考回路を壊して仲間に引き入れる。」
「洗脳みたいなものですね…。」
ハルリンドが聞き返すとアスターは頷いて続けた。
「洗脳だな…。そして、ある種の人間で言う宗教の形になる。完全な悪を崇拝する組織だが、身を置くマッド・チルドレン達は自分達が正しいと思っているし、それ以外の思想は排除する。裏切れば消すし、元より自己愛から力を欲しているので、他人の事は考えない。」
「邪教というのかしら…。彼らにとっては自分達が神なのね。」
「本来の正しき教えを行う神仏なら無理に人々を集わせようとは思わない…。人間でも真の宗教家こそ、孤独を好むものだ。結果、がむしゃらに仲間を引き入れようとなどはしない。そう言った者は教えを乞う者にだけに知恵を授ける。力も欲していない…それこそが真の心の強さなのかもしれない。」
そこまで、アスターが話していると、黙って歩いていたオグマが話を纏めて、一同にある方向へと注意を促した。
「つまりは、表向き悪魔は神に敗れ、屈服してから闇の秩序を守って存在しているように見せかけているが…今も神世界を恨み、常に自分達がそれに成り代わる隙を狙って人間を堕とし、地上を腐敗させ続けて来た。マッド・チルドレンはそのいいコマさ。さて…話はここまで。あそこが例の場所か?」
オグマが目で指し示した方向を一同が注目すると、数十メートル離れた山の途中の岩肌にもくもくと黒い煙のような気体が立ち上がっている。
「「あれは⁉」」
ハルリンドとアスターが声を上げた。
しかし、レイナは目を丸くしてオグマに言った。
「そんな⁈案内しようと思っていた場所は、あとほんの少しですが先です。あれは…前には出ていませんでした。それに瘴気も広がっています。恐らく目的の場所から、今、見えている地点まで繋がっているのではないかと思います!」
「ふむ。」
オグマが顎に指をあてて、考えるしぐさをした。
「しかし、地上から見ていても何もわからんな。穴を塞ぐにも広範囲だろうから、少々地中が気になる。とにかく、近くまで行って様子を見るか?兵を離れた所に残して、二手に分かれた方がいい。化け物が生息しているかもしれん。とりあえずは二名で先に様子を見に行こう。」
オグマの提案にアスターが乗った。
「それでは私が行こう。オグマ先生は冥界には不慣れ…万が一、化け物が登場した際には、私の方が色々対処できる。もう一人は従者を一人連れて行くから、まずは私達が調査をしている間、君達はそこで見守っていてくれ。」
そう言って、少し行った先の岩陰を指差すアスターに、一同は従う姿勢を示した。
オグマもアスターの嫌味を返しながらも同意した。
「不慣れで悪かったな…。その通りですから、ここは伯爵様にお願い致しますよ。その巨体なら、化け物が出て来ても素手の取っ組み合いで充分、イケるんじゃないか?」
「フン、失礼な男だ!私を化け物と一緒にするな。そこまで大きくはないわ!!」
「いや…地獄の鬼くらいには…。」
「俺は貴族(一応)なんだぞ⁈何だと思っているんだ!」
興奮した伯爵様・アスターは、久々に自分の事を『俺呼び』して、口角泡を飛ばしながらも従者を一人連れて、岩肌に向かって歩いて行った。
歩いている間もご立腹の様子で、アスターはブチブチと口の中でオグマへの文句を言っているようだった。
少し遠くなってしまったその後ろ姿を、妻であるハルリンドは熱っぽい目で見ていた。
「うふふ、アスター様がご自分の事を俺って呼ぶの…久しぶりに聞いちゃったわ。シルヴァスさんの前でたまに出るくらいなんですもの。ワイルドでいいわぁ~。それに後ろからでもわかるあの背中の逞しい筋肉…素敵!」
「・・・・・。」
レイナは言葉を失い、オグマは溜息をついて言った。
「レイナちゃんだっけか?冥界夫婦ってのはバカップルばっかりだな。オタクはその…相手がまだ決まっていないなら、現人神なら俺がいつでも紹介してやれるぜ?余ってるし。勿論、俺も含めてな。冥界神の君には悪いが、こっちの男とつきあってるとオタクもハルリンドみたくなっちゃうぜ?」
レイナは首を傾げてオグマを見た。
オグマは彼女に慈愛に満ちた視線を送る。
「現人神でも危険な奴は大量にいるがまともなのもいる。俺はまともな奴をセレクトして紹介してやっから…。いいか?冥界神・男にはまともなのはいないからな⁈誓ってもいいぞ。冥界野郎の妻になんてなったら、愛情過多で女は皆、おかしくなっちまう。」
そう言いながら、オグマは嘆きのポーズで冥界の空を仰いだ。
「君の兄さんも父さんも恐らく、好きな女にはまともじゃない!君には、わからないかもしれないが…。ああ、ハルリンドも昔はここまで酷くはなかった…。優秀で…良い生徒だったんだ…くっ!フォルテナ伯爵め…アイツが変態をうつしたに違いないんだ!」
そう言って片方の腕で目を覆い、レイナにだけ聞こえる小さな声でシクシクと泣くオグマ…。
彼女はしばし、オグマを見守りながら顔を引きつらせていた。
「畜生…三十木といい、ハルリンドといい…どうして、イイ子ばかりがヤバイ奴ら(限定)に捕獲されていくんだ⁈何か間違っている!!」
オグマもアスター同様、独り言をブツブツと零し続けている。
ハルリンドは、小さくなっていく夫の背を、いつまでもうっとりと両手を胸の前で組んで眺めていた。
レイナは居たたまれなくなって、兵士たちの方に目を向けるが、彼らもまたそれぞれが明後日の方向に目を向けていた。
冥界男性について、レイナに何かを聞かれるのを恐れるように…。
レイナは仕方なくオグマの独り言が終わるのを待つ事にした。
☆ ☆ ☆
アスターが瘴気の立ち上る岩肌の隙間に近付くと、そこから地面を這うようにして黒い煙がレイナの予想通りに広範囲へと及んでいた。
従者と二人で瘴気の漂うラインを目で追っていくと、これから案内されようとしていたであろう方向へと瘴気の立ち上がりが続いている。
「これは…地殻変動でも起きているのか?」
アスターの言葉に従者が答えた。
「アスター様。この下に件の化け物が生息している可能性が高いのでは?」
「奴にとっては瘴気は毒ではなく、化け物部分をより強力にさせる養分のようなものだ。カヤノ君を攫ってから、まだ時間はそう経ってはいない。この中に彼女が…もしいるのなら、魂を食べる前に毒されて、すぐに奴の好む状態の魂ではなくなるだろう。」
「だとしたら…攫われたお嬢さんをこの地中の下に一緒に連れて行くでしょうか?やはり、奴はここにはいない?」
「そうだな。私なら、きっとカヤノ君を連れてこないな…。だが、化け物は何を考えているのかわからない…どうしたものだろう?この真下に果たして、化け物とカヤノ君はいるだろうか?」
「状態など気にする余裕がなければ、化け物もお嬢さんを連れ込んでいる可能性はありますが…もしくは、お嬢さんだけを別の場所に隠しておくとか…?そう言う可能性はないですかね?」
「むむ⁉別の場所か…あり得るな。とにかく、その線ならカヤノ君がいなくても奴だけでもいるかもしれない。一部、瘴気の岩盤に穴を開けてみよう。中を覗きたい。君、瘴気が直撃しない場所に移動してくれ。」
「かしこまりました。」
従者はアスターの後ろに回った。
それを確認したのと同時に伯爵様が片手に力を込めてから、握っていた拳を離すと中から光のボールが燃えるように現れた。
そして、それを彼は軽めに力加減をしながら、瘴気が激しく噴き出す地面を狙って落とした。
小さな爆音が響き、大地に直系3メートルほどの穴が開くと、風が吹くような勢いで中の瘴気が噴き出して来る。
「くっ!」
咄嗟に空気のバリアーを作り、アスターは従者と自分をオブラートのように包んだ。
瘴気の中でも異空間のようなバリアーを体の周りに張り巡らし、アスターはその穴を警戒しながら覗き込んでみる。
「むっ⁉これは!」
アスターが小さく驚きの声を上げたので、従者が続いて穴を覗くと、穴の中には空間が広がり、洞窟のように長い道が続いている。
当然、瘴気は吹荒れていて充満しているが、黒く曇った中にもバリアーを張れば、何とか中の状態を確認する事ができる。
バリアーがなければ、目も開けていられないような濃度の瘴気だが、2時間程度ならこの中でも行動できるだろうとアスターは判断した。
そして、それを告げるように従者に申し付けると、彼は一目散でハルリンド達の待機している地点に状況報告の為に走って行った。
アスターは、従者が皆を呼びに行っている間、地上からいくつか洞窟の続く方向に穴を開けた。
地中を行くならば、瘴気が籠り過ぎないように逆に穴を開けておいた方がいい。
本来の発生地点に出向いて、その穴を完全に塞ぐまでは…。
「だがな、しかし…穴を開けている時点で化け物に逃げられても困る。やはり二手に分かれて…ここが終点のようだから、半分の人員をここに残して半分を先の目的地にやって、穴を開けてみようか?もし、そちらも終点であれば、両方向から潜っていけば、化け物がいた場合、挟み撃ちにできる。」
アスターは、従者が引き連れて来た一行にその話をすると、オグマが開口一番にそれを受けおった。
「じゃあ、俺はここで待ってるから伯爵様とハルリンドが先まで行くか?万が一、目的地点に奴が生息していたら、一番に遭遇するのが伯爵様と息の合った奥さんの方がいい立ち回りができるんじゃないか?」
「それは…そうだな。では、もし地面を開けた時点で奴が飛び出したりしなければ、合図に音のない雷を空に光らせるから…そしたら同時に潜ってくれ。向こうとこちらから同時に挟み撃ちにするように歩いて行けば、万が一、途中に奴がいれば出くわす。」
「それなら奴がどちらに逃げても大丈夫だな。焦って、地面を突き破って外に出てくれれば、更にしめたもんなんだが…。」
「うまくいけば、その可能性もある。君が言うように、本体さえ外に追いやれば、魔神どもに比べて、そう手強い相手ではないだろう。」
「よし…じゃあ、早速動こうぜ!三十木が心配だ。レイナちゃん、俺と一緒でも良いだろ?もう目的地はこの瘴気のラインを歩いて行けばわかるだろうから…案内も必要なさそうだし。」
オグマはレイナに目配せをする。
レイナは深く首を縦に振って応じた。
「ハイ。オグマさん、宜しくお願い致します。」
「ああ。さて、兵を半々に分けねぇとな。」
オグマの言葉に兵士達は素早くに二2方向に別れた。
それを見ながら、アスターは片手を挙げて奥の地に進み始める。
「私の方について来る者達はこちらだ!ハル、行こう。私の傍から離れるな?」
「ハイ!アスター様。」
ハルリンドがアスターの後ろにくっついて歩き出すと、半分に別れた兵士の一方が伯爵の後をついて歩みを進め始めた。
最初から、兵士はいくつか別れる場合のグループ分けをパターン化して訓練しているのだろう。
冥界兵士達の動きは、実にスムーズだった。
オグマとレイナはそれを見送りながら、緊張感に包まれた場内で合図を待つ。
「オグマさん…攫われた女の子がいるといいですね。」
「んー。まあ、半々だな。こんな瘴気の強い所にいたらアイツの魂が蝕まれちまうからな。俺達なら少しの間バリアーも張れるが…アイツは弱っていたし、そんなに力は残っていないだろう。できれば、ここではない場所にいてくれれば良いって気持ちと、早く見つかって欲しいって気持ちだ。」
「そ、そうか…その子、今、神力が下がってるんですね?」
「ああ。元々、冥界と相性が悪いタイプだしな。こんな所に連れて来られたら悪夢だろう。意識を保てていないかもしれない…だが、ここが外れだとすると、また化け物の生息する可能性のある所を探さなきゃならん…時間がどんどん過ぎちまう。」
レイナは、生徒を心底心配するオグマの瞳が愁いを帯びたのを見て、黙って見詰めた。
肩を落とす彼に何を言っていいのかわからなかったのだ。
だから、ただオグマと同じ方向に体を向けて、アスターとハルリンドの合図が見えるであろう空に視線を這わせた。
当初の予定より、キャラクターが勝手に動いてしまい、話が長くなっていて申し訳けないです。
もうすぐ最後の山場で、フィナーレに持って行けると思います。
多分…。
あと何回かなぁ~?
結構あるかなぁ?
本日もアクセス、ありがとうございました。




