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エピローグ
一〇年後のサマー・クリスマス
海の医者になったりんたは遠く離れた街に出張にきていた。
そのかばんにはラベンダー色のくじらのチャームが揺れている。
光の角度で、あわい空色から桃色へ変わる貝がらのタイルが地面に敷き詰められている。
鈴の音がたえまなく響き、太陽の光がさんさんと輝かせ、全てがまぶしく光る街。
りんたはその街でサマー・サンタクロースを見つけた。
ラベンダー色の髪に、特別な日にしか見られない黄金色の海の色をした瞳、その首には純白の貝がらがかかっている。
サマー・サンタクロースもりんたを見つめ、その足を止めた。
二人の間に、二人だけしか知らない歌が流れる。
二人のサマー・クリスマスはこれからはじまる……。
【HAPPY END】
ウィンター・クリスマスは、良い子にしていた子どもたちにプレゼントを贈る日だ。
きみたちはもう知っているだろう、夏のクリスマス、サマー・クリスマスを。
きみたちにもきっと訪れる。
素敵なサマー・クリスマスが。