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プロローグ
「――約束だよ、ぼくが忘れても、きっと」
ウィンター・クリスマスは、良い子にしていた子どもたちにプレゼントを贈る日だ。
でもきみたちは知っているかい?
夏のクリスマス、サマー・クリスマスを。
これはある島国の一〇〇回目のサマー・クリスマス。
子どもたちにしか出会えない話。
そして、ある少年の約束の話。
プロローグ
この国では、みんなが幸せだった。
毎年の夏休み、太陽が一番強く輝いて、それに負けじと海がまぶしく光るとき、一〇〇人の子どもがある場所に集まる。
大人には決して見つけられない場所、でもそこは子どもの夢があふれた目から見れば公園の隅につくった秘密基地のような場所。
だから大人は、自分の子どもが日がのぼってから暮れる頃までどこかにいなくなっても、だれもそれを責めなかったし、詳しく問い詰めたりもしなかった。
なんでだと思う?
それは彼らも、特別な夏を過ごしたからだ。