いっしょにうたおー
一通り、全員が一曲ずつを作成してみて、それぞれの感想を持ち寄った。
「歌うってのは楽しいけど、やっぱ難しいな。オレ一人じゃもう無理っぽいよ」
ただでさえ国語が苦手だったものだから、楽しんでいたとはいえ、短距離走は限界なようだった。
まだやりたがっている人もいることが見えていたから、かあさんが図った。
完全な理系脳の彼女だって、歌を作るのには難しいところがあったようなのだし、一人で黙々に慣れていたとはいえ、専門外のところでは協力があって欲しかったところだろう。
恐る恐るといった様子で手を挙げて、彼女は提案した。
「コラボレーションをしてみるというのはいかがでしょう。教科が違っていても、学習内容に重なるところはあるでしょうし、一緒に作ったならば、より良いものになるように思えます」
協力というものを知ったばかりのかあさんだから、照れ臭そうな躊躇いだってあったし、周囲の多少ならざる驚きもあった。
しかし、そんな彼女の提案だからこそ、心に響くところもあったのだろう。
これまで一人で得意なところを極めて来た天才たちが、今回は担当教科の壁を越えて楽しいと感じられたおかげなのか、協力しようという気になっていた。
「ペアになってくださいませんか、重なるところも多いでしょうし、同じ語学ですから」
「それもそうかもデス。ヨロシクお願いします」
国語と英語のペアは早くも結成された。
「ルネサンス、ロマン派、クラシック年表と世界史年表で、掛け合い的に重ねてみるってのはどうかしらぁあ♪」
「音楽の年表と世界史の年表、社会サイドとしてみれば、音楽じゃなくたって良いんだけど、そう言うんなら組んであげても良いわよ」
音楽と社会のペアが結成された。
「どうする?」
「どうしましょう」
「これから相談して、お楽しみってことで良いんじゃない?」
残りのメンバーは、曲を発表してからのお楽しみということで。




