きっかけはきみのうた
これは、九人が仲良くなり始めていた頃の話。
まだ恋心は目覚め出す前、人見知りの多い彼ら彼女らの間に、やっと友情が感じられるようになってきた頃の話。
「小難しい勉強の話も、歌に乗せれば皆で楽しめるさあぁあ♬」
次は何をしようかと皆で考えていたとき、シャープが歌い出したのだった。
音楽を軸にして他教科を乗せるような、音楽有利な企画であるから、否定する人が出ると思ったのだが、そうはならなかった。
「楽しそうね! あたしもそれはちょっと興味あるかも! 作詞作曲しちゃいたい。あたしは国語も音楽も担当じゃないけど、でも、得意じゃなくてもそれって楽しそうじゃん」
「ぼくもやりたいですね、許されるなら。他の方に決定権は委ねますよ、自分に有利な企画となってしまっていますから、この場合ぼくは」
最初にとりあえず批判から入る墾田ちゃんが、物凄く乗り気だった。
倒置も瞳を輝かせていた。
「センスがある方だとは思いませんが、理科が嫌いな人でも、楽しく理科の勉強が出来そうですね。賛成です」
「歌も美術。素敵な芸術」
「皆で歌ったら絶対に楽しいよな! オレもカラオケ大会大賛成!」
かあさん、色彩、少し趣旨が違っているような気もするが、短距離走も賛成の様子。
残りのメンバーも、賛成こそしないが、反対でもないようだった。
そうして、作詞作曲をすることになった。
歌詞を作りやすい範囲を選んで、それぞれが勉強に役立つ最高の歌を作ろうと努力するのだった。
代表するほど得意なのだから、勿論皆各々の担当教科が好きだ。なのだから、とっても楽しそうに頭を悩ませていた。




