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双極の魔法使い 更新しません  作者: デトロイトのボブ
1章 少女の日常は崩れ去る
5/17

4話「開戦前夜」

レポートで更新遅れます( ´・ω・` )

  01


 4月8日

「あれ?私寝てたの……」


 朝目が覚めると明日香は制服のまま寝てしまってたようだった。


「おはよう明日香お姉さん、昨日の傷はもう癒えてるんだ……」


「まあね、アル君と憑依したおかげか私にも脅威的な回復力がついたみたい」


 昨日、春馬が帰った後明日香とアルヴァトスは近所の人目がつかない森で1度意識を乗っ取られた憑依経験(シンクロ)を練習する事にした。

 前回は魔力暴走で意識を乗っ取られたが今回の場合は魔力を全身に回すように集中したら意識は乗っ取られなかった。だが、一つ問題があるとしたら……



憑依経験(シンクロ)する瞬間が敵に狙われやすいのが問題ね」


「そこは春馬とタッグ組んで弱点補ってもらえばいいんじゃないかな? 」



「えー、組んでくれるかな。戦闘の時だとめちゃくちゃ怖いし」


 明日香はまだ気づいていなかった、春馬が明日香に恋愛感情ではなくなにか別の感情を抱いてる事に。彼女がそれに気づくのはもっと先の話だ。



「なにニヤニヤしてるの?アル君」


「ん、別に何でもないよ。そうだ明日香お姉さんあ」


「明日香ちゃーん!!お友達来てるわよ!」


 アルヴァトスがなにか言おうとした瞬間に下の階から声が聞こえた。その声の主は管理人の霧島さん、明日香は叔父さんの紹介で少し古びた洋館に居候させてもらっている。


「友達……?香澄かな」


「いや、春馬だよ」


「春馬君!?」


 春馬にバレないよう明日香はこっそりカーテンを空けた。下には明日香に見せる柔和な雰囲気を持つ少年ではなく、戦闘の時に出す冷徹な感じの春馬が立っていた。


「なんか戦闘モードに切り替えてるけど重要な事なのかな」


「とりあえず行ってみないとわからないよ! 」


 気は乗らなかったものの、仕方なく明日香は休日でダラダラしたしたい気持ちを押さえて下に降りた。


 ―――――――



「ごめんね、遅くなっちゃって。なにか用事?」



「明日香、今日なんか用事あるか?」


「……?別に今日は予習しようかなって思ってたんだけど」


「じゃあニ時間後に新芽区のカフェで待ち合わせで良いか? 」



「一応聞くけどメールとかで聞けば良いのにって……あ」


 明日香はアルヴァトスに袖を引っ張られて気づいてしまった……初めて会って三日しか経っていないが彼が携帯を全く使っていない事に。


「とりあえず待ってるからな、じゃ」


 明日香の申し訳ないような雰囲気を察したのか春馬はソサクサと去ってしまった。


「今度携帯選び手伝ってあげようかな……」


「明日香お姉さん、異性と出かけなきゃいけないんだから服装はちゃんとしないとね! 」


「うッ……それ言われると」


「話は聞かせてもらったわよ~、男の子とデートなら霧島さんに任せなさい!! 」


「霧島さん!?いつのまにいたんですか! 」


「さっきからいたよねー、アルヴァトス君」


「話に夢中で気がつかなかったんじゃない? 」


「さあさあ屋敷に戻って。私のお下がり貸したげるから~」



「ちょっと霧島さん!」


 誰かが傷ついたり死んだりするかもしれないゲームに参加する前にこんな事をしていいのかと思っていた明日香だったが、数時間後に少し期待してしまった気持ちを裏切られる事になる……



「ついに来てしまった……」


『頑張って明日香お姉さん! 』


 2時間経って待ち合わせのカフェに辿り着いた明日香、彼女にとって異性と遊ぶという事は15年間ないので少し戸惑っていた。

 その為、アルヴァトスの人化を解いてインビジブルモードにしてついて来てもらったがいかんせん不安が取れない明日香だった。


「あ、お客様は竜宮寺明日香様でお間違いないでしょうか? 」


「そうですけど……」


「お連れ様がお待ちでいらっしゃるので席にご案内致します」


 中に入るといかにも田舎者お断りのオーラを出している店内で圧倒されていたが明日香の顔を見るなり男性店員はズカズカと近づいてきた。

 店内を歩いていると自分自身に男性の視線が向いていると感じたが自意識過剰なのではないかと思い春馬がいる席へと向かう


「やあ、君が竜宮寺明日香さんだね? 」


「……」


 席へ案内されるとそこにはカフェなのにベロンベロンになっている女の人とそれに付き合わされている春馬がいた。


「これって一体……」

 

「ああ、ごめんね自己紹介忘れていたね。私は私立青葉高校理事長 葉隠梨紗だ、よろしく」


「……兵藤くん?これは一体どういう事かな? 」


「実は理事長がオルタナティブについて話をしたい事があるから明日香さんを連れて来いって僕に 」


「人のせいは良くないな春馬。私はただ明日香君に忠告する事があるから呼んだんだ」


 さっきまで酔っ払っていた理事長は気がつくと別人みたいな顔で明日香に語り続けた

 話を聞くと彼女は前回の参加者でどうやら明日香に色々注意してくれた。


「あと、あまり負け続けたり視聴者に不快感を持たれたら本当に大変になるから気をつけて」


「それは初耳なんですけど」


「それは僕も同じです」


「ふむ、なんて説明すればいいか……まあ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 とカッコつけるが……


「もうちょっと説明した方がいいんじゃ……」


「む、それもそうか。オルタナティブはルールなどはない、ただ自分以外の参加者を倒したりして最後まで生き残れば勝ちだよ」


「その言い方だと私と兵藤君は最後に殺し合いしなきゃいけないんですか!? 」


「そこは大丈夫。彼には()()()()()()()からその場合は彼はリタイアするだろう、自主的にね」

 明日香には理事長の雰囲気が変わった事に気づきはしたものの、それを口にする事はできなかった。


「理事長……」


「おっと、話がズレたね。話を戻すがリタイアをする場合はオルタナティブ運営に直接申し込めば安全は保証されるよ。最後に勝利条件は視聴者をドン引きさせなきゃ大丈夫」


「まあ、なんとなくわかりましたが少し拍子抜けです」


「?」


『ドンマイ!明日香お姉さん』




  02




 夜の20時頃、春馬は自分の住んでいるアパートに帰ってきていた。

 明日香に合わせてわざと戦闘モードではない自分を出したが精神面ではかなり負担がきていた。


「……そこにいるんだろレベッカ」


『新しい友達との遊びは楽しかった?』


 春馬は誰もいないはずの「人物」に話かけた。自分の親友だった幼馴染、いつも側にいて春馬をずっと支えた人物であったものに


「なにが言いたいんだレベッカ。俺は……」


()()あの時と同じような事を繰り返すの? 』



「あの事は繰り返さない……俺は彼女と共にオルタナティブを勝ち抜いて君を……」



『貴方は自分の魔法を使う事はできない、私という存在を覚えている限りはね』


 そう言い放ちレベッカという「人物」は姿を消した。今部屋にいるのは過去に囚われた哀れな少年だけだった。


「俺はレベッカを……生き返らせたい」


 誰もいない部屋に少年は語りかけていた。

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