当たりはずれもありますよ
とあるコールセンターのオフィス。
そこで毎日電話を取る嘉内は電話の音に怯え始めていた。
今日も自分に非がないのに客に怒鳴られるのか。またGLやベテランに「どうしてそんなコールを取ったのか」と言われるのか、と。
嘉内は変に運がいい人間だ。
宝くじは当たらないが、ちまちまとしたものがよく当たる。
家電製品が一年以内に故障したりする。一年以内なので無償修理または、交換が出来るのがせめてもの救いだ。
こんな人間だ。
「……はぁ」
嘉内から出たのは、またしてもどうでもいいため息だ。
今日電話を取るノルマは二十件。一般的な問い合わせでありますように。ノルマをこなせるよう、周囲が頑張る中で、嘉内の目標はある意味低かった。
「お電話ありがと……」
『なんであんたなんだよ。江井さんじゃないのかよ!』
今日の一件目はどうやら悪戯電話だったらしい。江井、というのは嘉内と一緒に働くスタッフだ。そして、この電話の主のお気に入り。
「江井はただいま他の電話にでておりま……」
『終わったら繋げ!』
「申し訳ございませんが、いつ終わるかというのはこちらでは分かりかねます。ですので、こちらから折り返し……」
電話番号を相手が教えないのを知っていて、あえて言う。
『いいよ! またかけなおすから!』
電話はプツリと切れる。
一件目は「アナログ」と。
「アナログ」は江井を気に入っている悪戯電話の主を表す言葉だ。こんな電話でも、こうやって書いて記録しておく。




