人の闇を描いたラブストーリー
春樹のスマホに彩香から電話がかかってきていた。
「今1人?」少し怒ってように聞こえた。いや、間違いなく怒っていた。
「うん。どーしたの?」
「お前、うざいな。まじうざい。これっきりだから。じやーね。」そこで通話が終了した。
彩香とは高校からの仲で先々月から風俗に入る話をしていた。
ここまで怒らせる心当たりがありすぎた。
たぶん、風俗の話のことだろう。
俺は、自分のやってしまった事の悔いと彩香ともう連絡は取らないであろうこれからにイラつきスマホを部屋の隅に投げつけた。
でも、割れない程度に気を使って投げていた自分にまたイラついていた。
春樹はすぐにスマホを拾いに行きもう1度着信を確認する。やっぱり彩香だ。
俺にとって彩香は大事で好きな人だ。いや、だった。
高校2年になり始業式が始まる五分前。
俺は生徒指導の先生と対峙していた。
「折原、お前うちの校則は知ってるよな。」
「はい。ですから去年から染めてません。ドライヤーとアイロンの賜物です。」俺の後ろにいる瑞希は昨日まで茶髪だった事を知っていて笑いをこらえるのに必死そうだ。
「それでも、校則は校則だ。家帰って染め直してこい。」
まぁ、始業式だけだしクラス発表は瑞希がメールで送ってくるだろう。帰ろう。
先生の言うがままに教室からバックを取って帰ろうとしていた。
三階の渡り廊下を通り昇降口に向かっている途中。
眠そうにあくびをしながら不機嫌そうな奴が歩いてきた。
スカートは短いし、髪はボサボサだし、スタイルも普通なのに。そのくせ、メイクはしていた女と一瞬目が合った。
俺は、変に思われるのが嫌ですぐに目をそらした。そのまま、昇降口に向かった。
帰り、梨花と沙月と会いこいつらも頭髪指導で帰るらしい。タクシーで一緒に駅まで帰った。
梨花と沙月はとにかくうるさい。八月の鈴虫並に騒々しい。だが、沙月とは去年の夏恋仲であったので仲良くなるタイプでは無かったがその周りの友達とも顔を合わせれば談笑くらいはした。
俺はこいつのこのうるさいキャラが嫌でわかれた。駅につくと各々帰路についた。
家に帰ると瑞希からメールが入っていた。
瑞希
また、お前と同じクラスだ。
とりあえず髪の毛直して明日も来いよ。
という文と全クラスの名簿の写真が来ていた。
春樹
お~。また、担任佐藤かよ。
よろしく~。
1年からの付き合いだが、だからといってメールが盛り上がるほど上辺での付き合いではない。
自分のクラスの名簿を見ると明日から不登校になりそうな面々だった。メールを閉じ染め粉を買いに行った。