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スターフィッシュ  作者: ベンジャミンバトン
6/7

愛をください

太陽が照りつける。

アスファルトは干上がり昆虫が干からびている。

蝉が朝から晩まで泣き、夜にはなにかもどかしい気持ちになり外に出たい衝動にかられる。


夏が来たのだ。

季節は7月。高校生にとって7月は夏休みがある最高の月だ。

部活をやっているものにとっては夏休みとはただの地獄だ。

こんなとき部活をやっていなくてよかったとつくづく思う。


朝から晩まで一日中自由時間だ。

誰も俺の邪魔をしない。

そんな至福の時間が30日以上もあるのだ。

夏は暑いから嫌だと言う輩が多いが何を言う!

夏は海!花火大会!肝試し!スイカ!なんか青春っぽいものでありふれてるじゃないか!!

そんなのリア充だけだと?

いやいやこれを読んでいる読者がまだ高校生なら間に合う。

夏を楽しむのは君次第だ!


なんてことを考えていたが夏休みは退屈だ。

朝から晩まで自由?

退屈なだけだ!やることがなさすぎて一日中くだらないことをして時間を潰してしまう。

最初の頃こそ好きなことをしていたが飽きてしまった。

何より暑い!暑いと外に行く気も失せる。

エアコンがかかった部屋に一日中いるとなぜだか罪悪感が湧いてくる。


しゅうやもなおとも部活はない。


そのため最初の頃は遊びまくっていたが飽きてしまう。金もない高校生がやることといったらゲームくらいだ。


すぐに飽きてしまいダラダラと過ごす夏休みになっていた。


そして夏休みが中盤に差し掛かった。


ある日家にいた俺は無性にガリガリ君が食べたくなってしまった。と言うよりは昔からガリガリ君が大好きなのである。


炎天下だが散歩がてらに高校の近くのコンビニまで自転車を走らせた。

昼頃であったため高校の部活終わりの生徒がコンビニにたむろっていた。


なぜか恥ずかしくなりアイスを買ったらすぐに帰ろうと思った。

コンビニの中は冷房が効き天国のようだった。


アイスコーナーでどれにしようか迷っていたところ。


隣に女の子が並んだ。


女の子もアイスを買うようだ。


だが普通の女の子ではない。


隣に来た子はゆかちゃんだった。


ゆかちゃんはバレー部だ。小柄だが運動神経はなかなか良くマラソン大会では女の子の部で1位だったらしい。


中学校では大体の男子がゆかちゃんに思いを寄せていたらしく告白の嵐だったらしいがすべてことわった。

これがこの半年でえた彼女の情報だ。

まだ誰にも荒らされてない聖域。

純真無垢な彼女が隣にいるのだ。


どうすればええんじゃー!!

頭の中はパニックになり緊急会議が開かれていた。


頭の中の俺

「緊急事態じゃーー、わぁーーみんな大変だー!」


ザワザワ ザワザワ


頭の中の偉い俺

「皆の者静まれ!今は冷静になるべきだ!ここはいかに好印象をもたせ次に生かせるかという正念場だ!」


頭の中の俺


「だけど一体どうすればいいんだよ!?」


頭の中のクールな俺

「俺にいい案があるぜ?部活帰りの彼女だ。きっとアイスを買いに来たんだろ?思い切ってパピコを買って片方渡せばいいんじゃないか?」


頭の中の俺


「それだ!それでいこう!早急にパピコを買うんだ俺!」


頭の中の偉い俺


「この議案はクールな俺の案で可決だ。早急にとりかかるのだ俺!これにて会議は終了だ!」



はっ!ゆかちゃんがアイスを買う前にパピコを買いそしてこれをゆかちゃんに渡すんだー!

と考えていた矢先。


「あ、はるきくんだよね?確か7組の」


衝撃をうけた。まさかゆかちゃんから話しかけられるなんて、しかも名前とクラスまで覚えてもらっていた。

俺がもう少しこじらせているような男だったら間違いなくこいつ俺に気があるのか?と考えてしまう。


いやいやまてまて、こんなこと考える前にすぐに返事するんだ俺!!


「あっ、あふぅ、そうだよ!!俺のこと知ってたんだ!嬉しいな!!」


「半年もいれば大体の人わかるよ!はるきくんなんか目立つし、それに前ななちゃんと歩ってるところ遭遇したしね。結局何もなかったの?」


「いやほんと!何もなかったよ!なんかあれからほとんど話してないしね!」


「そうなんだ〜、ななちゃん可愛いのにもったいないよはるきくん!」


俺が好きなのは君なんだー!!!

といますぐ叫びたくなってしまった。


「そういえばゆかちゃんは好きな人とか彼氏とかいないの?」


いきなり何を聞いてるんだ俺は!!

失礼だぞばか!おれのばか!


「ううん、ゆかあんまりそーゆの苦手なんだよね。だからずっといなかったけど最近は少し興味あるかなぁー」


「そうなんだ!んじゃもし誰も相手してくれなかったら俺のとこにきてね!」


何を言ってるんだ俺!強がるな!

今すぐラインをきけ!


「わかったよぉーだ!多分ね〜〜!

それじゃゆか迎えきてると思うから帰るね!」


「わかった、んじゃまた夏休み明けー!」


「バイバーイ!」


ゆかちゃんのラインはきけなかった。

でもゆかちゃんに夏休み会えたんだ。

もうこれだけでいいさ俺は…


その時


「あっ!そうだはるきくんのライン教えてよ!」


えぇーーーー、いいんですかーーー!?


ゆかちゃんとラインを交換した。

高校生の夏休みに日記の宿題があったら迷わず書くだろう。

ゆかちゃんとラインを交換した。

僕は最高に幸せものですと。


帰りに買ったガリガリ君を食べていたらあたりだった。


今年の俺はついているのかもしれない。




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