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僕の平凡な日常 なんちゃって。  作者: 絹川クーヘン
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第7話 異邦連盟 現る!


 女が男に尋ねる。

「何か気になることでもありましたか?」

「まあ特には。そちらは何か判明しましたか?」

「はい。彼は、胸に数珠を身に付けており、その数珠には強い妖力が込められているということです。」

「なるほど。」

「はい。それから彼の名は・・・」

「数斗。」

「え?」

「数斗くん。ですよね?」

「・・・まさか、また棺桶から抜け出したのですか??」

「抜け出したのではないですよ。あくまで“散歩”です。」

 闇に包まれた世界の中で、一人の男が八重歯を見せて笑っていた。



そして現世界では、時期はすでに夏休み。

海。そこには学生たちが海水浴に来ていた。

「はあ~気持ちい。うわっ・・・」

「アハハハッくらえ!小十郎!!」

瞬熄が小十郎に、海水をかけた。

「やったな。この!!」

小十郎も海水をかけ返した。

それを見つけた冬華は怒鳴った。

「こら!二人とも!!周りの人の迷惑になるでしょうが!!」

「「はい・・・すいません。」」

「いいじゃん!冬華!わたしたちも遊ぼう!」

「うん!そーれ!」

「キャアッ」

冬華は背中を押されて、海に飛び入った。

「ちょっと二人とも!!」

「うわあ~~」

「冬華怒らないで~~」

「待ちなさい!!・・・もう。」

みんな楽しそうにはしゃいでいたが、一人だけ楽しそうではない人がいた。それは数斗だった。

「(一人で釣りに来たかったのに・・・昨日電話がかかってこなければ・・・)」

 昨夜。電話での会話。

「へえー明日から夏休みか。」

「はい。これからどこに出かけようか考え中です!数斗さんはなんか予定ありますか?」

「丁度明日、釣りに行こうと思ってるんだ。」

「てことは海に??!じゃあついでに俺も連れてってください!!」

 といって、誘ったのは瞬熄だけだったのだが、なぜか今朝、友人たちも一緒に連れてきて

「やっぱりみんな誘って、海に行きましょう!」

なんて軽々しく予定を変更し、大人数でやってきたのだった。

 でもその輪には入らず、数斗は一人釣りをし始めた。でも、しばらく経っても、釣竿に動きが無い。

それを見ていた瞬熄は声をかけた。

「数斗さ~~~ん!!気持ちいですよ~~」

「・・・」

何も返事が返ってこなかった。もう一度声をかけようとしたとき、ぬりかべが浮き輪に乗ってやってきた。

「やめとけよ。数斗、釣りに夢中みたいだし。」

「・・・ぬりかべ。なんで浮き輪に乗ってるんだ?」

「えっ、まあ・・・波に揺れるのも悪くないかな~って・・・」

「泳げないのか?」

「んなわけないだろ!!」

「はは~ん。じゃあ浮き輪取ってやる!」

「うわわやめろ!!」

その様子を見て、まりの以外の女子たちは引いていた。それもそのはず。彼女たちにはぬりかべが見えていないからだ。

「何やってんだか。」

「でも、昨日瞬熄くんから連絡貰ってよかった。久しぶりだったし。海。」

「こうしてみんなで来たのも、初めてだしね。」

ガールズトークをしているところに、小十郎がみんなに声をかけた。

「みんな~お好み焼き買ってきたよ~それからラムネも。」

「おお~~ちょうどお腹空いてたぜ!」

「さすがこーくん!」

「まりの、その呼び方やめてって・・・」

「待ってっわたし泳げない!!ぶくぶく・・・」

「しっかりして!ひかり!手を伸ばして・・・」

「あっ、数斗さーーーん!!お好み焼きっ・・・」

「うおーーーっちょっちょっとまて!かかった!何かかかったんだよ!!」

「「「「「ええ~~~~!!!!!」」」」」

みんなはお好み焼きを持って、数斗のところへ行くと、釣り糸がピンと張っていた。

「手伝うよ!数斗さん!!!」

みんなは数斗を思いっきり引っ張ると、釣竿が上に上がり、大きな魚が釣れた。釣れた瞬間、みんなは喜びを分かち合った。

 「あ~~~おいしい~~!!」

「うん!おいしい!」

「行列が出来てたんだ。早めに列に並べて、運がよかったよ。」

「ありがとう。小十郎。」

「ごちそうさま~~」

いち早く食べ終わったのは瞬熄。

そして再び海へ行った。

「やっぱサイコーだな~~」

身体を海と平行に泳ぎ、プカプカと浮いていると、浮き輪が瞬熄の頭にコツンと当たった。

「ん?ぬりかべ。お前ずっと泳いでたのか?」

「ああ。おかげで犬かきが出来るようになったぜ。」

「そりゃあよかったな。犬だから当たり前だけどな・・・・・・ん?ぬりかべ?」

瞬熄はぬりかべがいつものボケに突っ込まないため、浮き輪を見てみると、ぬりかべの姿が無かった。

「ぬりかべ?・・・っ!!ぬりかべ!!!」

もしやと思い、瞬熄は水面に潜ると、ぬりかべが沈んでいた。

「ぷはあっはあ・・・むっ・・・」

大きく息を吸ってから海に潜り、ぬりかべを追いかけた。

しかし、ぬりかべが沈む速度が異常に速い。よくみると、

「(みっ水かき???!!!)」

ぬりかべは何かに足を捕まえられて、引きずられている状態なことに気付いたのだ。

「(待ってろ!ぬりかべ!)」

するとぬりかべを連れた陰は、深い洞窟に入っていった。ところが瞬熄の息が限界だった。

「(くそっ・・・息がっ・・・こうなったら。)っ!!」

瞬熄はぬらりひょんの姿になり、素早さを上げ、一気に追いついた。

「っはあっはあっはあっ・・・」

「よくここまで来れたね。褒めておくよ。」

呼吸が出来た場所は、明るい空洞になっていた。

「ここは、お前が作り出してんのか?」

「そうさ。おいらは河童。ここの水を抜くのなんて容易いことさ。」

奥を覗いてみると、ぬりかべが倒れていた。

「ぬりかべは返してもらうぜ。」

「力づくなら負けない。」

ぬらりひょんは剣を大きく振りかざした。斬りかかっていく攻撃を河童は軽々と避けていく。

「なら。」

連続で切り裂いていくと、どれも素手で跳ね返し、ついには刃を握りしめられ、剣が真っ二つに折れてしまった。それなのに血どころか傷一つついてはいなかった。

「俺は怪力なんだ。だから刃物なんて粉々にできる。」

「くっ・・・やるなあ・・・けど、俺の速さには追い付かねえだろ。」

洞窟を素早く移動して、隙を見て、河童に折れた剣を突き刺すと、河童の体から抜けないのだ。

「どういうことだ?・・・うっ!」

動揺したせいで相手が目の前にいるのも忘れて必死になっていた。その隙をついて河童はこぶしをぬらりひょんの腹に入れた。

「っ・・・!」

「痛いだろ?これでも手加減したんだけど。」

「へっ・・・生意気な奴だな。ムカつく。」

「こういう性格なんだ。そーれ。」

河童は水を集めて、ぬらりひょんを水の球体に閉じ込めた。

どうやっても出ることができないぬらりひょん。剣を振りかざし続けるが、水の球体は解けない。

すると、ぬりかべが目を覚ました。目の前の出来事に息を詰まらせた。

「ぬらりひょん!!」

息が続かず、ぬらりひょんは瞬熄の姿に変わってしまい、球体の中で意識を失ってしまった。

「あっ・・・ここは逃げるしか。っクウォーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!」

「うわっ!なんだこれ・・・」

ぬりかべは身体を大きくさせ、遠吠えを上げた。その声の大きさに河童も耳を塞いでいた。

「(今だ!)」

球体を出口に動かして、海水に触れると、球体が弾けて空気を吸うのが可能となった。

ぬりかべは慣れない犬かきで、瞬熄を急いで陸に上げた。



 声が聞こえてくる。数斗さん、まりの、冬華の声も。みんな。

「はっ・・・」

「瞬熄!!」

「・・・冬華・・・」

「よかった。無事で。海にいないから探してたら、貴方が水面に浮かんでて。心配したじゃない!!」

「・・・ありがと。みんなも。」

瞬熄は無事に目を覚ましたのだ。

 でも、みんなが見えないところで、ぬりかべがずぶ濡れでいることを知ると、瞬熄をここまで運んでくれたとわかった。それは瞬熄以外誰も知らなかった。

「・・・瞬熄も見つかったし、そろそろ帰るか。」

みんなは頷き、数斗はぬりかべをからすなに預けて帰ることにした。

 途中までみんなと帰ったが、 T字路で右には冬華、小十郎、まりのが。左には数斗、瞬熄、ひかりがそれぞれ別の道に分かれた。

 右の道の会話。

「みんなで海に来れて、今日はよかった!」

「でも、もう体力使い果たした気がする・・・」

「こーくん体力無いな~わたしはまだ遊び足りないよ!」

「同じく。なんだか初めてこんなにはしゃいだ気がする・・・また行きましょ。」

「うん!またみんなで!」

「ああ。近いうちに。いつか。」

 歩いていくと、冬華が足を止めた。

「それじゃあここで。」

「夏休み中、また出かけようね~!」

「風邪ひかないように。」

「2人ともありがとう。」

冬華とも別れ、まりのと小十郎は2人きりになった。

「いこっか。」

「うん。」

 左の道の会話。

「ひかりはこっちだったのか。」

「うん。瞬熄くんも同じ方向だったんだね。」

「まあな。」

「あと・・・数斗さんもこっちなんですね。」

「えっ・・・あっ・・・ああ。まあ・・・(やべえ、こいつが隣の家だってこと、本人は知らねんだっけ・・・)」

「じゃあ俺の家この近くだから。数斗さん、ひかりを送ってやってくださいね!」

「ほっとけ!!」

「また今度な!ひかり!」

「うん!ありがとね!瞬熄くん。」

明るく瞬熄は手を振って行ってしまったが、数斗は冷や汗が止まらなかった。

 一方、右の道の会話では。

「こーくんは夏休み、どこか予定あるの?」

まりのが小十郎に尋ねた。

「いつものように、神社の手入れとか掃除をするよ。まりのは?」

「家で勉強したり、友達と出かけたりするかも。まあわたしの場合、遊ぶ約束が多くて忙しいかな。」

「ねえ、俺も誘って。」

「えっ?」

「俺も、まりのと出かけたい。神社の仕事があるけど、まりのが誘ってくれたら、その日は、俺も遊ぶ約束で忙しい日にしたいし。」

小十郎は照れ笑いをした。その顔を見て、まりのは笑って返事をした。

「いいよ!一緒に出かけよう!こーくん!いつにする??」

まりのはわくわく気分で、その場で予定を考えた。

 左の道を歩く2人。ひかりが口を開いた。

「数斗さん、お礼を言わせてください。」

「ん?」

「今日は、心から感謝しています!昨日まで、なんかぎこちないって言うか、数斗さんと話すことが無かったので、初めていい人だなって思いました!」

「・・・」

「また、誘ってください!」

「・・・おっおう・・・」

目が輝きながら、ひかりは数斗に喜びの笑顔を見せたが、数斗は気まずくてしょうがなかった。

 そしてついに、ひかりの家の前まで送ってしまった。

「わたしの家、ここなので。」

「ああ。知ってる・・・っ・・・」

「えっ?“知ってる”・・・???」

つい口が滑ってしまった。

「数斗さんって・・・ストーカーですか!??」

「ちげーよ!!」

「はっ、思えば、初めて会ったとき、わたしの定期を渡しに・・・」

「あれは、ただ隣に引っ越してきたときお前ととすれ違って、その時落として行ったのを拾っただけだ。それに、家を知ってたのは、お前が家から出て来るところを見たからだ。」

「そうだったんですね。知りませんでした。数斗さんがお隣さんだったなんて。知っていたのなら教えてくれてもよかったのに。」

口をどんどん滑らせてしまい、結果ひかりに自分の居場所を、教えてしまった。

「言うときが無かったんだよ。話せなかったし。」

目を合わせず、数斗はひかりにそういうと、ひかりはまた笑ってこう言った。

「これからは、いっぱい話してください!わたしも何かあったら相談しますね!」

そういうと、ひかりは家の中に入っていった。

「またね」とか「さよなら」とか言わなかった。勝手な考えだけど、ひかりはたぶん数斗にいつでも会えることが分かったから、別れの言葉を言わなかったんじゃないかと感じた。

しかし、そんなに深くは考えずに数斗は自分の家の鍵を開ける。



あれから2週間後。朝はいつもと変わらなかった。

すると、いきなり窓ガラスが割れ、大きな黒い箱が部屋の中に入ってきた。音に気付いた数斗たちはすぐに飛び起き、黒い箱から離れた。

すると、中から白銀の長髪で黒いタキシードを着た男が顔を出した。

「・・・誰だ。」

「これはこれは、初めまして。数斗くん。」

「っ・・・俺のこと、知ってんのか?」

「ええ。そんなに警戒しないでください。私は君の味方です。」

数斗はただ、相手の顔を見て本心を探ろうとした。それとは反対にぬりかべは前に出た。

「なんだ!お前ら!!一体何の用だ!!」

「うるさいにゃ~いぬっころ~ドラキュラ様が話しているのよ~ん。邪魔しないでほしいのにゃ。」

「そうそう。君は黙っててよ。」

「なんだと~~~」

タキシードの男の他に、浴衣姿で頭には猫の耳が生えており、顔以外は猫の姿をしている女と、頭には皿がくっついており、全身緑色で、手には水掻きが付いている男が現れたのだ。

「やめろぬりかべ。で、“俺の味方”の要件は?」

こんな状況になっても平常心で訪ねる数斗に、相手は丁寧な口調で話した。

「自己紹介が遅れましたね。私はドラキュラ。こちらは助手のネコ娘くんと河童くんだ。以後よろしっぐっ・・・あああっぐぐうっ・・・」

ドラキュラはいきなり苦しみだし、呼吸困難の状態になった。数斗とぬりかべは驚きと警戒で構えていた。

「あああ~~~~!!!ドラキュラ様~~~~!!!!河童!何してるの!!棺桶を早く開けて!!」

「はっはい。」

大きな棺桶の蓋を開けて、ドラキュラの身体を倒す。するとドラキュラは静かに眠りについた。

「もう!あなたたち!要件は手短にしてよね!ドラキュラ様は、昼間は1時間も居れないのよ!!?」

「いや、お前らが始まりだろーが!!」

「黙れ!いぬっころ!!それから、数斗!ドラキュラ様は、あなたを必要としている。力を、貸してほしいの・・・てことで、今回はさよならみゃ~」

ネコ娘は外にでた。河童はドラキュラが入っている棺桶の蓋を閉め、肩に掛けて外に出た。

「結局、何しに来たんだ?あいつらは。」

「・・・ドラキュラ・・・なんか、嫌な予感がする。」

数斗はそうつぶやいた。



外を飛び走るネコ娘と河童は、こんな会話をした。

「河童。そういえばトロールは?」

「ああーなんか、誰かに会えるとか呟いて、どっかに行っちゃったよ。」

「もうー相変わらず何考えてるのかわかんないにゃ~~~」

「まあまあ。トロールくんのことはいいじゃないですか。」

「えっ!?ドラキュラ様!?出てきて大丈夫なのですか??」

「ええ。それより数斗くん。彼にはやはり、我々“異邦連盟”に入るべき人材ですね。」

空ではそんな会話が聞こえていた。



 とある道の真ん中に佇む少年がいた。

「・・・感じる・・・あの子のオーラ・・・。」


始まりますよー異邦連盟編といいますか。最初は異国軍団っていう名前だったんですけど、ダサいかなーなんて・・・どっちもいまいちですよね。ネーミングがひどい。


メインはドラキュラ。詳しい設定は、黒色のハットにタキシードを着て、髪の毛は白髪で長髪。細かく言うなら、八重歯があって目尻の下には血の跡。という設定。


メンバーは猫娘と河童。

私、犬派なので猫のキャラを書くのは嫌々やってますw

でも定番の妖怪はなんだろうって思ったとき、猫娘が浮かんだんですよね・・・だからこの二人をメンバーに加えました。


そしてもう一人のメンバー。トロール。こういうキャラ大好きなんですよね~

ぼーっとしてるかんじがほんわか和むので、セリフとか少ないですが自分が創造しているキャラを書くのはすごい楽しいです。良いキャラに仕立てまくったら、他のキャラの立ち位置が無くなるので、意識しすぎないようにはします。

トロールはパーカーを着ていて、フードを被ってます。ついでに言うとヘッドホンもしてますw

どんな曲を聞いているのかは、アテレコでお願いします。

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