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僕の平凡な日常 なんちゃって。  作者: 絹川クーヘン
30/58

第30話 風神と雷神


 疲れ切った身体を、大きく寝返りを打とうと意識すると、身体が動かなかった。

「(なっなんだ・・・?金縛り?)」

朝、目を覚ますと数斗は身動きが取れない縛りに駆られていた。胸元を見てみると黄色く輝く小さな物体が乗っかっていた。

足元ではぬりかべが気持ちよく眠っており、声を出そうにも出せない。

「(どうすれば・・・)」

すると、枕の隣にスマホがあることに気づき、力を振り絞ってスマホを床に落とした。バコッと重い音が響くと、ぬりかべが目を覚ました。

「ん?数斗・・・落としたぞ・・・ってどうした??あっ、これが原因か。ハッ!」

ぬりかべの尻尾が黄色い物体を弾き飛ばすと、壁にペタッと衝撃を受けた。やっと数斗は金縛りから解放された。しかし、身体はまだ少し痺れがあった。

「はあっはあっ、助かった~それよりも、なんなんだ?こいつ。」

よくみると、尻尾が2本。後ろ足が4本ある奇妙な生き物だった。

ぬりかべにも正体が分からなかったので数斗はぬりかべの頭に生き物を乗せて、数斗は福美のところへ向かった。どうしてだかぬりかべには金縛りが起きなかったからだ。

「女将さんに言えば、わかるのか?」

「さあな。ドラキュラのことも知ってたし。それに、しばらく飲んでなかったかなら。」

「朝から酒かよ。じじいだな。」

「じじいだよ。」

「キ?キーキー!」

突然生き物が泣き出した。何かを必死で訴えかけているように見える。

「ぬりかべ、翻訳できるか?」

「・・・だめだ。こいつの言葉はまるで“電子音”。鳴き声が言葉になってないんだ。」

「電子音?それってもしかして、こいつ“雷獣”なんじゃないか?」

「そういや。数斗の机の上に置いた石がなかった気がする・・・」

「だとしたら・・・なんでこんな姿に?」

「もしかして!これって雷獣の“霊”か“魂”なんじゃないか!!??」

「キーキー!!」

雷獣はどうやら「違う」と言っているようだ。

「冗談だよ。本気にするな。」

「キ~~!!」

怒っている様子の雷獣。言葉がわからない分表情で会話をするのがだんだん楽しくなってきた数斗とぬりかべ。



 福美の店に足を運んだ。

「まあ!!かわいいわねえ~~~」

ぬりかべを連れてきた時を思い出す。福美の物好きは相変わらずだった。雷獣は思わず身体を震わせていた。

「これで少しは、おとなしくなるだろう。きーきーうるさかったからな。」

「ママ~なんの騒ぎ?あ、数斗さん。」

「よう。まりの。」

「ってえ!朝から飲みにくるなんて!」

雷獣がおとなしくなっても、他に口うるさい人がいたと深いため息をついた。

「あら、どうしたのかしら。元気がないみたい。」

福美の勢いに疲れてしまったのかと思ったのだが、息が荒かった。

「しっかりしろ!雷獣!」

「ひょっとしたら・・・電気が必要なのかもしれないわ。」

「そうか。雷獣は雷を操る妖怪だもんな。」

「電気・・・でも節約してるのに電気を使うっていうのは・・・」

「大丈夫よ。」

福美さんが能天気に手を合わせた。

「雷獣が妖怪の世界にいるときは、電気なんてある場所はないはずよ。だから誰かの手を借りて電気を蓄えていたってことになるわ。その力を貸してくれたのが、きっと“雷神様”に違いないわ。」

「キー!キ~~~・・・」

雷獣も、自分でわかっているらしく“雷神”という言葉に反応した。福美の腕から逃げるとぬりかべの頭に乗っかった。

「うわっうわああ!!!」

すると、耳を引っ張って無理やりぬりかべの動きを操った。そして勢いよく外に飛び出していった。

「おい!」

数斗は後を追いかけた。

「わたしも。」

まりのも後を追いかけた。

「久々に来たと思ったのに・・・また早いおかえりだこと。」

福美は少し寂しそうにした。

 ぬりかべは動きを止められ、雷獣は天に向かって突然鳴き出した。

「この上に、雷神が・・・」

「キー!」

「待って~~~!!!わたしも行きます!」

まりのが息を切らしてやってきた。

「だめだ。」

「なんでですか!」

「雷神ってのは、天候を司る神だといわれている。そいつが厄介な奴だとしたら、お前を守れないんだぞ。」

「なっ!そんな・・・いやいやそうじゃなくって!わたしだって烏組の一員です!自分の身は、自分で守ります!」

まりのの熱い気持ちに、数斗は受け止めたのか、ぬりかべと雷獣を渡した。

「ぬりかべと雷獣を、任せた。」

「はい!」

数斗は烏天狗に、まりのは座敷童子に変化した。烏天狗はみんなを抱えて上空へと飛び立った。

 雲の上に到達すると、5mもあるだろうか。大きな巨体の生き物が寝転がっていた。

「・・・んー?なんだー??」

「・・・あんたが雷神か?」

「いかにも。わしは雷神だ。お主たち。わしを見つけられるとは大した物じゃな。」

「ちっ違うの!わたしたち、雷獣が鳴く場所に連れてきただけで。」

「雷獣?・・・んーーーーー・・・」

雷神はどこに雷獣がいるのか探してみた。そしてやっとみつけたのは、ぬりかべの頭の上にいた。

「ああーーーーいつぞやの雷男か。よかろう。少し待っとれ。」

雷神は分厚い本を取り出し、メガネをかけて読み込んだ。

「ボルカナーウガーナ。」

呪文を唱えると、雷獣に稲妻が撃ち落された。大きな電撃は、雷獣の力となり。そして見慣れた元の姿に戻った。

「はあ。やっと元に戻れたぜ。」

「やった!よかったな!!」

「ほう。雷男、貴様を心配する仲間ができたとはな。過去にもあったが・・・」

「雷オヤジ。口が過ぎるぞ。」

雷神が何かを言いかけたが、雷獣はそれを遮った。



 その頃。小十郎の神社では、瞬熄が来ており、手伝いをしてもらっていた。

「千羽鶴ってさ、何に使うんだ?」

「今年からこの神社でイベントを開こうと思ってさ。」

「えっ?マジか??」

「これでも大マジ。ずっとこの神社を見守ってきたけど、やっぱり商売するっていうのも俺の仕事だからさ。お客さんを増やしたくて。」

「それで縁起がいい千羽鶴を折ってるってわけか。学校でも作ってるから気になってたんだけど、そういう意味だったんだな~」

「もちろん、準備ができたら、みんなも招待するから。その時まで、内緒にしてくれないか。」

「ああ!口が裂けても言わないぜ!」

「・・・口が裂けないよう、俺も注意しなくちゃな。(瞬熄って、うっかり話すからなー)」

 ふと、外の風が急に強く吹き荒れた。

「主!外の様子が不安定だ。」

「ああ。俺も気づいている。」

「小十郎、誰と話してるんだ??」

小十郎には弊六のことが見えているが、瞬熄には見えていなかったのだ。

「“弊六”だよ。」

「へっ弊六??・・・鏡でも置いてるのか??」

意味が理解できない瞬熄は、小十郎が鏡でも見て自分自身と会話しているのではないかと頭の中で混乱していた。

 外には突風が起きており、立っているのもやっとだった。

「くそ!!なんなんだよこの天気!!!今日は絶好日和っつってたのに!!」

「これは・・・もしかして・・・うわっ!」

2人は風に飲み込まれて、宙に浮かんだ。



 雲の上まで飛ばされてしまった。そこには冬華とヤイバがいた。

「冬華!!?それにとびつき。なんでここに??」

「お前らも飛ばされてきたんだろ。風に。俺らも飛ばされてきたってわけだ。」

「それから、ちょうど妖怪と居合わせちゃって、ここから動くことができないの。」

冬華とヤイバには、身動きが取れないように囲いの紋章がついていた。

小十郎は紋章を見ると、妖怪の正体がわかった。

「この紋章は・・・間違いない。“風神”だ。」

「びゃっくしょい~~~~~~!!!!!!」

大きなくしゃみが聞こえると、大きな突風が起こった。

「今のは・・・?」

「誰じゃ!!医者はお呼びでないんじゃぞ!さっさとかっ・・・かっ・・・かっくしょい~~~~~~~」

現れたのは、5mもありそうなぐらい大きな巨体とひげを生やした妖怪だった。

「俺たちは医者じゃねえよ!!それよりてめえ、風邪ひいてるんじゃないのか・・・?」

「違うわい!!!!!わしは有名じゃからの。噂が絶えないんじゃ。」

「「何芸能人面してるんだよ!!!」」

瞬熄とヤイバはツッコミを入れた。反対に、冬華とヤイバに掛けられていた紋章を何とか解放させた小十郎は、風神に尋ねた。

「風神さん、俺のことはご存知ですか?」

「ん・・・はっ!はっくしょい~~~~~!!!!!!ああーよく見たらあやつか。弊六か。」

「はい。」

「風神様、わたしたちをここに連れてきた意味はあるのですか?」

「ん?そうじゃの。“おなご”に会うためかの~~う」

「このスケベ野郎が!!!!」

 風神の個性的な発言に、いろいろと頭を悩ませる瞬熄たちであった。



 烏天狗たちは、たわいもない話をしていた。

「そういや、風神はどこいったんだ?」

「フン!あのくそ爺さんなんか、ぽっくり云ってしまえばいいんじゃ!!」

さっきののんびりした口調が嘘のように、いきなり暴言を吐いた。

「あーまたか・・・。」

「ねえ雷獣、話の途中で悪いんだけど、色々話に付いていけないから、手短に教えてもらえる??それから、ずっと気になってるんだけど、大志くんが呼んでいた“ディング”って、もしかして、名前なの?」

座敷童子が色々訪ねてみる。烏天狗も、ちょっと聞きたいことが山ほどあったので、ナイスな質問を仕掛けたなと思っていた。

「そういえば言ってなかったか。俺の名はディングだ。まあほとんど妖怪の名で呼ばれることが多いからな。」

「へえー」

「んで、あいつは今どこに?」

「知らんわ。」

深いため息をついて、ディングは言った。

「散歩に行くぞ。」

雲を操り、烏天狗たちも乗せてその場を移動した。その間、烏天狗たちは元の姿に戻って、一緒に散歩をすることにした。



 その頃、瞬熄たちは。

「ハックショイ~~~~!!!!!!んーーー。」

くしゃみをするたびに、風神の口から突風が起こった。

「冬華~もうほっとこうぜ!!!そんなやつ!!!」

「でも、風邪ひいてるのに放ってはおけないわ。」

「いや~~~優しいのう~~~」

風神は冬華のお尻に大きな手を伸ばした。

「きゃあっ!???」

「冬華!?」

顔が真っ赤になっている冬華に、にやけ顔の風神。この2人の表情で、いつも鈍いはずの瞬熄が異変に気付いた。

「て~~~~~~~~~~ん~~~~~~~~~~~めえ~~~~~~~~~!!!!!切り裂いてやんよ!!!!!!」

ぬらりひょんになり、剣を抜いた。

「どうどう!!!ぬらりひょん。」

「剣を収めろよ!!!」

小十郎とヤイバはぬらりひょんを抑え込んだ。



そのころ散歩をしているまりのは、一緒に行動しているということで、疑問を尋ねた。

「さっき言ってた"風神"って、雷神と何か関係があるの?」

「詳しいことは会ってから話す。だけど、そいつはこいつと兄弟で、磁石みたいにくっついていないと保てない存在って訳だ。」

「兄弟なんだ。それでいったら雷神と雷獣も兄弟みたいに見えるけどね。」

「はあ?俺がこのオヤジと兄弟だと。ぜってー御免だな。」

まりのとの会話で、関係がわかってきた数斗。雷獣が風神雷神の兄弟にお世話になっているということを本当は感謝しているのだと思った。

 ディングがやっと風神をみつけた。

「お~い。風神~~(身体がでかいから見つけやすかったぜ。)ん?あいつら・・・」

風神と一緒にいるメンバーが、数斗の仲間だと気づいた。

「ぬらりひょん、とびつき、こーくん!それに冬華!?」

「あいつらも雲の上に来てたのか。」

その時、風神のくしゃみが響き今まで眠っていた雷神が目を覚ました。

「ん~~~~??ぬっ!風神!!!貴様!なぜここに!!」

「たわけ!貴様がわしの陣地に入ってきたんじゃろうが!!!」

「たわけなのは貴様じゃ!!陣地じゃと?大体この大空はな、わしの敷地内なんじゃ!貴様の陣地なんてもんはありゃあせんのじゃ!!」

「その態度、こけにしてやるわ!!はあ!!!」

風神は竜巻を作り、力強く放った。

「やりおったな~~~!!!ピヤ~~!!!」

雷神も負けじと、雷雲を浮かばせて雷を起こした。

自分たち以外にも人がいることはもう忘れかけてしまったのか、2人の神様は激しい喧嘩を始めた。

烏組の全員は、ただ攻撃を避け続けた。

「・・・じじい同士の兄弟喧嘩って・・・派手だな・・・」

「そんなのんきなこと言ってる場合かよ!!!」

数斗の落ち着きに、ぬりかべは焦りを伝えた。

「冬華、大丈夫か?」

「ええ。ありがとう瞬熄。」

冬華を抱きしめて、怪我をさせないよう瞬熄が守っていたのだが、何かを思いつき瞬熄は冬華から離れた。

 瞬熄は数斗がいる雲に飛び移ろうとした。しかし、風神の竜巻で、元いた雲に跳ね返されてしまった。

雲から少し頭が飛び出ると、雲の下の光景がみえた。様子は穏やかではなかった。

来る前の天気は良好で、雨雲が一つもない晴天だった。ところが今は、乗っている雲は黒く染まり、雨雲となっていた。そこに雷鳴と強い突風が沸き起こっており、嵐になっていた。

「(これって・・・こいつらの影響・・・なのか。)雷獣!!」

遠くで寝そべっているディングに、瞬熄は叫びながら尋ねた。それにディングは振り向いた。

「もしかしてこいつら、“天候を操れる”のか?だからこいつらが喧嘩している今、俺たちのほかに影響が及ぶのは、地上に住む人々も加わっちまうのか??」

ディングは迷いもなくコクンと頷いた。

「数斗さん!!!大変だ!このままだと地上にいるみんなに、被害が及んじゃいますよ!止めないと!!」

数斗も雲の下を覗いてみた。酷い天気の荒れた様子で少し戸惑った。

「・・・お前ら全員!行くぞ!」

数斗の声を聴いて、みんなが妖怪へと姿を変えた。

雪女と烏天狗はそれぞれの攻撃が外に影響を及ぼさないように、食い止めていた。

「おい!風神!!喧嘩はよせって!!」

「雷神!!頭冷やせよ!!」

「「やかましい!!!!!!!」」

ぬらりひょんと狼男は、自慢の声量で神たちの説得に取り組んでいた。

 地上に住む、ひかりは嵐が見える窓からあるものを眺めていた。

「この天気だと、心配だな・・・」



 雪女は攻撃を防いでいると、ある作戦を思いついた。烏天狗にもそれを伝えるとみんなに呼びかけた。

「今だ!」

烏天狗の合図とともに、弊六がお札をかざして炎をだした。

「トラ!弊六を援護して!」

式神トラは、炎を吹き、弊六のお札の炎の威力を上げた。そこへ、雪女の吹雪が炎を包み込んだ。

烏天狗は風で氷の球体を持ち上げた。

「おおおおーーーーーーーーーーーーりゃああ!!」

自慢の怪力で、狼男はぬらりひょんを球体の近くまで飛ばした。

球体が風神と雷神の真上に到達したとき、ぬらりひょんの鞘から刃を抜いた。

「はあああ!!!!!!!!!!!」

「包囲!!!」

ぬらりひょんが瞬時に移動すると、弊六は結界を張って、衝撃を兄弟だけに絞った。

 「・・・」

「・・・」

完全に停止した兄弟喧嘩。

「・・・馬鹿な。死に際になるまで喧嘩が続くこいつらを、止めただと・・・?」

 天気も回復し、雲の上も穏やかになった。

「ったく、やっと落ち着いたかよ・・・」

「どうしようもないな・・・こいつら。」

「世話が焼ける・・・」

「もう、いいかげんにしてって感じ・・・」

「同じく・・・」

「けど、死に急がなくなって、よかったかもな・・・」

巨体の彼らに対抗するために、わざを強力に出したおかげで、みんなは横になって立ち上がることができなかった。

すると全員の口元に小さな稲妻が木の実を抱えていた。

「口を開けろ。」

みんなは口を開けて飲み込むと、少し身体が安らいだ。

「お前らに食わせたのは甘みが強い木の実だ。別にお前らの心配はしてないが、礼をいうぜ。兄たちの喧嘩を収めてくれて・・・恩に着るぜ。馬鹿組ども。」

 やっとみんなが動けるように回復したのは日も暮れたころだった。

「すまなかったな。わっぱたち。」

「わしら顔を合わせるとこうなんじゃよ。まあ気にすんな。」

「「気にするわ!!!巻き込みやがって!!!!」」

元に戻った瞬熄とヤイバは、思い切り気持ちをぶちまけた。

「まあいいじゃないか。風神、貴方も風邪が治って何よりだよ。」

「それは違うぜ弊六。風神と雷神は、2人で1つの役割を持っているようなもんだ。だから、喧嘩しようがとにかく一定の距離が離れると、風神は・・・体調を崩すんだ。空調が狂うからな。」

「そういう関係で成り立っていたのか。」

「あ!見て!」

まりのが言った場所を見てみると花畑ができており、また木々も失われていたところがよみがえっていたのだ。

「雨が大量に降ったせいなの?」

「いいや。これは神たちのおかげだよ。風神と雷神は“豊作の守り神”と呼ばれるくらいに畑や食物の味方をしているんだ。」

冬華の疑問に、ぬりかべが数斗の上に登ってどや顔で答えた。それを聞いた瞬熄はつぶやいた。

「豊作・・・?って雷獣!お前にあいつらは“天候の神か!”って聞いたのに!違ったのか!??」

「そんなこと言ったか?」

「頷いただろ!!」

「さて、もうそろそろ次の町へ行くぞ。」

「ああ。お前はどうする?」

「あ?」

雷神は、当たり前に訪ねてきたので、ディングは驚いた。

流れ的に、ともに行くのかと思っていた。

「わしらの目的は、その街の豊作を促進させることじゃが、この街にはしばらく来られなくなるのじゃぞ?」

「お主がいないのは気が引けるが、可愛いおなごもいるのに、よいのか?」

風神の一言には、烏組のみんなはあきれた表情を浮かべた。

「・・・そうだな。俺がここ居た方がいいのかもしれねえ。けど、こいつらの決めたことだ。俺の手助けなんざ必要ねえだろ。俺には、こいつらより、見守らなきゃならねえやつがいるからな。」

「・・・それは、あの娘か?」

雷神はディングの過去を知っていたのだ。不知火のことを聞かれたが、ディングは

「ちげーよ。あいつより今は・・・ゴホッなんでもねえよ。ほら行くぜ。」

神様たちとディングは、雲に乗って街へと旅立っていく。その時、数斗の肩に乗っているぬりかべが声を張った。

「そうだ!!雷獣!!大志、家族と一緒に住むことになったんだって!!もう心配しなくていいかな!!!」

その言葉に、もうディングの表情は見えない。だけど手を上げてさよならを伝えた様子から、ぬりかべの声が届いたんだと確信した。



 見送ると、数斗がぬりかべに言う。

「届いたんじゃねえか?」

「そうかもな。」

「よし。みんな帰るぞーー。」

烏組のみんなは、笑顔でその場を後にした。



 翌朝。ひかりが外に出て、庭を見てみると

「・・・あっ!ミニトマトが実ってる!収穫は、あと少しかな~」

神様のおかげで、豊作が実ったようだ。


雷獣編終了です。

個人的にディングのキャラが好きですねー。ちなみに不知火とは先輩&後輩ってかんじのポジションで書きました。

それから、勝手なのですが、投稿してる内容は全て、数斗の年齢を31→32に変更しました。自分の中の初期で32だったので、修正します。けど童顔と言うところは変わりません。w

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