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僕の平凡な日常 なんちゃって。  作者: 絹川クーヘン
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第14話 妖怪の遠吠え


 ある夜。静まり返った森の中で、探検家が歩いていた。すると、狼の遠吠えが聞こえた。

「早く、野宿できる場所を探さねえと。」

「ああ。俺もう疲れた・・・」

「・・・ん?なんだ?」

足元には暗くてわからないが、液体が地面に広がっていた。

「原因を突き止めてみよう。もしかしたら水が近くにあるのかもしれない。」

「懐中電灯出しますね。」

1人の男が懐中電灯を取り出し、照らしてみると、それは透明ではなく黒い液体だった。

「おい・・・これってまさか・・・」

「血だな。」

「えええっ!!戻りましょうよ!!危ないですって!!」

「大丈夫だ。銃持ってんだから。行くぞ。」

「えっまっ待ってください!!」

男は怖くて、動けなかった。その時、前を歩いていた男が倒れた。

「・・・隊長?隊長!!・・・っ・・・」

男は懐中電灯を、男の近くにいる人影に照らした。

そこには人間ではない生き物がおり、男に近づく

「うっうわああああああああああああ!!!!!!!!!」

 そしてまた、狼の遠吠えが鳴り響く ━━━━━


   

 ジリリ・・・・・カタッ

目覚ましが鳴り、ゆっくりと体を起こす数斗。

「んー・・・おい?遅刻じゃねえか!!!」

「ん?何事だ?」

「時間過ぎてんだよ!!起きろ!!」

寝坊してしまった数斗。そう、今日から新聞配達のアルバイトが始まるのだ。

「なんでオイラまで~~」

なぜかぬりかべも道連れにされて新聞配達を手伝わされた。 お陰で6時半前にはほとんどの配達を終えることができた。

「あと一か所だな。」

最後の場所はかなり年期がいったボロアパート。

「・・・なんだよ間違えてんじゃねーのか??アパートだっていうのに1人分!??」

「一部屋しか頼んでないってことか?」

疑問に思いつつ、目の前にやって来るとアパートの前に人がいた。どうやら言い合いのようだ。

「困るんだよ・・・」

「うるせえな。ここを出ていくつもりはねえっつってんだろうが!!じじい!」

「ここの大家じゃよ!!とにかく今月中に出てってもらうよ?」

「誰が出ていくかよ!!」

早朝にも関わらず、二人は声を張り上げていた。それに住人らしき人物はリーゼントにサングラスを身につけて、白く長い衣装を身に纏っているヤンキー男だった。

それを見て、数斗は気付いた。

「ああー。このアパート、あの住人しかいないんだな。だから取り壊そうとしてるのに、あいつが出ていかないせいで壊せないっていうことか。はあー大人気ねーなあー」

「棒読みでつっこむのか。」

「よし。ぬりかべ、最後の新聞。やってきてくれ。」

「はあ??なんだよ。数斗が行けよ!!」

「いいって。」

「オイラもいいって。」

「遠慮すんなよ。」

「そっちこそ。」

「素直に新聞渡しに行けよ。」

「元はと言えば数斗の仕事だろ!」

喧嘩をし始めると、ヤンキー男がこちらに気付いたようで、睨みを利かせて怒鳴ってきた。

「うるせーよ!!てめえ!!」

「はい。すいません。」

相手にはぬりかべの姿が見えないため、今までの喧嘩は一人で子芝居をしているように周りからみられていたのだ。やむを得ず数斗は素直に誤った。

 今日初めての仕事を行ったことで苦労する点ができた。毎朝最後の配達場所であるあの家だけは、緊張しつつ配達をしなければならなくなったのだ。

 放課後。学校を終えた瞬熄が家にやってきた。

「お邪魔します!」

「瞬熄か。なんだ?」

「母さんがプリン買ってきてくれて。一緒にどうです?」

家にあがり、プリンを頬張った。

「あ~おいしい~~」

「ああ。」

思ったより普通の反応の数斗。すると、急に険しい表情で瞬熄にヤンキー男についての愚痴をぶちまけた。

「アハハハッ!!大人気ないな~~その男。しかも今時ヤンキーなんて。」

「でも毎朝あいつの家に行くのは大儀だ。」

「頑張ってください。いつでも愚痴聞きますよ!」

「うるせーよ。ハハッ」

賑やかな夜を過ごしている数斗たちとは裏腹に、遠くの山で、今日も遠吠えが聞こえていた。

 翌朝。また寝坊をしてしまった。

「急げーーー!!!」

「目覚ましかけてたのか??」

「お前が消したんだろ!!今日は見たぞ!」

「だったらその時起きればよかっただろ!!」

ぬりかべとまたも喧嘩をし始める。ところが、最後の配達場所に着くとピタリと止んだ。

「・・・」

怒鳴り付けられると思い、そっとポストに投函したが、出てこなかった。 その次の日もそのまた次の日も。5日間は起きてくることなく配達を終わらせることが出来た。


寝坊もしなくなってきて、アルバイトにも慣れてきたころ。数斗は一人で新聞配達をしていた。

「(あとはここだけっと。)」

最後の家に着き、ポストに投函しようとしたとき。

「あああああああああああああ!!!!!」

うめき声が聞こえた。

「こっこわー・・・」

呆然としていると、突然部屋のドアが開くとヤンキー男が出てきた。

「あいでででで・・・あ?誰だてめえ。」

「げっなんで出てくるんだ???」

数斗はボソッと呟いた。

「おい!誰だって聞いてんだよ。」

「あっ俺は・・・」

ヤンキー男は数斗の手元を見て、新聞配達者だとわかった。

「あんた新聞配達の人か?」

「そっそうだ。」

「そうか。いでで・・・」

男が顎を抑えて痛そうにしていた。

何も触れず、数斗は帰ろうとした。ところがヤンキー男は数斗の肩を掴んで引きとめた。

「おい。これ、何とかしろよ。」

右の頬を前に付だしてそういった。

「は・・・?」

「歯がいてんだよ!!!」

「歯医者に行けよ!!!!!」

歯医者に連れていくと、軽い虫歯だったのですぐに治療を終えた。

「あ~~口がスッキリしたぜ~」

「初めから行けっての。てか、なんで俺が代金を・・・」

「若いのに世話駆けちまったな。坊主。」

「・・・俺を学生だと思ってんのか?」

「ああ。高校生だろ?受験頑張れよ~??」

「・・・お前は何歳なんだよ。」

「29だ。おっさんだぜ。アハハハッ!」

「俺は32だ!お前よりおっさんだよ!!」

「・・・ウソだろ?」

「殴るぞ。」

「マジか??びっくりだな~年上なんてな。ああ。俺はヤイバ。富月ヤイバっていうんだ。お前は?」

「間数斗。」

「数斗か。よろしくな!」

流れが変わり、いつの間にか友好関係を築いてしまった。

 家に帰ると、ぬりかべがテレビを見ていた。

「そこだーー!!いけいけ!!」

「また見てるのか。」

「今いいとこなんだよ!!」

からすなも共に見ていた。

「結構面白いな。ショウリンジャー。」

「お前もハマったのか・・・ニュースが見たいんだけど。」

「後にしろ!!」

アニメを見終わってからでもニュースは見れると、数斗はテレビを2匹に譲った。

 15分後。アニメが終わった。

「いいぜ~チャンネル変えても~」

リモコンを軽く放り投げた。

「豹変しすぎだろ・・・。ったく。」

チャンネルを変えてニュースを見ると、ヤイバが現れた。

「えっ・・・あいつ・・・」

「あの男!なんでテレビに??」

「・・・っ!」

数斗はニュースの話題を見て驚いた。

“連続殺人鬼の犯人 富月ヤイバ容疑者 逮捕”

「・・・どういうことだ?」

テレビでは、ヤイバがインタビューを受けていた。

「殺害者は鋭い刃物、3本の切り裂いた跡があるとされていますが、どうやって殺したのですか?」

「凶器は?」

「なぜ森の中で??」

様々な質問攻めを受けても、ヤイバは口を開かなかった。

「くっ・・・お前ら。今夜。森に行くぞ。」

数斗は唇を噛みしめた。

 そして夜。数斗は烏天狗となって空を飛んでいた。肩にはぬりかべがくっついていた。その横にはからすなも。

「烏天狗、やっぱり帰ろうぜ?」

「だめだ。絶対証拠をつかむ。」

「あいつが犯人じゃないっていうのか?」

「ああ。」

「奇遇だな。私も調べたいことがある。」

「からすなも??」

「ああ。見たところ、あの男は頭に血が上りやすいタイプにみえる。それなのに、なぜその場で殺さず、森の中で殺しているのかが疑問なんだ。」

「確かにな。俺も。あいつがこんなことするやつだとは思えない。」

昼間、ヤイバと出会い、強面だけれど話をしてみると意外と面白い奴なのだと気持ちが変化した。だからヤイバが人を襲って命を奪う悪人ではないと証明したいと数斗は思ったのだ。

 数斗たちは人が襲われたという現場の森に入った。すると辺りは異様な匂いが漂っていた。

「鉄の匂い・・・血だな。」

「じゃあこの近くに?」

「警察のすることは遺体の解剖。既に警察に・・・」

「いいや。あった。」

2人の遺体が転がっているのを数斗は見つけた。確認してみると、お腹に大きな切り傷があった。しかし、それは刃物を3つ繋げたぐらいの大きさではなく、その倍も大きなもので切り裂かれた傷だとわかった。

「確かに。これじゃあ凶器が何だったのか気になる。」

烏天狗は考え込んだ。

周りに気を配れない状態でいると、僅かな足音に気付かず背後から攻撃されてしまった。

「ぐはっっ・・・いっ・・・て・・・」

「烏天狗!!しっかりしろ!!」

背中を切り裂かれた感覚。まさかと思い振り向くと、満月の逆光で見えなかったが大きな人影がいた。人ではない。耳が縦に伸びている。

「ガルルルルル・・・ワオーーーーーーーーーーーーーーー」

「まさかっ・・・お前ら逃げろ!!」

「ガルル!!」

相手は烏天狗に襲い掛かかり、左腕が鋭くて太い爪で切り裂かれた。瞬時に身を引いたお陰で深い傷跡だけで済んだが、あのまま受け止めていれば左腕を切り落とされていたことだろう。

「大丈夫か!!?」

「さあな。腕がくっついてるだけましだよ。それより、あれは妖怪なのか?」

「狼みたいな見た目だから、きっと狼男だ。凶暴な性格に豹変するが、素は烏天狗のように人間の姿をしているはずだ。だから話せばわかると思うんだけど・・・話しても聞いてくれなさそうだな。」

「なるほどっぐっ!!」

狼男は烏天狗の喉元を片手で掴み、足が地面につかない程度まで持ち上げた。

「烏天狗!この!!」

ぬりかべは大きくなり、狼男の噛みつき、数斗を解放させた。

「ガオオオ!!」

「クウォン!!」

ぬりかべは狼男から烏天狗の気を引こうとしていた。烏天狗の喉は少し食い込んだ爪の跡が付き、切られた箇所からは血が流れおちていた。

狼男はかなりの怪力の持ち主で、自分よりも大きいぬりかべでも鋭い牙を剥き出して、腹部目掛けて腕を振りかざす。

ぬりかべは元の小さな身体に戻り、傷をかすることなく交わしたのだ。

「うおおおおお!!!!!!」

そこへぬらりひょんがやってきて、狼男の腰辺りを狙って素早く蹴りをおみまいさせた。

「間に合ったぜ。」

「ぬらりひょん??なんで。」

「いいから!早く烏天狗を連れていけ!」

ぬりかべはもう一度身体を大きくして烏天狗を背中に担ぎ、身を潜めていたからすなと共にその場から去った。

「ガオオ・・・!」

「おっと。お前の相手は俺だ。ハア!」

ぬらりひょんは剣を振りかざしたが、剣が折れていることを思い出した。

「しまったっ・・・」

 そう、河童との戦いで剣を折られてしまったのだ。

「うはっ!」

狼男の攻撃を食らった。

「くそっ・・・手がだめなら・・・足で!!」

ぬらりひょんは狼男の頭上から垂直に蹴りを入れた。

「ガオオオオ~~~~~!!!」

狼男は苦痛がしたらしく、頭を抱えていたが、こらえながらもすさまじい勢いでぬらりひょんに突進してきた。ぬらりひょんは木に強く打ち付けられ、頭を強く打ってしまった。

「うっ・・・」

意識はもうろうとしてきて、ぬらりひょんは木にもたれかかったまま気を失ってしまった。もう襲ってくる者はいないと分かったのか、狼男は走り去ってしまった。

 すると、様子を見に来たぬらりひょんの僕たちが慌てて近づいた。

「若!!」

「しっかりしてくださいまし!!」

「運ぶぞ!!」

「ああ。」

手下たちが運び出すのを、狼男は密かに物陰から見ていた。

「ガルルル・・・」

そしてまた、遠吠えが響く。


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