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僕の平凡な日常 なんちゃって。  作者: 絹川クーヘン
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第11話 ドラキュラの企み。トロールの叫び

 異邦連盟との戦いは熱を増していた。ぬらりひょんと河童。座敷童子とネコ娘。そして、烏天狗とドラキュラ。


  

 「はあ・・・はあ・・・なんて身体だ・・・」

「君もやるじゃん。だってこの俺の身体にかすり傷を付けたなんて。」

「フン!次は深くつけてあげようか?」

切り裂くと、河童は素手で跳ね返してしまう。

「くそっ!・・・フッ」

ぬらりひょんには、ある企みがあった。ひらめいたのは、ここに来る前のこと。

「んー・・・河童ってなんであんなに強いがたいしてんだ?」

瞬熄はパソコンで調べつくしていると、あることがわかったのだ。

「なになに?“河童には頭の皿が第1の心臓であり、それが乾いてしまったり、割れてしまったら死ぬ”だって。ほお~~あんなやつでも勝ち目があるってことか。」

そのことを知った後で、数斗から電話をもらったのだった。

「(やつに隙が出来た時が、チャンスだ。)」



 トロールは座敷童子を抱えたまま、避け続けていた。

「その子を手放さないと、疲れてきたとき狩っちゃうわよ?どうせ、貴方は自分からは攻撃を出せない。力を与えることでしかできないのだからね。」

「・・・オーラスリー」

灰色のオーラ・煙を作り出し、煙幕を張った。

「少しはやるにゃあ・・・」

ネコ娘から距離を置くと、座敷童子がやっと目を覚ました。

「・・・トロール・・・?」

「目が覚めた?まりの、君に力を与える。」

「えっ??」

「だから戦って。できる?」

「もちろんだよ。でも・・・」

「うああああっっあっっっ・・・」

突然トロールが苦しみだしたかと思うと、ネコ娘が現れた。

「みつけたにゃ!」

鋭い爪でトロールを斬り倒した。

「うぐっ・・・」

「トロール!!」

「あら?座敷童子。気が付いたの?フフッどうやら相手が増えたみたいね。だったらこっちも増やさないと。猫又!」

「はいにゃ!」

「トロールの相手をしてあげなさいにゃ。」

「了解しましたにゃ!」

「あ~それから、これ、渡しておくにゃ。」

「はいにゃ!」

ネコ娘が渡したのは、水晶に入ったトロールの心臓だった。

「・・・それでさっき・・・痛みが・・・」

「じゃあ、あれがトロールの心臓?返しなさい!!」

「嫌だよ~~」

「それに、あなたの相手はわたしなのよ~?」

「・・・っ!!」

 「くっ!っ!・・・っ!!」

「どうしました?先ほどの勢いはどこに行ったんですか??」

「うるせー・・・(なんだ?だんだん視界が・・・揺らんで・・・)」

烏天狗は跪いてしまった。

「ここは闇。不屈の心を持つものには、悪の波動で支配されます。耐えられますかね~」

「そうなる前に・・・終わらせてやるよ・・・っ!」

剣を振りかざすが、力が出ない。しかし、剣を合わせたおかげで分かったのだ。

ドラキュラが持っている杖。それはただの杖に見えたが、ここから闇のオーラが排出されているのに気付いたのだ。

「それか!っ!」

杖をドラキュラの手から弾き飛ばした。すると、ドラキュラは俯いた状態で小声で何か言った。

「・・・“ somu ”・・・ pur si simplu ・・・」

どういう意味なのか理解できないが、杖はというと、勝手に動き出してドラキュラの手に戻った。

すると、むくっと体を起こし、烏天狗に襲い掛かってきた。

「うわっちょっ・・・待てって!!いきなり強くなるとか、ありえねえだろ!!」

「クックック。本気を出したくなりました。覚悟してください?烏天狗。」

「何なんだよ・・・っ?」

すると、真上に十字架とニンニクがあった。

「あれは。」

烏天狗は、上に向かって舞い上がった。

「どっからやってきたのかわからないが、サンキューぬらりひょん!」

それは、瞬熄から奪った袋の中身のもの。トロールがあの時どこかへ送った場所。それがここだったのだ。



 ぬらりひょんはくしゃみをした。

「はーーーっくし!!なんだ?」

「もうずぶ濡れだもんね~?風邪でも引いた?」

「ほざけ!俺は馬鹿なんでな!!風邪はひかねんだよ!!」

「・・・そう。じゃあそろそろ・・・」

河童はこの前と同じく、水の水晶を作り出した。そして、ぬらりひょんを閉じ込めた。

「どうするか?」

「(ヒヒッチャンスだ!)」

「笑ってる?一体何を?」

すると、ぬらりひょんは水中でありながら大きく口を開けた。水晶は徐々に震えだし、次の瞬間破れた。

少しでも球体の形を変形させるために、声を出して水を振動させて編鉄もない球体に亀裂を作ったのだ。ぬらりひょんは球体から解放されると瞬時にその場から動き、見失った。

「すばしっこいな。でも、俺にそんな剣をぶつけても無意味だぞ?」

「違うな。」

いつの間に、ぬらりひょんは河童の背後にいた。

「もう身体は狙わねえよ。その代り、お前の、頭だ!!!!!」

「うわっ!!」

瞬熄は折れた剣の先で河童の頭にある皿を突いた。頭の皿がこなごなになり、河童はその場に倒れた。



 座敷童子は、ネコ娘の対決で、重傷を負った。

「血が止まらないみたいね~?もっと流してあげるにゃ!!」

座敷童子は苦しむ表情でネコ娘を睨み付けた。

「フフッいいわ~その顔。もっと苦しみなさいにゃ!!」

「うわっ・・・」

「まりの!」

「こっちにゃ!!」

「悪いけど、君は消えて。オーラツー。」

白いオーラ・風で猫又を吹き飛ばした。そして、近くの木にぶつけると

「オーラシックス。」

緑のオーラを木にぶつけると、木の枝が動きだし、猫又を縛り、動きを封じた。

そして今度は座敷童子に掌を向けた。

「・・・?」

しかし、一つ大変なことが起こった。

座敷童子の攻撃は鞠。それだけ。

「・・・オーラが・・・使えない・・・」

「だからさっき困ったの!!」

「アハハッ!力を合わせようにも不可能ってことにゃ?バカな連中。とどめを刺そうじゃないの。」

爪を立たせるネコ娘。

「どうしよう・・・このままじゃ・・・あっ!そうだ。トロール。この鞠に、火を付けれる?」

「えっ?」

すると座敷童子は叫んだ。

「あっ!!!ドラキュラーー!!!!!!」

「えっ???」

技と相手の気を紛れさせて、その一瞬の隙を座敷童子は見逃さなかった。

「トロール!!」

「行くよ!オーラフォー!!!」

赤いオーラ・炎がまりに付き、座敷童子はシュートした。

「いっけええええええ!!!!」

まりは見事にネコ娘に当たり、ネコ娘に火が付いた。

「にゃああああああああ!!!!!!熱い!!熱いにゃ!!!」

ネコ娘は燃え盛る自分の身を、どうすることもできずに苦しんでいた。

それを見た猫又は心配したが、ネコ娘がやられたことにより、消えてしまった。

「娘・・・さ・・・ま・・・」



 烏天狗は手にした物を持って、急降下した。そしてドラキュラの前に来た時、袋の中身を取り出した。

「なんです?」

「くらえ!ニンニク!!!」

「なっ・・・くっ・・・臭い・・・」

「最後は、十字架!!!」

「うっ・・・」

全てにダメージを受けたドラキュラ。烏天狗はとどめを刺そうと剣を振ると、ドラキュラは身軽に交わした。

「そんなもの、逃げるための時間稼ぎに過ぎないですよ。」

「くそっ・・・」

「・・・ん?」

ドラキュラが異変を感じた。

「どうやら、河童君とネコ娘君はやられたみたいですね~」

「あいつら、やったんだな。」

「いいえ。まだ生きている者がいます。」

それはトロールだ。ところが、トロールにはもう自分と同じような闇の感情が感じられず、逆に迷いがなくなりまっすぐに生きると決めた、まるで情熱溢れる馬車馬のように。それを見兼ねたドラキュラは怒りが込み上げてきた。

今にも暴走しそうなドラキュラの前に、猫又が空間に入ってきた。

「ドラキュラ様。」

「やあ。猫又君。ここにやってきたってことは、ネコ娘君はやられたんですよね?」

「そうですにゃ。ついでに、これはどうしましょうにゃ。」

猫又はトロールの心臓をドラキュラに渡した。

「ほう~これは、こうしましょう。」

ドラキュラは周りの水晶を壊した。



 「ぐっっ!!」

「ん?どうしたの?トロール?」

再び胸の辺りを押さえて苦しみ始めた、

「・・・まりの・・・ぼくはもう・・・」

「まさか、心臓っそうだ!どこに??」

「もう、ドラキュラの手に渡ってる・・・」

「そんな!!・・・数斗さん・・・」

まりのは、ドラキュラに連れ去られた数斗を信じて、トロールの手を強く握った。



 ドラキュラは杖を持ち、先端が外せる仕組みになっており、そこから鋭い刃を見せた。 ドラキュラが何をするのか理解した烏天狗はその光景を黙って見過ごすわけにはいかなかった。

「やめろーーーーーー!!!!!!」

「これで、終わりだ!!!」

心臓に刃を突き刺した。すぐに引き抜くことができないほど強く刃を押し込む。

 トロールは激痛し、声をあげた。

「うわあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」

そして叫びが止まると、トロールは動かなくなってしまった。

「トロール・・・トロール。トローーールーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」

まりのはトロールの亡骸を抱えたまま、泣き崩れた。



 「フフフッハハハハッこれで、あとは君の数珠だけです。さあ! Da-mi 。」

「はあ?」

「“よこせ”だにゃ。」

「あ?」

猫又が不気味な表情で言った。

「ドラキュラ様の言葉はルーマニア語にゃ。にゃーはずっとお仕えしてるから、わかるのにゃ。ていっても、にゃーは特別だから、どんな語源もわかるのにゃ~にゃにゃにゃにゃあっ??」

烏天狗は猫又を掴んで、地面に潜った。なぜ地面に潜れるのかというと骨と化した塊が山となり、それが地面になっているからだ。

「ん?何の真似です?」

ドラキュラは烏天狗が地面を動き回っているのかと辺りを見回した。

ところがその予想は外れていた。烏天狗は潜った場所で身を潜めていた。

「んぐぐっんぐ!!!」

「シー。なあ、お前、語源が分かるって言ったな?」

「んぐ??」

「・・・ somu 、 pur si simplu 。これって、どういう意味だ?」

質問に猫又は口籠った。

「おい!教えろ!!」

しばらく沈黙が続いた。そして、やっと口を開いた。

「・・・教えてやるが、娘さまと、仲間たちを、自由にしてやってくれるか?」

「・・・っ?」


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