step0.「大型犬を拾いました。」
大型犬な男子×飼い主な女子
キャラ説など。
神永 葵衣
飼い主気質な高校1年。俊にいつもつきまとわれている。うっとおしいと思いつつも犬が好きなためむげにできない。最近俊がかわいく見える。ついつい俊にお手とかまてをやらせちゃう。でも、頭を撫でるのも好き。容姿端麗でモテるが性格はクール。鈍感。
松戸 俊
大型犬みたいな高校1年。お腹が空きすぎて困っていたところを、助けられてなつく。最初は恋愛感情じゃなかったけれど、いつの間にか葵衣を好きになってた。好きになってからは犬のように付きまとう日々。葵衣に頭を撫でられたりするのが好き。お手と待てはついやってしまう。容姿はいいのでモテる。
霧崎 白馬
いわゆるイケメン。かなりもてる。いつも女子を引き連れて歩いている。でも、自分に全く靡かない葵衣に興味をもって、会うたびに口説いている。通称「王子」。自他共にそのあだ名も気に入っている。よく吠えてくる俊にイライラ(笑)
プロローグ
―――驚いた。
いつも通りの帰り道。いつも通り帰宅部の私は、下校をしていた。しかし、坂を上ったところでありえないものに遭遇した。人が、倒れていたのだ。
「あの、大丈夫ですか？」
救急車をよんだ方がいいのか迷っていると、突然その人は、しゃがむ私の手首を掴んだ。
「っ？！」
驚いて転びそうになる私をよそに、彼は小さな声で呟いた。
「……お腹……すいた……」
固まる私を、彼は「食べ物持ってない？」と悲しそうな顔で見上げてくる。そんな子犬みたいな顔されたら無視するなんて出来るわけがない。だって、彼、犬に似てるんだもの。
私は持っている袋から、さっき買ったばかりのシュークリームを取り出した。結構美味しそうだったから少し惜しいけど、まあ、いっか。
「シュークリーム食べれる？今これしか持ってなくて…」
シュークリーム、という単語に素早く反応した彼は、すぐさま私からシュークリームを奪い、必死に食べ始める。…美味しそうに食べるなあ。
「うまい！めっちゃうまかった！ホントにありがと！」
シュークリームを食べ終えた彼は、ニコニコと笑いながら嬉しそうに私に何度もお礼を言った。こんなに喜んでもらえるなら、シュークリーム作ったひとも嬉しいことだろう。あげてよかったな。
「ううん。困ったときはお互い様でしょ。今度はもう、空腹で倒れたりしないようにね」
コロコロと表情の変わる彼は、本当に可愛くて。私の大好きな、犬みたいだった。だから、思わず。
「っ！」
ぽんぽんと、彼の頭を撫でてしまった。
「またね」
「……！」
それが後に、あんなことになるとは知らずに。
