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種馬勇者の血統付き  作者: 赤月
アッシュの決意
18/20

Act.17 決意

 死にかけて、1時間後。なぜかお咎めが無いアサギとランダ教師は、ふたたびお茶をしていた。


 「で、今朝、アサギさんからでちゅね。昨日の朝方に異能者との戦闘があった所を場所に行って確認してきましちゃ。」


 「??」


 「惨殺死体が1ちゅ。これは、クローの傷がありましちゃので、スクワッシュ君の相手だと思いまちゅ。後は、木が異常な形になっておりましちゃが、なんら痕跡はなかったでちゅ。」


 現場検証に行っていたらしい。にしても・・・。


 「先生、昨日は俺の話どこまで覚えてますか?途中から寝てたでしょ?」


 「寝てないでちゅ。ちゃんと私の変わりにこの熊しゃんが聞いてまちた!!」


 昨日抱いて寝てたピンクの熊のぬいぐるみを抱き寄せ、豪語するが、ぬいぐるみにどうやって聞かせるんだ?

 

 「えっと・・・・?」


 「アッシュ君みたいなお子ちゃまには、まだまだわからない事がいっぱいあるんでちゅ。」


 でちゅ。っていってる見た目5歳児にガキ扱いされるのもどうかと思うが、実年齢は500歳超えのばばぁだ。なんらかの魔術を行使していたと考えるのが、妥当か・・・。


 「では、先生。北方領主の目論見はわかりますか?」


 そう、シャトザーク達を使い異能者を集めている理由。これがわからなければ、俺は、どうにも動けない。敵対するのか、逃亡するか、はたまた共闘・協力せざる終えないかもしれないのだから。


 「そうでちゅね。レギアス皇国の北にあった国は、すべてせいあちゅされてまちゅから、北方領が異国を攻める為の戦力拡大というのは、考えづらいでちょ。次に攻め込むなら山脈の国ミナストレ王国か自由都市レルカでちょうし、戦力拡大ちたいのは、南方領か西方領。またはレギアス皇国そのものはずでちゅから。北方領軍にさらなる戦力増強はひつようないとおもまちゅ。」


 「ですよね。では北方領主が、強引にでも異能者を集めようとしているのはなぜでしょうか?」


 北方領土だけで考えると不要な力だ。ならば、領主が個人的に力が必要になったということだろう。


 「そうでちゅね。・・・・たとえば、反乱でちゅかね。」


 「北方領だけの独立国家ですか?経済的に厳しくないですか?」


 寒い上、岩が多い山岳地帯が多い為、経済が潤わず、軍備もおろそかになりゲイルマ国・ゼハイル共和国はレギアス皇国に敗戦したといえるだろう。北方領と位置づけされた領地は、その2国の領土を基本としているため経済的に潤うことは難しいはずだ。


 ランダ教師は、首を振った。


 「だけではなくでちゅね、皇国全土を手に入れたら経済的にも潤うでちゅ。」


 「そりゃ、この大陸でも1位2位を争う国なんですから、そりゃそうですが、その分、反乱程度で手に入れることも難しいでしょ?」


 「力だけでは、無理でちゅね。でも暗殺ならどうでちゅか?」


 「・・・・。まだ可能性がありますね。上手く2人殺せば・・・。」


 シャトレルク・レギアス・アカギ北方領主の皇位継承権は第2位だ。まず、現レギアス皇帝そして、その第1位継承権の皇子を暗殺すればいい。レギアス皇帝も齢80歳だ。急がないと死んでしまったら王位継承権は皇子の息子達に移り、北方領主が乗っ取ることは不可能に近くなるだろう。それでも強行するなら戦争になるだろう。急ぎ暗殺を実行したいところか・・。

 

 「いや、3人でちゅ。」


 首を振り、俺の言葉を否定し、1人足したが、俺には皇帝と第1継承者しか思いつかない。


 「3人?後誰を?」

 

 「前皇帝であり、勇者と呼ばれた人です。」


 「?」


 理解ができない、死んだから20数年前に現皇帝が皇位についたのではないか?存命中に譲皇したとしても召喚されたのが、100数年前。当時勇者が15歳だとしても最低でも115歳になるはずだ。竜神種や妖精族ならまだしも聞いている限り人間のはずだ・・・。


 「理解できないとおもいまちゅし、これは私の推測でしかないでちゅが、彼は、まだ生きていると思いまちゅ。そしてこれからも生きているとおもいまちゅよ。」


 「その推測の根拠があるのですね?」


 「そうでちゅね・・・。彼の家系に異能と呼ばれる特殊能力がありまちゅね。もちろん彼にも異能はありまちゅ。」


 ランダ教師は、どこか遠くを見るような懐かしい目をしながら彼こと、勇者のことを話し出した。


 勇者の異能は、生物に触れることで、その生き物の生命力そのものを吸収する能力だそうだ。たとえば、勇者が怪我を負ったとしても他人の生命力を吸収し、怪我を治してしまう。もちろん吸収された側は、生命力を失うが、時間をかければ元に戻るらしい。ただし、それは、生命力を吸収されすぎたらどうなるのか、生きる意志を失い、何もしないただ、そこにいるだけの人間が出来上がる。死にはしないが、誰かが世話をしなければ、食事すらとらないという生きる屍になる。

 ランダ教師の推察だが、禁呪といわれている生命力を吸う魔術がある。それを使ったものは、異常なほど長寿となる。ならば、魔術ではない異能にも同じ効能があるのではないか?というのである。


 「3人も、しかも1人暗殺されたら残りの継承者に警戒される。同時に暗殺するか、なんらかの情報操作が必要になりますよね。かなりきつい・・・。」


 「そうでちゅね・・・。でアッシュ君はどうしたいのでちゅか?」


 「え・・・・。」


 突然の質問に答えが見つからない。皇帝暗殺に参加するなんて嫌だし、いくら血縁とはいえ、皇国に暗殺容疑を密告する義理もない。かといって、このままこの街にいるは危険だろう。


 「アッシュ君はぁ~、この街で私とぉ~、ラブラブなぁ~・・・。」


 「それはない。」


 アサギの意味不明な独り言を遮った。

 

 「まぁーどこにいってもでちゅね。今回この島に異能者が来ると予想したないしは、確信した人がいるとおもいまちゅ。きっと異能者でしょうけど、その人をでちゅね。どうにかしないと発見されちゃうんじゃないでちょうか。」


 ランダ教師の言うのももっともだろう。今回この試験を異能者が受けるという情報をどうやって北方領主が知りえたのかという問題点もある。たとえば、冒険者ギルドに情報を流す者がいるのかもしれない。ということは、どこの町に行こうが、そういった輩がいる可能性は高い。もし異能で、探し物を探せる者がいるとすれば、あっちが俺に用があれば、即現れるだろう。今度は、正面からじゃなく、闇討ちなどを使って、問答無用かもしれない・・・。ならば、北方領主を叩くのが、今後の為だろうけど・・・。

 

 「・・・・・・。北方領に行ってから考えるしかなさそうですね。」

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