Act.16 アサギのターン。
「・・・・。俺まで寝てしまったか・・・。」
周りを見回す。右はピンク色。左もピンク色。後ろにはピンク色の熊のぬいぐるみの山から出ている虎の耳。前には、ピンク色に頬を染めて目をつぶって徐々に近づくアサギ・・・・。なんでこんなピンクばっかり・・・。
「ってアサギなんだ!!」
俺は、アサギを手で押さえた。日ごろから意味不明なことを言うが、行動まで意味不明になるとは・・。
「アッシュ君。おはようのちゅーで我慢しようとぉ~。と思ったのにぃ~。手でわしづかみするなんてぇ~。大胆ですぅ~。恥ずかしいけどぉ~、誰もぉ~いないからいいですよぉ~。」
「はぁ?」
両手でちょうど包みきれるくらいだろう。俺の手のひらにぴったりフィットしたやわらかい2つの山。
「・・・!!す、すまん!!」
俺は、手を引っ込め、後ろに這いずってアサギのマウントポジションから逃げ出すが、すぐ後ろのスクワッシュが埋まっているであろうピンクの熊のぬいぐるみの山にさえぎられる。
「誰もいないからぁ~、大丈夫ですよぉ~。」
「いや、この山にスクワッシュが埋まってるから!!」
「そこには、ピンクの熊さんだけですからぁ~。スクワッシュ君はいませんよぉ~。」
アサギは、膝立ちなのに器用に俺に近づいてきつつ、なぜか上着のボタンに手をかけ、1つのボタンをはずした。
シャトザークの出した呪術の魔道具を見たときのような悪寒が背中に走った。本能が俺に告げている。
《これより先は、ある意味奴隷化される。》
危険だ。策は無いか・・・。そうか。
「スクワッシュ!!朝ごはんだ!!今日の朝ごはんは、豚の丸焼きだ!!」
俺が、言うが否や、見事なまでにピンクの熊さんが積み上げられた山は、動き出し、噴火した。
「豚の丸焼き!!」
噴火したモノは、寝ぼけていた為か、室内であることを失念していたのかもしれない。ドカン!!と派手な音を立て、天井で頭を打ちつけそして、ピンクの熊さん山に墜落した。
「・・・・。」
「さぁ~、これで3人ですがぁ~、気絶しているからぁ~2人みたいなぁ~もんですぅ~。」
ピクリとも動かないスクワッシュ。朝から豚の丸焼きという刺激物は、興奮させすぎたらしい。まさか、失敗するとは・・・。
目の前では、マウントポジションを取り戻したアサギが、2つ目のボタンをはずしている。ボタンの数は、全部で5つか?あと3つはずす間に何らかの手段を考えないと俺は、奴隷となるかもしれない。にしても普段のアサギならボタン1個はずすのにもっと時間が、かかりそうだが・・・。いやそんなことよりなにか手段はないのか、六角棍は手元に無い。投げナイフは、革鎧と共に部屋の隅っこだ。そうかマジックポーチになにか入ってるかもしれないぞ。
俺は、腰をまさぐるが、あるはずのポーチが無い。寝るときでもつけて寝る癖をつけているのになんで今ないんだ?その答えは、すぐにわかった。
「ふふふ。念のためぇ~。ベルトと一緒にポーチもぉ~はずしときましたぁ~。」
なんの念のためだ?しかもベルトまで?ズボンが脱げちゃうじゃないか。つか、アサギの顔が、普段と違って、なんか怖い・・。草食動物をおいつめた肉食動物のような「もう絶対逃がさない。」と目で言っている。もうあきらめるしかないのか?意味不明な恐怖に俺は、駆り立てられる。
そうだ、マウントポジションを取られているといえどもアサギは女だ。女の力ぐらい押し返せるはずだ!!
俺は、思い立ち、押し返そうと全身に力を入れると、アサギを腹の上に座らせていながらでも体を浮かせれた。
いける!!このまま力で押し返す!!
アサギはそんなことにも気がつかず、3つ目のボタンに手をかけている。はだけたブラウスの隙間から女性特有の下着が、少し見えているが、いったい何がしたいのだろうか?そんなことより早く逃げないとな!!
「!?きゃっ!!」
一気に俺は、腹筋と腕の力を使い、マウントポジションをとったアサギごと起き上がるが、どうやら力を入れすぎたようで、アサギはそのまま俺の足の間に落ち、俺は、座る姿勢よりも前かがみになったようだ。
目の前には、スカートが大きく広がり、太ももと女性特有の小さな三角形の下着が見えたが、すぐ俺の視界は、暗くなった。
《な、なんだ!?》
俺は、左右を見るが暗い。もしや、異能者による奇襲か!?
アサギの体の感触はまだ、足にある。しかし黙っているのはなぜだ?リングマジックで少しでも明かりをとるべきか?いや、そうすれば、ここだけが目立つ。俺だけならまだしもアサギもここにいる・・。どうしたものか・・。
「トランスファーでちゅ。」
ランダ教師が、転移したのだろう。ただ、さっきまで部屋で見当たらなかったから転移してきたが正解かもしれない。とりあえずレルカの守護者が帰ってきたのだから異能者といえども・・・。
「二人とも、人の部屋でなにしてるんでちゅか!!とりあえじゅ、スカートに頭入れてる変態しゃんは、トンラスファーそして遅延で、リトレイスでちゅ。」
俺は、体に浮く感覚の後に昨晩と同じ水の中の感覚に包まれる。
昨晩と違って、嘔吐中ではない為、息は続くとおもいきや。ランダ教師がリトレイスの遅延発動していたため、昨晩と同じように死にかけ、そして熱風地獄となったのだった。
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