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種馬勇者の血統付き  作者: 赤月
アッシュの決意
11/20

Act.10 恐怖

 「んー、何だっけ?あ、そうだ。お父様より伝言があるんだよ。」

 

 男は、急に思い出したようにぽんっと手を叩いた。お父様って誰だよ・・・。


 「んー、細かいこと忘れちゃった。とりあえず、異能使える親族見つけたら招待しろって言われてるんだ。」


 「断る。」


 「即答だね。まぁ、いいけど、無理やりきてもらうからね。あ、招待するのは君だけだから。その他はいらないってさ。」


 お父様って奴に俺を拉致ってでも連れて来るように言われてるらしいな。試験の最中じゃなくても、こんな怪しすぎる雰囲気の奴についていく気は毛頭無いが、この場面をどうやって切り抜けるかな・・・。


 にらみあっていてもしょうがない。今も背後から犬のような獣の鳴き声が、徐々に近づいてきている、挟み撃ちされるのは、ごめんだな。背後から来る獣が来る前に・・。俺は、右こぶしを撫でつつ、アサギに視線を送るとアサギも小さくうなづいた。何も俺1人で奴を倒すわけではないのだ。


 「リング・マジック発動!!ウォール!!」


 奴の数歩前に一枚の壁が出現する。リング・マジックであり、初歩的魔術の為、薄いがこれで十分だ。


 「んー?目くらましのつもりなのかな?乗じて逃げるのかな?こんな小さな壁いに無いじゃん?」


 奴の嘲りが聞こえるが気にしない。俺は一気に駆け出した。



 



 「さぁーな。俺はあのへんちくりんな槍の男を殴りにいくぜ!!」


 アッシュの指示なんて待っていたら殴りそこねちまう。もう3日も殴ってねぇなんて、生まれて初めてで、ストレスでしかないぜ!!

 俺は、足を獣化し速度をあげ、一気に昨日アッシュが、縛り上げた男に向かって走り飛び掛った。


 「うっりゃ!!」


 渾身の力を右腕に込めクロウを振るうが、奇妙な槍で受け止められ、流される。


 「そうこうなくっちゃな!!」


 流され、着地するが間などおかず、そのまま左の裏拳を振りぬくが、相手は槍であっさりと受け止める。


 「へぇ~、やっぱこいつ面白いじゃん。」


 今度は、少し間合いを取り相手の隙を探るが、なかなかの使い手らしいな構えに隙が見当たらないじゃねぇか、楽しいな。でも・・・。どこか違和感を感じるな。なんだろう・・・。


 「悩んでても仕方が無いな!!」


 俺は、駆け出し一気に間合いを詰め何度もクロウを振るうが、そのたび受け流され、避けられるが、反撃してこない。


 「てめぇ!!馬鹿にしてるのか!!」


 頭にきた俺は、獣化のまま体をひねり、右回転蹴りを放つ、獣化でかなりの力が増強されたはずなのに槍で受け止められる。この力で押してもぶれない構えから考えれば、どっかの正式訓練を受けた騎士かもしれないが、それは予測範囲内だ。そのまま体を回転し続け、左足で奴の足元を狙った。


 「くらいやがれ!!」


 獣化した速度のうえにこの多段攻撃をしかけて、止めれたやつはいないんだよ!!

 

 案の定男の左足を獣化した爪が切り裂き、相手の体制がカグンと沈む。それを見逃すほど俺は甘くない。そのまま、相手の左方向に跳ね、奴の左腕を渾身の力で切り裂いた。



 「へへ、あんたも強いけどその手足じゃもう無理だろ?降参するかい?いっ!?」


 あの2箇所の傷でもう戦えるわけが無い。左腕は出血による致命傷にもなりかねないほど切り裂けたはずだ。着地し、降伏勧告を言いつつ振り返った俺が見たものは、はじめに感じた違和感を思い出した。あの時感じた違和感は、これだ。

 奴は人ではない。人の形をしているし、奴のにおいは、変わってないだからきっと人だったけど、今は人ではないのだ。

 その証拠に今奴の左腕は、もげかけているのだ。つい力を入れすぎて奴の腕を切り裂いたのはいいが、やりすぎだ。大量の血液が流れ出て、すぐにも致命傷になるぐらいの傷を与えてしまったのだ。なのに奴は、悲鳴一つもあげず、左足を引きずって、俺に向かってきている。違和感だったものが、寒気がする。もしかして、生けるリビングデッドという死霊魔術で、殺された後、操作されているのか?いやだったら 死臭がしてもおかしくないはずだ。あの臭いは独特で、死んで数時間後から鼻につく匂いになるはずだ。では、俺の目の前にいる奴はいったいなんなのだ?


 俺の頭は、混乱し続ける。得体の知れない人ではない人型の物が近づいてくるのだ。


 「うぉぉぉぉ!!!」


 俺は、相手との距離を一気に詰める。右を大きく振りかざし渾身の力で、奴を引き裂こうとするが、奴の槍が俺の腕に刺さる。俺は槍が刺さったまま、左腕を突き出し、奴の首元を突き刺した。その左腕を引き抜き、槍の中ほどに振り下ろし、槍を切り裂く。固定されなくなった槍は、俺の腕からずり落ち、血が飛び散るが、気にもならない。まだ俺の恐怖の対象は、首を貫通させられてたのに、絶命してもおかしくない傷なのに向かってくるのだ。 

 俺は1歩引きつつ、獣化のままの脚力を活かし、体をひねりながら飛び上がり、そのまま回転蹴りを頭に叩き込と、ベキッ!!と首の骨が折れる音が聞こえてきた。これで我慢強かろうと何だろうと絶命だろう。と着地の体制のまま、相手の様子を見るとまだ足は、前に進もうとしているが、頭が折れ、後ろにぶら下がっているためだろう。前方が見えず、そこで大きな音を立て、前方に転ぶ。が、そこで後ろにぶら下がっていた顔と目があった。


 「ぉぃ・・・。もう勘弁してくれよ・・・。」


 もぞもぞと這いつくばってでもまだ俺に向かってくる。これが人間なら根性があると感心したくなるが、もうこれは人ではないだろう・・・。俺は、足元に落ちていた槍を這いずれないように這いずるナニカの胴に突き刺し、地面まで突き刺した。


 俺は、ナニカに背を向けて、仲間の所に向かって跳躍した。あんなナニカはもういないとは思うが、もう片方があんなナニカだったらあの二人では無理だろう。

 というのは、口実だった。俺は、あのナニカから逃げ出したのかも知れない。と思ったのは、試験が終わった最初の夜見た夢から醒めた後だった。

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