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種馬勇者の血統付き  作者: 赤月
アッシュの決意
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プロローグ

 異世界ですが、感覚的にわかりやすくするため。CGS単位(センチメートル・グラム・秒)で表記しております。

 シチューのようなものもシチューと表記させていただきます。ので、ご了承ください。

 「昔だけど、そんな昔じゃない昔のことです。」


 母親は、寝付けない娘のために、一冊の本を読み出した。


 「悪いわるぅ~い、魔法使いが、みんなを困らせていました。そのわるぃ~い魔法使いが手に負えなかったとある国の王様は、勇者様を異世界から召喚しました。」


 「ママ、イセカイってどこなの?」


 「遠い所よ。」


 「この前行った街よりも?」


 「そうよ、あの街よりももっともっと遠いところなのよ。」

 (そんな場所は、物語でしかないでしょうけどね。)


 「ふ~ん。」


 「勇者様は、悪い魔法使いの手下達を切っては、捨て、ちぎっては投げ。と蹴散らかして」

(この物語子供向きって書いてるけど、表現方法が、うちの娘には、過激じゃないかしら・・。)


 本をいったん閉じ、「勇者様とその子孫達の活躍(児童向き)」と背表紙に書いてある事を確認し、せがむ娘のために続きを読むのだった。


 「最後は、悪い魔法使いを捕まえて、頑固な魔法使いのつめをはいで、手足をもいで、財宝のありかを聞き出して、最後は首を切り落としたのでした。」


 もう一度、背表紙を確認してみたが、「勇者様とその子孫達の活躍(児童向き)」の書いてある文字は変わらない。


 (最近、街ではやっている児童向きの本だと聞いて、街の買出しの時に買ったのだけど、最近の子供たちは、過激なのかしら・・・?)


 「ママ、もうおちまいなの?」


 母親の心配をよそに娘は、物語の続きをせがむのだった。


 「まだ、続くわよ。」


 「はやくはやく♪」


 「勇者様は、悪い魔法使いが、みんなから奪った財宝を使って、人を集めると、一生懸命訓練しました。その結果、強大な軍隊が、出来上がりました。王様は、みんなから奪われた財宝を返して、くださいとわがままを言いました。」

 (これってわがままなのかしら?むしろ王様が普通じゃないのかしら?)


 「勇者様は、強大な軍隊を使い、わがままをいう王様の首を切り落とし、王様になりました。」

 (これって王位簒奪よね・・・。)


 「勇者様は、わがままを言った王様のお姫様が美しいことを知ると、結婚しました。」

 (お姫様は、自分の父親を殺した相手と結婚したの!?無理やり結婚されたんじゃ!?)


 母親の心の声など、気にもせず物語は、まだ続いている。


 「その後も勇者様は、国中から結婚してようが、まだ幼かろうが、力に物を言わせ美女を集め、いっぱい結婚しました。」

 (結婚してようが?それって不倫?幼かろうが?ってロリコン?美女を集めて結婚って重婚?いやそれよりもハーレム?)


 「ゆうちゃ様は、いっぱいもてたんだね。」


 「えぇ、そうね・・・。」


 母親は、引きつった笑顔で娘に微笑むが、3歳の娘には、大人の事情など理解できない。そしてまだ、物語は続いている。


 「勇者様は、たくさんのお嫁さんとの間に大きな町ができるほどたくさんの子供を作りました。」

 (どれだけ、がんばったの!?うちの旦那に爪の垢でも煎じて欲しいわよ。最近の旦那といったら淡白すぎて・・・。)


 「ママァ~?」


 母親が、最近の夜の事情など露知らず、娘は物語の続きをせがんだ。


 「はいはい、勇者の子供たちは、旅に出ました。一人は、街を騒がしていた盗賊団を成敗し、その盗賊団の仕事を引き継ぎ、・・・・・お仕事に励ました。一人は、勇者の倒した悪い魔法使いの魔法を研究し、遠い異国で、魔法使いのお仕事を引き継ぎました。」

 (どっちも極悪人になったってことなのよね・・・。)


 「また一人は、旅を続け、旅先で多くの美女を時には、一夫一妻制を死守しようとする悪い旦那から救い出し、時には、森で出会った少女を魔法で眠らし、子供をたくさん作りました・・・・。」


 「ママァ?」


 娘は心配になった。本を読んでとせがんだのが、いけなかったのだろうか。母親の眉間のしわが徐々に多くなり、手は振るえ、今では、分厚い本を破りそうなほど力を入れている。


 「ママァ・・・?」


 娘は、泣きそうになりながらも母親を呼んだが、母親は全身に力を込め震えるばかりだ。


 「マァマァ・・・・・。」


 娘が今にも泣きそうになると母親は急に立ち上がった。

 4年前に出会った男は、勇者の子を名乗り、すでに既婚だった私を旦那と激しく奪い合い、あっさりと旦那を破ったのだが、次の朝には、「僕には、使命がある。もう旅立たないと。」と置き手紙を残し旅立ったのだ。旦那は、勇者に殴られた為か、前後の記憶がないから何もなかったことにして、生活をしていたのだが、事があった時から1年弱で娘が生まれた。その娘は、勇者の子と同じ珍しい、黒髪で黒目だった。

 いつか勇者の子が、使命をまっとうし、私と娘を迎えに来るとおもっていたのだが・・・・。

 

 「あの時の勇者の子供は、私だけじゃなくて旅をしながら口説きまくってるんか!!」


 手にもった分厚い本を引き裂き叫んだのだった。

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