忘れな草
知っている
哀しければ哀しいほど
過去は美化したくなる
苦しければ苦しいほど
鮮明であるのに
どうして忘れることが出来るだろうか
忘れたくて忘れられないから
美化するしかない
自分で美化できないから
自然に美化されるのを待つ
人間は
案外つじつま合わせが得意なんだ
案外都合よくできているんだ
そうして
その映像を何度も壊して修復して
固執して
出来上がった映像を愛でる
哀しみに涙するように
歓びに涙するように
忘れることは罪だと刻印して
忘れることは罪じゃないと詠って
それはさながら
苦し紛れの手法
狂気じみた理想