明日への鎖を君は選ぶ
映画用台本なので完全に脚本形式になってます。すいません。
作品タイトル:『明日への鎖を君は選ぶ』
ジャンル:青春群像劇 / ヒューマンドラマ
登場人物紹介
中川 紬藍陵高校 1年2組/鎖同好会 創設メンバー真面目で責任感が強いが、その分「期待に応えなければ」という思いを強く抱えている少女。
過去の経験から、部活動や人との深い関わりに慎重になっており、自由を求めつつも自分の居場所を探し続けている。 感受性が豊かで、他人の痛みや弱さに気づける優しさを持つ一方、自己評価が低く、つい自分を責めてしまう傾向がある。実は調子に乗りやすい。
牧野 瑠奈藍陵高校 1年3組/鎖同好会 部員物静かで引っ込み思案だが、芯は強く、周囲をよく観察している努力家。 読書や学問が好きで、知的好奇心が旺盛。
人前に出ることは苦手だが、大切な人のためなら勇気を出せるタイプで、静かな優しさと覚悟を併せ持っている。
大和 輝樹藍陵高校 3年2組/生徒会副会長/鎖同好会 部員面倒見が良く、正義感が強い兄貴肌タイプ。少しぶっきらぼうだが情に厚く、弱い立場の人を放っておけない性格。責任感が強く、周囲の大人や学校組織に対しても真っ直ぐ意見をぶつける行動力を持つ。
不器用ながら、仲間想いで熱い心を秘めている。
小豆 結子藍陵高校 数学科教員/鎖同好会 顧問穏やかで優しく、生徒一人ひとりに寄り添おうとする教師。どこか抜けていて親しみやすいが、内面には繊細さと孤独を抱えている。自分より他人を優先する傾向があり、弱音を吐くのが苦手。
生徒たちにとって「理想の先生」であろうとする一方、人としての不安や葛藤も抱えている。
楠木 由良藍陵高校 吹奏楽部/紬の幼なじみはっきりと物を言う現実主義者。紬をよく理解しており、時に厳しい言葉も投げかけるが、それは本気で相手を思っているから。情に厚く、友情に真剣な性格で、感情と理性のバランスが取れた存在。
美山 穂希紬の中学時代の同級生・吹奏楽部関係者高いプライドと実力を併せ持つ努力家。負けず嫌いでストレートな物言いをするが、仲間への想いは強い。
感情表現が激しく見える一方で、誰よりも真剣に音楽と向き合ってきた人物。
シーン1:鎖同好会部室(夕方)
(se:鎖と鎖がぶつかるような金属音)
最初、鎖同士がぶつかる音がなってから、数秒して鎖がぶつかり火花が散る
→暗い部屋の中、その火花によって光がつく
両手に鎖を縛り付けられた紬が鎖同好会部室で佇む
足元から徐々に全体をうつしていく
紬 「これが...私たち四人の自由の形。」
鎖の穴の中にカメラが入っていき、場面転換
シーン2:講堂(暗転)
舞台上手の大和にサスがあたる
大和「新入生のみなさん、藍陵高校へようこそ。」
吹奏楽部の指揮者によって吹奏楽部の「宝島」が演奏される
(bgm:吹奏楽部「宝島」)
吹奏楽部の演奏とともに紬が制服を着て学校へ登校してくるシーン
トランペットを見て箱を閉める紬
部活勧誘をされる紬、様々な部活をまわる紬
シーン3:講堂前
ベンチに座ってため息をつく紬
由良「藍陵生たるもの、文武両道、部活動にも全力で励むべし。」
由良が木の裏からでてくる
紬 「由良!?」
由良「紬のことは見通しだよ。」
紬 「へ、へえ~ありがとう。」
(沈黙)
由良「本校生徒は、何かしらの部活動に所属していなければならない。そう、校則にも書いてるじゃん?校則守らないとツチノコに襲われるぞ!!」←生徒手帳的なものを取り出して
紬 「はあ?ツチノコ?」
由良「知らないの?旧校舎にはツチノコが出るって噂。」
紬 「幸運になれるから別にいいじゃん。」
由良「確かに。」
紬 「だいたいその校則おかしいでしょ。部活なんて個人の自由だって。」
由良「それもそうだけど、私たちにはどうにもできないじゃん?」
紬 「...そうだけど。由良はどうするの?もしかしてまた...」
由良「うん。吹部。吹奏楽部。」
紬 「そっか。」
由良「紬は?」←雰囲気変えましょう
紬 「私は...」
(回想:トランペットのふたを閉める紬)
由良「また一緒に、吹部入らないの?あんなにうまかったじゃん。カッコよかったよ紬!!」←紬の腕を握って
紬 「いや、でも!!」←由良の手を振り落とす
穂希「紬?」←このセリフで雰囲気を変えて!!!
固まる由良と紬。だんだんと視線が穂希の方へ
由良「あっ...穂希ちゃ〜ん。こんにちは...」
穂希「紬...あんたなんで藍陵にいるの?」
紬 「...」
穂希「え...落ちたってこと?」
由良「ちょ、穂希それは!!」
紬 「そうだよ!!私、落ちたから。」
由良「紬っ!!」
紬 「ああ、でも安心して!!吹部には入らないから...絶対に。」←ひきつった笑顔で
穂希「は?何それ?ねえ紬!!」
紬 「じゃ、じゃあね!!」
走って逃げる紬
穂希「ちょ、紬!!」
シーン4:旧校舎前
息切れをして立ち止まる紬
(回想)
由良「また一緒に、吹部入らないの?」
(回想終わり)
紬 「はあああもう!!」
紬の目線は旧校舎の方に
シーン5:旧校舎の廊下
廊下を歩く紬
紬(ここって...旧校舎?)
なるべく教室、壁、天井など旧校舎全体を写したい
一つの空き教室に目がとまる
シーン6:空き教室
空き教室の扉を開ける紬
大量の鎖と、椅子と机。
紬(何ここ、ゴミ置き場?鎖ありすぎでしょ。)
椅子に座る紬
紬 「...でも、なんか静かでいいな...」
だんだんと体操座りになって顔を埋め込む紬
「ガタン!!」と大きな物音が
紬 「ふぇ!?」
「ガタガタ」と音がする
紬 「えええ?何?何何何!?」
何者かが立ち上がる
紬 「ふあああああ!!!ツチノコ!!!!!」
小豆「フハハハ!!なんでツチノコなの?そこはお化けとかじゃないんだ。(笑)」
紬 「あぁ...?」
小豆「安心して。人間だから。ごめんね驚かせて。」
紬 「こんなところで何してるんですか?」
小豆「え、何してるって、それは...その...ここ静かでいいでしょ。たまに来たくなるの。」
「悩み事とかある時に。」←間と、気まずそうな顔で
紬 「悩み事...」
小豆「あとね、夜の公園とか静かでいいよ。」
紬 「はあ...」
沈黙
紬 「ええ!!??不審者!!!???」←小豆から離れて椅子を盾にして
小豆「えなんでなんでなんで。」
紬 「いや明らかに生徒じゃないし!!こんなところに大人の女性が一人なんて!!!し...侵入者!?」
小豆「ちょ、落ち着いて!!」
紬 「こ、こないで!!私は美味しくありませんっ!!」
大和が空き教室に入ってくる
大和「小豆先生ーーー元気っすか?」
「あれ?」
沈黙
紬 「...先生?」
小豆「そうですよ、先生ですよ。三年四組担任、数学科の小豆結子。」
紬 「うわあ...ごめんなさぁい。てっきりただのヤバイ人だと。」
大和「先生、この娘だれっすか?」
紬 「ああ!!あなたは確か...生徒会副会長の...」
大和「三年二組大和輝樹。あんた、一年か。」
小豆「迷子の一年生。ね?」
紬 「えっ、迷子じゃないです!私は一年二組の中川紬です!!」
大和「迷子だろこんな旧校舎に来る時点で。」
紬 「うっ...(否定できない)それあその...そうです」
小豆「まあでもわかるよ。ここに来る気持ち。」
大和「小豆先生だって定期的に来てますよね。ここはオアシスだって。」
小豆「オアシスなんて言ってない!!」←クスッと笑って
紬 「怒らないんですか?」
小豆「何を?」
紬 「ツチノコ呼ばわりしたりやばい人呼ばわりしたり...」
小豆「フフフもういいよ。」
紬 「...ありがとうございます。」
小豆「なにかあったの?」
大和「5月病か?」
紬 「いや..そういうわけじゃ...」
紬 「ただ...私、部活入りたくないんです。」
小豆「ふーん、部活ね...」
大和「でも、まずいぜ。校則で決まってんだから...吹部とかどうだ?」
紬 「吹部!?」←大きい声で
大和「うわビックリした。」
紬 「どうして吹部?」
大和「いや、なんか似合いそう。」
紬 「うう..吹部は嫌です。」
大和「んなこといってもな生徒会副会長として見過ごせないぜ。」
小豆「うーん...じゃあさ...新しい部活作っちゃうとか?」
大和&紬「え?」
小豆「うん。入りたくないなら、自分で作ればいい。何にも縛られない、自分たちだけの部活をさ。」
紬 「そんなの...ありなんですか?」
小豆「規則上は部活という形があればアリ。顧問は...私がしようか。」
大和「はあ!?顧問!?」
小豆「ん。私もこの場所好きだしさ。」
流れる沈黙、一呼吸を置いて紬が話す
紬 「...それ、めちゃくちゃいいじゃないですか!!」
大和「マジかよ。」
小豆「でしょ?だからさ、作ってみようよ!!何にも縛られない部活。」
紬 「はい。はいはい....はい!!」←興奮
大和「でも、何の部活なんだ?」
紬 「えっと...ここを部室にして...」
あたりを見渡す紬。そこには太い鎖が吊るされている、鎖を持ち上げる紬。
紬 「鎖部。とかどうですか?」←鎖を高く掲げる
大和小豆「鎖部???」
笑い始める小豆先生
小豆「中川さん、何にも縛られない部活作るって言って、鎖部かwwうん、好きだよ。そのセンスww」
紬 「ちょ、笑いすぎです。」
大和「人数的に同好会...になりますね。」
紬 「鎖同好会...」
小豆「じゃあ、創部しちゃうか。鎖同好会。」
大和「えええ。まあ...小豆先生が顧問なら俺も入っていいっすよ。」
紬 「え⁉本当ですか!?」
大和「どうせ生徒会でウロウロしてるし。今まで通りたまに顔出すだけだ。」
紬 「ありがとうございます!!」
紬 「私、つくります。鎖同好会。」
シーン:7鎖同好会部室
紬 「本当に通ったんですか!!鎖同好会。」
小豆「うん。まさかのね。」
大和「そりゃあ俺、副会長ですから。」
紬 「大和先輩...ありがとうございます。カッコイイです!!」
大和「おお、知ってる。」
小豆「なんで知ってるのよ(笑)」
談笑する三人
瑠奈上手いり
本を見ながらブツブツ言っている
紬 「えっ、ちょ、誰か入ってきましたよ。」
大和「気づいてないのか?」
小豆「ねえ、何してるの?」
瑠奈「ふぁああ!!!ツチノコ!!???」
小豆「うーん、私やっぱツチノコなのかな?」
瑠奈「え?...ああ!!ごめんなさい!!旧校舎でツチノコが出るって噂聞いてて。」
(ツチノコ由良「シャーッ!!!」)
大和「俺のときはチュパカブラがでるとか言われてたな。」
紬 「あの血を吸うやつですか?」
(チュパカブラ由良「ガオー!!!」)
瑠奈「あっ、あなたは確か...二組の中川さん?」
紬 「え?もしかして一年生?」
瑠奈「私、一年三組の牧野瑠奈です。」
「ていうか、副会長の大和先輩に、確か三年の小豆先生?」
大和「よくわかるな。」
瑠奈「どういう集まりなんですかコレ?」
小豆「部活だよ。」
瑠奈「ここ部室だったんですか?」
紬 「うん。鎖同好会っていうんだ。」
(沈黙)
瑠奈「...え?はい?ん?え?鎖?」
大和「だよな。そうなるよな。」
紬 「まあ鎖同好会ってのは名前だけで、何にも縛られず、自分の好き勝手に、自由に過ごせる、そういう部活です。」
瑠奈「え...じゃあずっと読書してたりしても?」
小豆「全然ありだよ。」
瑠奈「それ...メチャクチャ最高じゃないですか!!私も入部していいんですか?」
顔を見合わせる大和小豆紬
三人「もちろん!!」
瑠奈「じゃあ私、入部します!!」
大和「おおマジか。」
紬 「やったあ!!一年生増えるの嬉しい!!」
小豆「じゃあ、入部届け書いて。」
瑠奈「はい!!」
入部届を書く瑠奈の近くに紬もついていく
小豆先生のもとに大和が近づいていく
大和「なんか先生、やけに積極的じゃないですか?」
小豆「そう?まあ...私が望んでるのかな。」
どこか深刻な空気
大和「先生っ!!...なんかあったら言ってくださいね。」
小豆「フフフ何もないよ。」
シーン8:鎖同好会部室
(紬がうちカメで撮影)
紬 「鎖同好会は私一年生の中川紬、牧野瑠奈ちゃん、三年の大和輝樹先輩を部員として、顧問の小豆結子先生のもと、毎日楽しくやっています。」
大和「牧野さん何よんでるの?」
瑠奈「円周率の本です。」
大和「うん、んん?」
紬 「瑠奈ちゃんはどこか変わってます。」
大和「あっ、作らなきゃいけない資料があるんだ。」
瑠奈「生徒会ですか?」
大和「締め切り明日なんだよ。さっさとしなきゃな。」
紬 「大和先輩は生徒会の仕事をしたりといつも大変そう。」
小豆「失礼しますよーー。」
大和瑠奈「小豆先生!!」
小豆「ごめん、ちょっと休ませて。」
紬 「小豆先生は仕事の合間に鎖同好会に来ては、教室の隅の長机で横になってます。私たちはあそこをおねんねゾーンと呼ぶことにしました。」
(紬うちカメ撮影終了)
大和「何してんだ中川さん。」
瑠奈「部活動紹介ビデオらしいですよ。」
シーン9:鎖同好会部室
由良「ハ...ハハハ何これ?」
紬 「あれ、由良ちゃん久しぶり。」
由良「’’久しぶり’’じゃないわよ!!鎖同好会って何よ!!」
瑠奈「何にも縛られない自由な部活ですよ。」
由良「あなた何読んでるの?」
瑠香「素数表の本。」
大和「数学好きなの?」
雑談を続ける瑠香と大和
由良「いやいや何この空気!?ここって本当に部活?」
紬 「うん!!部活!!...なのか?」
大和「中川さん、そこは部活って言わなきゃ。」
瑠奈「まあいいんじゃないですか?私たちらしいし。」
紬 「そうだね。」
談笑する三人
由良「紬...本当にこれでいいの?吹奏楽部、紬がいた吹部はメチャクチャ輝いてた。今だって、紬がいたら...」
紬 「いや、私は...」
瑠奈「そうだよ、中川さんも今のままがいいって言ってるし。」
由良「あなたは紬の何を知っているの?」
瑠奈「...」
紬 「ちょっ声大きいって。」
大和「お、まあまあみんな落ち着いて。」
由良「大和先輩もですよ。副会長がこんなこと許していいんですか?こんなの部活じゃない‼だいたい’’部長’’は誰なんですか?」
ピタッと空気が止まる
紬 「え...?」
大和「部長...」
瑠奈「あーー」
由良「いないんですか?今度の部活動生集会で部長はみんなの前で話さなきゃいけないんですよ。鎖同好会って部として成立してます?」
シーン10:鎖同好会部室
小豆「確かに楠木由良さんの言うように、部長がいないのは問題だと、生徒指導課から注意を受けました。で、部長を決めないと、鎖同好会は廃部になります。」
三人「廃部!?」
大和「そんな、俺結構気に入ってたのに。」
小豆「しかも期限は...一週間。」
三人「一週間!?」
小豆「でも、さっさと決まるんじゃないの?」
紬 「大和先輩!!三年生ですし、部長しませんか?」
大和「いや、俺、副会長だからできねえよ。」
小豆「確かにできないね。」
瑠奈「えっ、てことは...」
小豆「牧野さんか中川さんが部長...」
(沈黙)
紬瑠奈「無理無理無理無理無理無理!!!」
大和「なんで声揃ってんだよ。」
小豆「でもどうするの?一週間以内に決めないと本当に廃部だよ。」
紬 「牧野さん部長やってみない?ほら、成績いいしさ。」
瑠奈「いいや、私昔から引っ込み思案で、人前とか苦手だし。みんなの前で話すとか無理!!最初にこの部活作ったの中川さんだし、中川さんが部長するべきだよ!!」
紬 「いや!!それは関係ないって!!」
小豆「と、とにかく一週間以内に決めてね。私は職員室行ってくる。」
小豆先生ハケ
紬 「でもさ、鎖同好会の部長だよ。そんなに重役じゃないし、仕事もきっと楽だから!!肩書きにも載るんだから、やった方が徳!!やらない選択肢なんてないでしょ。」
大和「そこまで言うなら中川さんがすればいいじゃん。」
紬 「うっ...(反論できない)」
瑠奈「私、噂で聞いたんです。」
大和「?何を?」
瑠奈「中川さん、中学校時代は吹奏楽部の部長だったって。」
ピタッと動きが止まる紬
大和「え?そうだったのか?」
瑠奈「はい。中川さんと同じ中学の子が言っていたので確かです。」
大和「ええすげえじゃん!!じゃあ部長やっちゃえよ。」
瑠奈「そうですよ。やっぱ中川さん、何とも言えないカリスマ性がありますし。」
大和「中川部長...なんか響きいいな!!」
瑠奈「絶対絶対むいてる!!」
大和「よっ!!中川部長!!」
盛り上がる大和と紬
(回想)
なんで...あんたが部長なの?エコーかけたい
(回想終わり)
紬 「カリスマ性なんかないよ!!」←大きい声で
大きい声に少し驚く大和と瑠奈
紬 「あっ、ごめん。」
大和「いや、まあ、ちょっとビックリしたけど。」
瑠奈「ねえ中川さんって中学で何かあったの?」
紬 「...」
瑠奈「私相談のるよ。だからさ中川さんが何思ってるか教えてよ。」
紬 「ごめん...私用事あったんだ。」
荷物をまとめる紬
大和「はあ?」
紬 「そういえば歯医者いれてて。ホワイトニングな私の歯のためにも行かなきゃ?」
瑠奈「え、ちょっと、中川さん!!」
紬 「ははは、またね。」
紬部室をでていく
瑠奈「中川さんっ!!!」
瑠奈の声は届かない
大和「中川さん...どうしたんだ。」
瑠奈「...なんか距離があるんですよね。」
大和「距離?」
瑠奈「はい。中川さんと私。」
大和「まあ...そうなのか?」
瑠奈「私、楠木さんに言われちゃったんですよね。あんたが紬の何を知ってるのって。実際、何も知らないっていうか。」
由良腕を組んで部室に入ってくる
由良「そう。あなたたちは紬のことを何も知らない。」
瑠奈「楠木さん!!」
大和「じゃあ、あんたは中川さんの何なんだ。」
由良「幼なじみ兼元部員仲間兼心の友。とにかくあなたたちとは違う。」
瑠奈「じゃあ教えてよ。中川さんに何があったの?」
由良「そんなの私がいうわけないでしょ。一つ言えるのは、あなたたちは紬の才能を縛り付ける鎖なんだよ。」
瑠奈「は?何よそれ。」
由良「せいぜい紬に嫌われないようにね。じゃあね、牧野瑠奈さん。」
由良部室を出る
大和「どうするんだこれ?」
瑠奈「...」
瑠奈「次の日から、中川さんは鎖同好会に来なくなった。」
一週間後
シーン11:鎖同好会部室
恐る恐る部室に侵入する紬
部室には誰もいない
紬「あれ?誰もいない?」
物陰に隠れていた瑠奈が紬に後ろから飛びかかる
瑠奈「わっ!!」
紬 「ふぁああ!!!ツチノコおおおお!!!」
瑠奈「久しぶり。中川さん。」
紬 「牧野...さん?」
大和「本当、今日来なかったらどうしようかと思ってたよ。」
小豆「ギリギリセーフね。」
紬 「みんな…いいんですか?私ずっと何も言わずに休んでて。」
小豆「何にも縛られない部活なんだから、休むのも自由でしょ。」
瑠奈「さすがに自由すぎますけどね。」
大和「俺たちも別に、呼びに行くとかしなかったし。」
紬 「いや、そうですよ!!何も言われなかったんで、来ちゃいましたよ。」
大和「ごめん、ごめん。」
瑠奈「中川さん、私さ、あの後考えたんだ。私はまだ、中川さんと出会ったばかりで、楠木さんみたいに、中川さんのことをいっぱい知ってるわけじゃない。だから、中川さんが帰ってくるのを待つのが今できる最大のことかなって。」
紬 「牧野さん...みんな、ごめんなさい。」←少し震えながら。
大和「謝んな。」
紬 「ありがとうございます。」
しばらくの沈黙
紬 「...私、みんなに言わなきゃいけないことがあります。」
瑠奈「聞かせてくれるの?」
紬 「うん。」
シーン12:回想
紬 「私、中学の吹奏楽部で部長だったんです。……いや、“部長にされた”んだと思う。本当は、部長になるはずだった穂希ちゃんって子がいて、」
紬「その子はすっごく上手で、みんなにも信頼されてて……私なんかより、ずっと部長にふさわしい子だった。でも、顧問の先生は私を選んだんです。やるからにはって、穂希ちゃんの分まで背負って、頑張って頑張って頑張って、それが空回りして、後輩に怖いって言われたり、部の雰囲気が悪くなったりしても大会にすべてをかけたんです。でも、」
紬「結果は....」←声を震わせて
銅賞
穂希「なんで...あんたが部長なの。」
顧問「部長なんだろ、ちゃんとしろよ。」
紬 「その言葉がずっと頭から離れなくて、卒部してから吹部のみんなとも距離をとるようになって、だから高校では部活に入りたくなかったんです。」
シーン13:鎖同好会部室
紬「けど、受験に失敗しちゃって藍陵にきて、吹部の子と再会して...どうしたらいいか分からなかったんです。」
大和「そんなことが...」
紬 「でも……鎖同好会に入って、みんなといて……“自由でいいんだ”って思えて、初めて……自分のままでいても、嫌われない場所ができた気がしたんです。でもいざとなったら、責任から逃れたくなった、無責任なくそ野郎です私は...」←涙ぐんで
小豆「そっか...うん。」
紬をさする瑠奈
瑠奈「紬ちゃん...」
紬 「え?」
大和「今...下の名前で呼んだぞ。」
小豆「あっ、本当だ。」
瑠奈「ああごめんなさい中川さ」
紬 「いいよ。紬でいいよ。瑠奈ちゃん。」
瑠奈「うん。紬ちゃん、私、部長することにした。力不足かもしれないけど、紬ちゃんの居場所を守らせて。私だって、本読めなくなったら困るし。」
紬 「瑠奈ちゃん...」
抱き合う二人
由良部室の外で会話を聞いている
由良「紬が本音を話せるなんてね...」少し笑みを浮かべて
ドアごしに両者を写す視点あったらおもしろそう
(SE.セミの鳴き声)真夏の空
シーン14:新校舎の廊下
プリントを抱えて廊下を歩く小豆先生
生徒と肩がぶつかりプリントが散らばる
小豆「あっごめんね。」
徐々に大きくなる頭の中で響く生徒の声
生徒たちはプリントを拾おうとしないで小豆先生をふる無視する
勢いよく鎖同好会部室へ
シーン15:鎖同好会部室
小豆先生椅子に寝転んでいる
大和部室に入ってくる
大和「小豆先生ーーーこんにちはーーー。」
「って、今日はマジで寝てる。」
小豆先生に布団をかぶせる
大和「ったく、無防備だなこの人。」
小豆「んん....んん...」
大和「え?もしかして寝言?(笑)」
小豆「行きたくない...」
大和「...」
シーン16:鎖同好会部室
紬、瑠奈、大和雑談する
紬 「小豆先生ってさ、教師として完璧だよね。」
瑠奈「確かに。ちょっと変わってるけど優しいし、生徒思いだし、あと可愛いし。」
大和の方をみる二人
紬 「可愛いですよね。小豆先生。」
大和「なんで俺を見るんだよ。」
紬 「フフフ私、中学の部活の顧問が苦手で、あんまりうまくいかなかったんですよ。大人が何考えてるのかわからなくて、だから小豆先生って結構新鮮なんですよね。」
瑠奈「生徒にとってまさに理想の教師って感じ。」
大和「でも、完璧なんかじゃないと思うんだよな。小豆先生って。」
紬 「最近、あまり来てないですよね。」
小豆先生がいつも寝ている場所を写す
瑠奈「あっ、あれって小豆先生じゃないですか?」
窓の外を指さす瑠奈
窓の外をみる三人
紬 「本当だ!!小豆先生だあ!!今日もかわいい!!」
瑠奈「なんか男の人と一緒じゃない?」
シーン17:校庭
柿崎先生にめちゃくちゃ距離を詰められる小豆先生
シーン16:鎖同好会部室
紬 「なんか...近くない?」
大和「柿崎だ…」
紬(その時の大和先輩の表情はとても険しかった)
シーン18:鎖同好会部室
大和「おはよー。」
紬瑠「おはようございます!!」
小豆「なんでここの部員はみんなおはよーって言うの?(笑)」
紬瑠「小豆先生!!」
小豆「ごめんね。最近保護者対応に追われてて。」
紬 「先生、今日は同好会に残りますか?」
小豆「ああ、ごめん。ちょっとものを取りに来ただけで。」
紬 「そうですか。」
小豆「じゃあね。」
小豆部室を出る
一枚のプリントを落とす
談笑している大和と瑠奈
プリントを拾う紬、顔を青ざめる
紬 「何...これ?」
瑠奈「小豆先生が落としたプリント?」
そこに、キエロ!!ブス!!と大きく書かれた文字
紬から力強くプリントを奪う大和
大和「ひでえ...ここまできてんのかよ...」
紬 「ここまでって...?」
瑠奈「...最近三年四組の生徒が一人不登校になってるって聞きました。原因は...いじめって。」
紬 「え?あっ、だから先生保護者対応に追われてるって。」
瑠奈「やっぱり自分のクラスだから何とかしないと何でしょうね。」
紬 「先生...大変そうだな...」
大和「違う。」
二人「?」
大和「いじめを受けているのは小豆先生だ。」
シーン19:職員室の小豆の机
山積みの資料、カップラーメンのゴミ、
保護者からの電話を受ける小豆先生
保護者「うちの子がいじめたですって!?人を馬鹿にするのも大概にしてください!!」
小豆 「申し訳ございません。」
保護者「もういいです!!」
電話が切れる、ぐったりとする小豆先生
小豆(私は...いい教師なのだろうか。)
また保護者から電話がかかってくる
保護者「うちの子が学校に行こうとしないんです!!どう責任を...」
シーン20:鎖同好会部室
大和「あのいじめは生徒の自作自演だよ。小豆先生を追い詰めるための。」
紬 「どうしてそんなこと?」
大和「...くだらない理由だよ。柿崎っていう四組の副担任してる女子人気が高い先生がいて、そいつが小豆先生と距離近くて、それが気に食わないからって、女子たちが嫌がらせを始めたんだ。それがエスカレートしていって...」
紬 「じゃあ小豆先生は何も悪くないじゃないですか!!」
大和「そうだよ!!なんで小豆先生が、こんな目に合わなきゃいけねえんだよ...」
こぶしを強く握る大和
↑ アップで写す
瑠奈「だから、ずっと小豆先生のそばにいたんですか?四月から、ずっと。」
大和「...」
紬 「大和先輩...」
シーン21:一年前の新校舎教室(夕方)
補習を受けている大和
目を覚ます大和
小豆「大和くーん、大和くーん!!」
大和「はい?」
小豆「今寝かけてたでしょ?」
大和「いや、そんなことありませんよ。」
小豆「いや、寝かけてた。」
大和「は...はい。」
小豆「そんなに数学やだ?君、補習に呼ばれてるんだよ、補習。」
大和「もう別にいいですよ。特に将来どうこーとか考えてませんし。」
小豆「そっかー。でも私もそうだったな。」
大和「じゃあ何で教師になったんですか?」
小豆「私、あんまり人としゃべれなかったから休み時間とか数学ばっかりしてて。まあなりゆきで?」
大和「人とあんまりしゃべってなかったんですか?」
小豆「そうだよ。だから人って少しずつ変われるよ。大和くんは向いてそうだけどね。人前に立つとか。」
大和「そうですかね?」
小豆「今、副会長の募集してるよね。やってみたら?何か見つかるかもよ?」
大和「副会長...」
小豆「はい、数学しますよ!!」
大和「え~。」
シーン22:旧校舎の廊下(夕方)
紬 「小豆先生がいなかったら今の大和先輩はなかったんですね。」
大和「小豆先生さ、夕日が似合うんだよ。なんていうかさ、あの人って、笑ってるように見えて、その奥に“影”がある。たまに、寂しそうにも見えんだ。誰にも気づかれないで、一人で背負って、明るいふりして、夕日みたいに一生懸命に自分を燃やしてんだ。でも、その夕日はいつでも沈んでしまいそうで...」
紬 「なんか詩的ですね...ラブレターみたっ」
大和「バカ、ちげえよ。」
瑠奈「ずっと思ってたんですよね。」
大和「けど、俺はうれしかったんだよ。どこか遠くに沈んでしまいそうな先生が、鎖同好会ではあんな無防備に寝てて、すっげえ笑顔で。だから、感謝してるぜ。鎖同好会を作ってくれて。」
大和の背後に小豆先生が
紬 「はい...って!!」
瑠奈「先輩!!!後ろ!!!」
振り返る大和
そこには小豆先生が
大和「うわああ!!!小豆先生!!!」
小豆「へえ。私、夕日が似合うんだ。」
手を取り合って興奮する紬と瑠奈
紬瑠「あばばばばばば!!!!!」
大和「えっ、ちょ、それは、あの!!」
小豆「へえ、へえ〜。ありがとう。」
小豆先生その場を去る
固まる大和。
小豆「みんなにとってはいい教師でいられてるのかな?」
シーン23:新校舎の廊下(夜)
紬 「先輩、今日は災難でしたね~。」
大和「うわああも~う何してんだマジで...」
瑠奈「どんまいです。大和先輩。」
大和「お前らは煽りすぎだ。」
澤村と金田の談笑の声
大和「この声、」
金田「ねえ~あいつまだやめないの?」
澤村「ずっとヘラヘラしてるよな。」
金田「ほんとっ柿崎先生にも生徒にも色目使って、マジきもいんですけど~。」
澤村「あっ、これ小豆のファイルじゃね?鎖同好会って。」
金田「あああのふざけた部活?調子乗りすぎだろあのババア。」
澤村「捨てるか?」
金田「フハハハハハ最高!!」
大和「おい。」
澤村「あっ、こいつ。」
金田「え?誰?」
澤村「ほら、いっつも小豆といるやつだよ。大和輝樹。」
金田「ああ、副会長さん?変わった趣味してるよね。あんなおばさんの何がいいの?」
二人を強くにらむ大和
澤村「え?もしかしてお前ら鎖同好会とかいうwww」←ニヤニヤする二人
瑠奈「先輩、帰りましょうよ。」←大和の腕を握る
大和「小豆先生は弱音の一つ吐いてねえんだぞ。」
金田「は?何?」
紬 「ちょ、先輩。」
(大和:夕日みたいに一生懸命に自分を燃やしてんだ。)
大和「お前らはとっくに負けてんだよ!!」
澤村「はあ?何マジになってんの?」
ファイルを大和から奪い返す澤村
大和「返せ!!」
軽く取っ組み合いになる大和と澤村
瑠奈「ちょ、先輩!!先輩!!」
紬 「やめてください!!」←大きい声で
柿崎先生教室へ入ってくる
柿崎「おい!!何してるんだ!!」
金田「柿崎先生!!」
態度をよくする金田
澤村「先生、大和が突っかかってきて。」
大和「違う!!こいつが小豆先生を!!」
柿崎「小豆先生?」
全員「...」
柿崎「事情を話してもらおうか。」
シーン24:職員室
先生方に詰め寄られる小豆先生
シーン25:鎖同好会部室
瑠奈「昨日、なんかこわかったね。」
紬 「うん。先生が入ってきてくれたから良かったけど…」
瑠奈「小豆先生...」
大和が部室に入ってくる
紬瑠「大和先輩!!」
大和「おう。昨日はごめんな。」
紬 「いえ...」
瑠奈「あんな先輩初めて見ました。」
大和「そりゃあ何回もあんなもん見せてたまるか。」
「...で小豆先生は?」
紬 「いや...まだ見てませんね。」
(se:ガチャという鍵の開く音)
三人「小豆先生!!」
柿崎先生が入ってくる
紬 「え...?」
大和「...柿崎先生?」
柿崎「今日はみんなに、伝えることがあってきた。」
瑠奈「え?なんですか?」
柿崎「小豆先生は、学校を転勤されることになった。」
沈黙
三人「...え?」
柿崎「それに伴って、顧問不在により、鎖同好会も今日で廃部とする。各自、新たな部活先を探すように。」
紬 「...廃部?」←声を震わせて
大和「は?おい、どういうことだよ!!!転勤って、もう会えないのか??」
柿崎「...」
大和「おい...なんとか言えよ!!」
「おい!!」
柿崎先生の胸ぐらをつかむ大和。
瑠奈「大和先輩!!」
柿崎「これは学校側が下した判断なんだ。」
大和「んなことで納得できるわけねえだろ。小豆先生に直接話聞かせろよ!!」
柿崎「小豆先生も了承の上だ。」
胸ぐらを離す大和
大和「...は?」
柿崎「これは大人の問題だ。君に結子の何がわかる」
去ろうとする柿崎先生
大和「おい!!待てよ!!ふざけんなよ!!」
紬 「先輩!!落ち着いて!!」
瑠奈「先輩!!怖いです!!」
大和を押える紬と瑠奈
大和「だいたいあんたが原因だろ!!さんざん小豆先生の理解者頭らして、こんな時だけ逃げんのか!!」
柿崎「...」
部屋を去る柿崎先生
紬 「これ...廃部って...」
瑠奈「どうしよう....」
シーン26:中庭(お昼)
ベンチに座って弁当を食べている紬と由良
由良「なにそれ?タコさんウインナー?おいしそ~」
紬 「うん。」
由良「卵焼き一つ上げようか?」
紬 「うん。」
由良「...いや~私は紬が吹部に入ってきてくれてうれしいよ。ほら、文化祭も近いし。紬は本当に文化祭は演奏しないの?」
紬 「...」
紬早歩きでハケる
由良「あれは、あの頃の紬くらい、見てられないね。」
シーン27:外廊下
本をもって暗唱している瑠奈が
瑠奈と澤村、金田がすれ違う。
澤村「えっ、なんか言ってる。」
金田「やっば~。」
瑠奈、一瞬立ち止まって全速力でハケ
シーン28:鎖同好会部室
誰もいない部室
大和「んだよ。だれもいないのかよ。」
「でも...俺のせいか...俺の...」
鎖を散らかして自暴自棄になる大和
大和「ああああああああああ!!!!!!!」
シーン29:帰り道(夜)
紬(なんでこんなことになったんだろう。私は、私たちはただ、普通に笑って普通に過ごしていきたいだけなのに。なんでそれをみんなは拒んでくるの?)
下を向いて歩く紬
穂希「紬、」
紬 「穂希...ちゃん」
穂希「何があったの?廃部って。」
紬 「関係ないでしょ。」
穂希「ちょっとまってよ。」
紬 「穂希ちゃんには関係ないよ。」
立ち去ろうとする紬
穂希「それでいいの?」
紬 「...だってしょうがないじゃん!?どうしろって言うの!?」
穂希「そういうところが嫌いなんだよ!!」
紬 「...は?」
穂希「私は紬が吹部に入らなかったのに怒ってるんじゃない。その態度に怒ってるの。」
紬 「なにを?」
穂希「紬は中学のころからそうだった。自分は部長にさせられたって思ってるでしょ?でも違うからね、それを最終的に選んだのは紬ちゃんだ。」
紬 「それとこれとは今違うでしょ。」
穂希「違くない。また紬は逃げようとしてる。責任から逃げようとしてる!!」
(回想:紬「でもいざとなったら、責任から逃れたくなった、無責任なくそ野郎です私は...」)
穂希「吹奏楽部だって散々楽しんでたくせに、いざ自分が追い込まれて居場所がなくなろうとすると逃げるんだ。ずっとずっと被害者でいようとするんだよ。」
紬 「...」
穂希「そんな半端な気持ちなら私が部長でよかったよ。」
去っていく穂希
紬 「居場所...」
(回想:瑠奈「私、部長することにした。力不足かもしれないけど、紬ちゃんの居場所を守らせて。」
大和「感謝してるぜ。鎖同好会を作ってくれて。」)
紬 「...ありがとう。」
振り返って駆け出す紬
シーン30:帰り道
紬 「大和先輩」
大和「?」
紬 「提案があります。」
シーン31:公園(夜)
よろつきながらベンチに倒れこむ小豆先生
小豆「夕日は...沈んじゃったな...」←手を上に仰ぐ
紬 「いや、まだ沈んでません。」
小豆「...っ!!」←声の方を向く小豆
「中川さん!?どうして!?」
紬 「悩み事がある時は、夜の公園にくるって言ってましたよね。」
小豆「ええ...そんな!!でも公園っていったって!!」
紬 「探し回りましたよ。」
小豆「はあ?はああ?どうしてそこまで!?」
紬 「先生に、会いたかったからですよ。」
二人でブランコに並んで座る
小豆「ごめんね。急に逃げちゃったりして。」
紬 「逃げたんですか?」
小豆「どうしてもね。学校側からも転勤を進められちゃって。」
紬 「それを逃げたって言うんですか?」
小豆「うん。」
紬「フフフ先生はやっぱ強いですね。」
小豆「強くなんかないよ。弱いんだよ私って。」
「先生なのに守れなかった...」
間
紬 「……守れなかったって言えるの、先生だけだと思います。」
小豆、少し顔を上げる。
小豆 「それ、慰め?」
紬「いいえ。」
「ただ……私は、守れなかった人の方が、信じられます。」
小豆「……どうして?」
紬 「守れなかったって、ちゃんと、悔しがれるから。私はそれが出来なかった。」
小豆「怖いんだよ。誰かの期待と望みに答えられないのが怖い、誰かに嫌われるのが怖い、あこがれの職業についたのに、こんなことになってて過去の自分に顔向けするのが怖い。本当は、もう戦うのが怖くてたまらなくなった。」
小豆先生涙を落とす
紬「先生が泣いてるの、私、初めて見ました。」
小豆「……見せるつもりなかった。」
紬 「怖いなら、私が先生を守ります。」
紬 「私ずっと逃げてきたんです。ずっと自分を被害者だと思ってた。でも、今回は私も先生みたいに戦ってみたい。」
小豆「それってどういう...」
プリントを突き付ける紬
小豆「...えっ?」
紬 「文化祭の空きブースの募集です!!
小豆「どういうこと?」
紬 「先生はもう、鎖同好会の顧問じゃないかもしれません。けど、文化祭の、空きブース展示の外部顧問としてなら...」
小豆「それって...」
紬 「鎖同好会を文化祭期間だけでも、復活させるんです!!また、四人で!!」
小豆「ああ...ああ...」
紬 「鎖同好会を作るって最初に言ったのは私ですから。最後は責任取らせてください。そして先生にまた来てほしいです。」
小豆「...私は弱いよ。また逃げ出すかもだよ。」
紬 「今度は私が先生を守ります。」
手を差し出す紬
小豆「...ありがとう。」
紬の手をとる小豆
紬 「抗いましょう、一緒に。」
シーン32:鎖同好会部室
瑠奈「...っ!!」
大和「小豆先生っ!!」
小豆「久しぶり。みんな。」
紬 「お帰りです。」
瑠奈「先生~~!!!」
小豆先生に抱きつく瑠奈
小豆「ふふっ。」
紬 「ということで、この四人で、文化祭、鎖同好会展示ブース!!名付けて世界の鎖展!!の準備をしましょう!!!!」
瑠奈「もう、相変わらず、変なの。」
小豆「でも、私たちらしいよ。」
紬 「これは、四人で過ごす最後の時間です。文化祭まで頑張りましょう!!」
紬 「えい、えい、」
四人「オーーーー!!」
紬 「じゃあ、瑠奈ちゃん、こっちの荷物手伝って。」
瑠奈「うん!!」
シーン33:鎖同好会部室
小豆「大和くん...怒ってる?」
大和「そりゃあ、ちょっとは怒ってます。けど、俺も謝りたかったんです。俺のせいで...」
小豆「大和くんは悪くないよ。」
大和「...ハッ、ズルいですよ。小豆先生。」
小豆「ごめんね。」
大和「おかえりなさい。」
小豆「うん。」
シーン34:鎖同好会部室
澤村「はあ?戻ってきてるってマジ?」
金田「流石に噓でしょ。」
澤村「はっ、本当にいるじゃん。」
大和「何しに来た?」
澤村「よく許可とれたな。」
大和「必要な手続きを踏んだだけだ。それに副会長権限。」
金田「はあ?どういうこと。」
紬 「小豆先生には!!私たちがついているということです!!」
金田「...まあいいんじゃない?」
澤村、金田部室からでていく
大和「いった?」
瑠奈「行きましたね。」
小豆「わかってもらえなくてもいいよ。」
紬 「よおおし!!!やりましょう!!!」
作業をする四人。展示用のパネルを持ってくる。
紬 「よおおし!!!大体完成!!!!」
歓喜する四人。
瑠奈「ついに明日が本番ですね。」
大和「長いようで短かったな。」
小豆「ついに...か。」
紬 「そうですよ!!先生!!!」
瑠奈「フフフ....フフフ。」
笑いあう四人。
由良「やってるかい?鎖同好会!!」
紬 「え?由良?」
由良「ちょっと紬に話があるんだってよ。」
穂希部室に入ってくる
紬 「え...穂希ちゃん?」
大和「穂希ちゃんって...」
小豆「うん...」
紬 「えっ、なん、なんで」
頭を深く下げる穂希
穂希「この前はごめん。言い過ぎた。」
紬 「...え?」
由良「ずっと、謝りたかったんだってよ。」←腕を組みながら
穂希「私は確かに紬のあの態度を許してない。けど、紬がずっと一人で、大きな責任と、プレッシャーとを背負ってたのはわかってる!!私をがっかりさせないようにって、ずっと!!ずっと!!」
紬 「ううん。穂希ちゃんの言ってることは正しかったよ。」
「私さ、文化祭終わったら吹部に入るよ。」
穂希「え?」
紬 「もう、逃げないから。」
穂希「...うん!!」
シーン35:鎖同好会部室の一角
瑠奈「馬鹿みたいに笑顔で見るんだね。紬のこと。」
由良「そりゃね。紬は本当は一番強いんだよ。カッコいいじゃん。」
瑠奈「惚れてるんだ。」
由良「まあね。」
瑠奈「結局あなたは、紬のことが大好きなだけなんでしょ。」
由良「それはあなたもじゃない?」
瑠奈「じゃあ私が奪っていいの?」
由良「はあ?奪ってみやがれ。」←笑いあう二人
展示パネル完成
紬 「よおしみんな、明日は頑張るぞー!!」
全員「おおおーーー!!」
由良「なんで穂希までしてるのよ!?」
紬(そして、私たちの文化祭展示は大成功に終わりました!!)
文化祭で大繁盛している様子を動画で何枚か流す
今まで登場した人が出てきたりするとか
シーン36:鎖同好会部室
紬 「ということで、文化祭展示成功を祝しまして...」
四人「カンパーイ!!」
飲み物を飲み干す瑠奈
瑠奈「うめええーーーー。」
小豆「牧野さん、お酒みたいに飲むねえ。」
大和「いつか、みんなでお酒飲めたりしますかね?」
紬 「ええー私お酒強いかな~。」
小豆「ごめん...私お酒飲めない。」
三人「えええーーーー!!!」
大和「じゃあ駄目じゃないですかwww」
笑いあう四人
小豆「...これで、最後だね。」
瑠奈「先生結局、転勤は変わらないんですか?」
小豆「うん。文化祭は特別だっただけ。」
沈黙
紬 「でも、私、それもそれでいいんじゃないかって思うんです。」
大和「え?」
紬「私、何かに縛られるのが嫌だからって鎖同好会を作ったじゃないですか。」
小豆「うん。」
紬 「けど、何かに縛られない生き方なんてできないんですよ。人間関係とか、仕事とか、部活とか、人は、生きてる限り、何かに縛られます。でも、それなら自分を縛る鎖は、自分で選ぶ。小豆先生は、そうしたんだと思います。」
小豆「そっか...自分の鎖は自分で選ぶ。か。」
瑠奈「私も選んだよ。自分の鎖。文芸部で頑張ることにした。」
大和「俺は、これから受験だから、ある意味鎖探しの旅か。」
小豆「でもさ、四人で過ごした時間があったから、私、がんばれそうだよ。」
紬 「またいつか、みんなで会いましょう。」
三人「うん。」
カンパーイする四人
シーン37:踏み切り近くの夜道
ゆっくり歩く二人。
小豆「二人っきりだね。」
大和「そうっすね。」
沈黙
立ち止まる大和
大和「...小豆先生!!俺、ずっと、ずっと先生に言いたいことがあって!!」
小豆「...」
大和「先生俺は...俺は先生がっ!!!!」
小豆「それはダメ!!」
大和「...どうしてですか?」
小豆「ごめんね。私には、教師と生徒っていう鎖を外す勇気はない。未来があふれてる大和くんをこんな弱い大人に縛り付けたくないんだ。」
大和「鎖なんて、自分で選びます。俺はそれでも....」
小豆「ありがとう。でも、ダメだよ。」←首を振って
大和「そっか...俺がガキだからですよね。」
「ごめんなさい...さようなら。」
小豆「...」
大和は踏切の向こう側へ
小豆と大和は互いの方を振り返るが、電車が通って姿が見えない
小豆先生は大和の逆方向に歩き出す
(紬:自分の鎖は自分で選ぶ。)
(BGM:主題歌流れ始める)
振り返る小豆
電車が通り過ぎる
小豆「...っ違う!!待って!!」
振り返る大和
大和「小豆先生!!」
大和の方にかけていく小豆先生
そして大和のもとへ
小豆「私は大人なんかじゃない!!弱いままの子供だ!!あの時、教室でみんなから背を向けられて、無視されて!!世界中みんなが敵に見えて、呼吸さえ苦しかった!!」
大和「小豆先生...」
小豆「でもあの時、大和くんだけは気づいてくれた!!部室にきて、疲れてるでしょって、そばにいてくれた!!プリントの落書きを見て怒ってくれた!!私はあの時、自分じゃない誰かに...大和くんに助けられていた!!だからさ...ありがとう!!!!」GM:主題歌の間奏
シーン38:講堂
(ナレーション:続いては、生徒会長候補二年三組中川紬さんと、応援演説者二年三組牧野瑠奈さんの演説です。)
(明転)
候補者の二人、上手いりして中央演台に
紬 「私の公約は、部活動強制入部の校則を廃止することです。部活動は個人の自由。自分が望む部活があれば、入部すればいい。自分の本当にしたいこと、自分を縛る鎖は、自分で選ぶべきです。」
紬 「この言葉は鎖同好会という、私が去年まで所属していた部活動の中で見つけた言葉です。自分が望むことを自分で選んだからこそ、同好会で過ごした日々は、かけがえのないものになっていて、あの頃の居場所が今の私の原動力です。」
紬 「今はバラバラになってしまったけれど、それぞれが、それぞれの鎖の中で生きていると信じています!!私はこの学校が皆さんにとって、そんな居場所になってほしいです!!だから...」
四人「明日への鎖を君は選ぶ!!」
タイトルロゴ




