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第二話

アンの目の前には、見慣れた自分の部屋が広がっていた。そして、涙目な神官達も。


「「「アンジュ様っ〜」」」

「やっほー、ただいま」


ご無事で何よりです!、と涙声で言う神官達に思わず苦笑してしまう。外に出る度こんな感じなのだ、疲れないのかなと、泣く原因を作っている私が言えたことではないんだけど。セアも同じ事を思ったのか、「全く」と軽い溜め息と諦めに近いニュアンスを含めて呟いていた。


「さすが、セアリアス様ですね!」


アンジュの()()を解かしながら、後ろで待っていたセアに1人の神官が口を開いた。


「私達じゃ、姿や形が変わったアンジュ様を見つけるのは至難の技で…魔力や聖力で辿ろうにもアンジュ様、そこも偽造できちゃうので見つけにくてて。」

「仕方ないですよ。そんな芸当できるのは、ルーチェ殿下とアンジュ様だけですかね。」


今回は街娘スタイルだったが、前は騎士だった。その時は性別も変えていたので、声を掛けるときは躊躇したが。少し前の事を思い出し、セアは苦い顔を溢した。


「全く、何でセアだけにはわかるんだろう。」

「…私はまぁ、五感が優れているんで。」


アンジュは街に繰り出していくとき、名前や姿、性別までも魔法で変装している。また、魔力や聖力も神官の言う通り幻想や幻覚など複合魔法で誤魔化している。…その為、基本見破るっていうのは不可能の筈なのだが。毎度セアには必ず見つかってしまう。ルーチェのときも同様である。セアに問いただしても「五感です。」と言っている為、ルーチェも私もお手上げ状態なのだ。


「別人に成りすましても、結局はセアに見つかってしまものね。結構な高等な魔術式を組んでるだけどね。」


色彩変換魔法、造形魔法、幻影魔法…どれを取っても上級魔術師レベルの魔術技術がいるものである。しかもそれを3つ同時に発動させている。もはや大賢人レベルである。セアは、賞賛すべきなのか怒るべきなのか分からなくて、阿鼻叫喚していた魔術師達の顔が掠めたが頭から追いやった。この話をしても追い詰めるだけである。


「わかってます。さぁ、早く支度して下さい。」

「はいはい」


次はこういう術式で…と物騒な事を呟いているアンジュを完全無視して、彼女の世話係たちは慣れた手つきで身支度を整えていく。先程茶髪だった髪は聖女を特徴付ける銀髪に。茶目は碧瞳に。街娘の服は銀髪に映えるクリーム色のドレスへと。終わる頃にはどこからどう見ても完璧聖女様の完成していた。


「セア、待たせたわね。行きましょう。」

「これなら丁度に着きそうですね。」

「当たり前よ。ルーチェをあまりに待たせる訳にはいかないわ。後が怖いもの。」


ルーチェは温厚な男だ。いつも穏やかに微笑んでいる。実際、下の者が無礼したところである程度の所なら笑って許す器の大きい奴だ。だが、とても悪戯好きという悪癖を持っている。この国の聖女としては、ルーチェのことは次期国王としての資質に疑う余地はない。民たちを始めとした貴族の者たちにも置かれている絶大な信頼、王族としての国政の判断など近くで見ている1人でもあるアンジュはいつも彼の姿には舌を巻いていた。

まぁ、なんやかんやで仲がいいあの王子は遅刻した暁にはそれをネタに悪戯を企てること間違いがない。地味に効く悪戯してくるのよね。この前の悪戯を思い出して、アンジュは少し苦い顔を浮かべた。アンジュとルーチェは似ている。だからこそ、アンジュが嫌がる所はルーチェは感覚的にわかるのだ。そう言う意味では、似た者同士というのも問題である。


「俺から言わせれば、アンもルーも同類ですけどね。」

「ふふ、類は友を呼ぶとも言うからね。」


そしたらセアも同類かしら、と冗談混じりに言う。


「何言ってるんですか。」

「本気で引かないでよ、わかってるわ。」


それから少し間があり、2人で顔を見合わせた瞬間どっちからも笑みが溢れる。王宮には、先程使った転移魔法が使えない。なので、馬車で向かうしかない。しかし、王宮の主である王族たちは別で、王宮内でも彼らは転移魔法は使い放題である。

こういうとき本当に王族って便利よねと下手したら不敬罪になりかねない事がアンジュの頭に過ったと同時に「王宮に着きました。」と御者の声が聞こえた。


「さぁ、行きますよ。」

「ええ、ルーチェが待ちくたびれてるわね。」

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