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第19話 相手は強敵


 二回戦は辛勝だった。

 本当に、なんとかギリギリ勝てたって感じで、俺たちは戦い方を考える必要を感じている。


「それぞれが好きなように戦うってのは、もう無理みたいね」

「さすがにな」


 判っていたことだ。

 勝手に戦ったって、一と一の力は二にすらならない。なんのためにバディを組んでいるのかって部分だね。

 長を伸ばし短を補うため。


 だからこそメグとリリクロのコンビは強いんだよな。

 序盤こそ危なかったけど、メグの指示でリリクロが動くようになってからは安定した。


 正直、どっちも攻撃的な性格をしているから、守備より攻撃に傾いた戦法なんだけどね。でもそれが効率的に絡み合っている。

 まともにやり合ったら勝てないな、と、相手に思わせるほどにね。

 これが強い。


「相手の選択の幅を狭める。戦略の肝だもんね」


 見事なものよね、と、アナが感心する。


 リリクロってけっこうバカなんだけど魔力量は多いからね。だてに学院第四席だったわけじゃない。

 量だけ考えたら自分より多いってアナも言ってたしね。


 そのバカをメグが上手いことコントロールしてくるんだから性質が悪いさ。ここを攻撃してほしくないなってポイントは確実に攻撃してくるし、ここがチャンスと思ったらまず間違いなく罠だしね。


 しかもリリクロはキャースカ文句ばっかり言ってるから、本当に連携がとれてるのか疑いたくなっちゃうっていうおまけ付き。


 文句を言いながらもメグに従うって、俺たちは判ってるけどね。

 初見の人は、こいつら仲悪いんじゃねってまず勘違いする。


「そうやって姉御の術中に落ちていく。怖い怖い」

「怖がってばかりもいられない。次に当たるんだからな」


 三回戦の相手は、メグとリリクロのペアだ。

 勝ったらベストエイトに進出する。負けても敗者復活戦はあるけど、負けたときのことなんて考えても仕方がない。


「どう戦う? リュー」

「むこうはリリクロがメインで戦いメグが指示を出してる。理屈で考えれば、二人で協力してまずはリリクロをやっつけるって手なんだけど」


「保留付き? そのこころは?」

「それは向こうも覚悟の上だろうし、あのアイシクルランス連弾は厄介すぎる」


 クリーンヒットしてしまったら一発で凍り付けになり、戦線離脱だ。

 そんな強力な魔法をバカバカ連射できるリリクロも頭おかしいけど、メグの的確な指示があるから頭おかしいってレベルを通り越して鬼畜レベルになっている。


 どっちに避けるかまで読んで、そこに撃たせるからね。

 リリクロなんて、誰もいないところに撃ってどうするんだよ! なんてわめいてるけど、あれはアホの子だから仕方ない。


「となると姉御を狙う手よね」

「それは道理だけどなー」


 メグをやっつければ、リリクロはべつに怖くない。

 言い方は悪いけど、ただの砲台みたいなものだからね。

 ただ問題はそれが可能かどうかって部分なんだよなあ。


「リリクロのアイシクルランスをかいくぐりながら私を姉御に接近させれば勝ち、単純化していうとこういうことよね」

「まあな」


 難易度を無視すればそういうことだ。

 接近戦になったらメグはアナに勝てない。新技の静電気パンチ(デンジブレイカー)一発で片が付くだろう。


「できない? リュー?」

「……俺を信じてくれるなら、できる」


「じゃあ乗った」

「決断が早いね。惚れ惚れする」


 アナが突き出した右拳に、俺は自分のそれを軽くぶつけた。





 リリクロの後ろにメグが立っている。

 美少女が縦にならんでいるだけにみえるけど、一応リリクロは男だ。


 そして、あの珍妙な陣形で正しいんだよな。

変な言い方だけどリリクロが砲台でメグが砲手なんだ。なのでふたりは同じ光景を見ている必要がある。


 俺たちは普通に横に並んでいるだけ。

 いままでの戦いと同じようにね。


「すごくノープランに見えるけど、そんなわけないんでしょうね。リュー」


 リリクロの後ろからメグが笑う。

 もちろん隠れているわけじゃない。


「まあ一応、プランは持ってきたよ」

「良かった。簡単に片が付いちゃったらつまらないもんね」


 煽るねぇ。

 こうやって冷静さを奪っていくのも作戦のひとつなんだろうけど。


「気に入ってもらえたら良いけどな。行くぜアナ!」

「任せて! 変身! とう!」


 アナが天高くジャンプし、空中で一転する。

 その瞬間。


砂の鎧(サンドアーマー)!」


 俺の魔法が完成した。

 いずこからともなく砂が集まり、アナを覆っていく。


 そして、地上に降りたとき、彼女の体は漆黒の輝きを放つプロテクタアーマーに包まれていた。

 騎士の甲冑のように厚ぼったく重そうなものではない。もっとしなやかにシャープに、体に密着するようアーマーである。


 魔法で鎧を作り出すとは、さすがに意外だったろう。

 ぽかんとしてしまうメグとリリクロ。


「いくわよ。姉御!」


 一直線に駆け出す。


「いけない! リリー、迎撃!」

「わ、わかってる!」


 慌てたように打ち出されるアイシクルランス。一発でももらったらおしまいな氷の槍を、だがアナは易々と回避する。


「ばかな! どうして当たんないんだ!?」


 リリクロが音程の狂った叫びをあげた。

 あいかわらず予想を超えた突発的な事態には弱いな。

 


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