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自然詩文  作者: 足利直哉
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雨降る街

 ずっと雨が降っている。降り止むことは、なさそうだ。


見えない雨の筋が薄く街を覆っていて、雨脚が水たまりに落ちたとき、ささやかな波紋を広げて消えていく。


人々が差している傘が、通り過ぎていく。街は静かだ。


建物の中にいるから騒音が聞こえてこない。


しかしだからこそ、湿っぽい雨の世界が一層感じられる。空はどんよりとしていて、億劫になりそうだ。



 ここ最近ずっと陰鬱な気分が続いていて、その陰鬱をガラス細工にしたかのように、透明な雨が自分の陰鬱を縁取っていく。


そしてこの陰鬱が一枚の心象絵画になっていく。


この透明な雨が絵画の額縁となって、硬い水晶のように透明に輝く。


そして、この雨降る街と、この景色を背にしてくすぶる陰鬱が、はめこまれる。


額縁の輝きにより、絵の内部の陰鬱が一層強調される。


しかし、少しクラシック音楽を聴きながら、その雨降る世界に囲まれた陰鬱を、少し和らげてみる。


黒い褐色の絵画も、少しは明るい色を取り戻しただろうか。まだ明るさはそれほどないが、いつか取り戻したい。

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