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自然詩文  作者: 足利直哉
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くすんだ菜の花

 道の脇の花壇に、菜の花が咲いていた。


厚い雲に覆われた灰色の空を背にして、まだ満開というわけではない黄色い花が、ぽつんぽつんと咲いていた。


茎が細かった。いかにも、しおれているようだった。


春の温かな風が吹けば、この菜の花の命はもっと強く吹き上がるのだろうか。


しかし、菜の花の点在する花々はなんだか、か細く思えて、それが、蛍が浮かんでいるように思えた。あの、暗い夜空を点滅しながら浮かんでいる、蛍だ。


今にも暗闇の中に消え入るといった具合で、黄色い花が弱く揺れていた。


なんだか、悲しくなった。


後ろにある灰色の厚い曇り空のせいで、くすんで見えてしまった。生気がなかった。



 きっと、自分の心がくすんでいる。心の中に、暗雲が垂れ込めている。


心の暗雲の中で、この菜の花の蛍たちが、弱く揺れている。


もっと強くあってほしい、と思った。


しかし、春の暖かい風が吹けば、きっと黄色い生命を一気に輝かせるのではないか。それに少し、期待してみようと思う。

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